遺族年金を受け取るには要件を満たす必要がある

一家の大黒柱に万が一のことがあった際に支給されるのが「遺族年金」。この遺族年金は無条件で年金が支給されるわけではありません。死亡した大黒柱自身はもちろん、受け取る側の遺族の方にも一定の要件が存在します。
  • (そもそも)受け取る権利はあるの?
  • 誰がいつまで受け取れるの?
  • どんな年金が受け取れるの?
これらについて、大黒柱が元気なうちからしっかり把握しておきたいものです。今回はこのうち、「受け取る権利(受給資格要件)」について見てみましょう。
 
受給要件とともに、自分がどの制度の遺族年金を受け取ることができるのかについても、事前に確認しておきたい

受給要件とともに、自分がどの制度の遺族年金を受け取ることができるのかについても、事前に確認しておきたい



 

過去の滞納期間によっては受給ゼロもありえる

まずは、大黒柱の(受給資格)要件を見てみましょう。

遺族年金は、現役世代(保険料を支払っている人)はもちろん、年金(老齢年金や障害年金)を受け取っている人が亡くなった場合にも支給されます。

■現役世代の大黒柱が亡くなった場合

現役世代の人については、まず「保険料をちゃんと支払っていたかどうか?」が問われます。具体的には、加入している期間(保険料を払うべき期間)のうち、3分の1を超える期間未納(滞納)がないことが必要となります。

この滞納期間については、学生や自営業者、無職の人が加入する国民年金にのみ存在しうるものです。会社員や公務員が加入する厚生年金(共済年金)の期間については、滞納期間にはなりません。

したがって、無職や自営業者の期間が長い人は、その期間中に滞納期間がないか確認が必要です。現在のところ救済措置として、65歳までの人については3分の1を超える滞納期間があっても、直近1年間に滞納期間がなければよいことになっています。

ただし注意点があります。滞納期間は、「死亡日の前日」において確認されるということです。亡くなってからあわてて納付しても手遅れとなります。「3分の1を超える滞納期間があり」しかも「直近1年間に滞納期間がある」場合は、最低でも直近1年以内の滞納期間について、保険料を払っておくことをおすすめします。

■年金を受け取っている大黒柱が亡くなった場合

既に老齢年金や障害年金を受け取っている(受け取る権利を持っている場合もOK)人については、滞納期間等の要件は問われません。
 

遺族だからと言って無条件に支給されるわけではない

次に、受け取る側の要件について見ていきましょう。

大黒柱が死亡=生活に困る家族(遺族)に支給

というのが原則です。この「生活に困る」という言葉が、要件の前提ともなっています。法律上は「生計維持関係」にあった遺族ということになります。

「生計維持関係」とは、
  • 死亡した大黒柱の収入によって生活をしていること
  • 遺族自身の収入が将来にわたって850万円以上ないこと
となります。

たとえ妻と子が遺族として残されていたとしても、亡くなった夫の収入に全く頼らず生活をしていたとなると、生計維持関係にあったとは認められないこともあり得ます。

ただ、大黒柱の収入に全て依存していなければならないわけではなく、一部分でもよいということになっています。ですから、夫婦共働きであって、夫婦両方の収入で生活していたというケースなら、問題なく生計維持関係は認められますのでご安心を。
 

年金制度により、遺族の範囲に差がある 

先ほどの「生計維持関係」を満たした上で、受け取れる遺族の範囲を確認しましょう。遺族の範囲は、国民年金(基礎年金)と厚生年金、共済年金(2015年10月~厚生年金に統合)で差があります。

■遺族基礎年金
子のある配偶者または子。(以前は子のある妻または子だったのですが、2014年4月4日以降は、「子のある夫」も対象となりました。ただし、さかのぼって権利が認められるわけではないのでご注意を。)

■遺族厚生年金
配偶者または子、父母、孫、祖父母(のうち、最先順位者のみ。夫、父母、祖父母については55歳以上)。

■遺族共済年金(2015年9月末まで)
配偶者または子、父母、孫、祖父母。

このうち、子、孫については全ての制度で18歳年度末(一定の障害の状態にある子、孫は20歳)までという年齢制限が付いています。

(厚生年金に統合された遺族共済年金には夫、父母、祖父母についての年齢制限がないこと、そして最先順位者でなくても遺族年金を受け取れること(転給制度)等、厚生年金より有利な要件がありました)

なお、配偶者については、婚姻関係がなくても、事実上婚姻関係と同一にあるものと認められれば権利が発生します。
 

老齢年金は一生涯だが、遺族年金は…

老齢年金は、死亡するまで一生涯支給が続きますが、遺族年金は死亡以外にも支給が打ち切りになる「要件」が存在します。

■年齢にかかわるもの
子、孫については、18歳年度末(一定の障害の状態にある場合は20歳)まで。夫が死亡当時30歳未満で、遺族基礎年金を受け取る権利のない妻については、5年間だけ。

■結婚等によるもの
結婚したとき、直系血族・直系姻族以外の養子になった場合など。

先ほど、配偶者については、事実上の婚姻関係でも認められると書きましたが、子については、事実上の親子関係では認められません。血縁関係があるか、養子縁組関係を結んでいる必要があります。

受け取り開始年齢が決まっている老齢年金と違い、遺族年金はいつ受け取り開始になるかわかりません。万が一の際の年金である遺族年金についても知識を深めておきたいですね。

【関連記事】
遺族年金の届出・手続き方法
遺族年金の種類
遺族年金の受給における6つの注意点
 
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。