働き盛り世代も知っておきたい、公的介護保険のサービス内容
介護状態になると、精神的にも金銭的にも負担が大きい。まずは公的な介護保険のサービスをチェックしたい
介護状態は、高齢者だけの問題ではありません。若くても介護状態になることはあります。働き盛りの時に、急に倒れて介護状態になった……なんて話はよく聞きます。そんな時に、公的な介護保険でサービスを受けることができるのでしょうか? 今回は、働き盛り世代の介護保険についてご紹介しましょう。
<目次>
介護保険とは? お金の支給ではなく、サービスを受けるもの
まずは、公的な介護保険の仕組みをおさらいしておきましょう。介護保険制度は、自治体(市町村や東京23区)が運営主体になっている保険制度で、平成12年から始まりました。この介護保険は、民間の保険と違ってサービスが提供されます。お金が支給されるわけではありません。介護状態に応じて、介護サービスが受けられるということです。受けられるサービスは、介護状態によって変わってきます。
介護保険のサービスを受けるためには訪問調査などを受け、どのような介護が必要かなどの認定を受けなくてはいけません。表は要介護状態区分認定の目安をまとめたもので、要支援1から要介護5までの7段階の認定になっています。
介護保険を受けるためには、要支援1から要介護5までに認定してもらわないといけない。この区分によって、受けられる介護保険のサービスが変わってくる
介護保険は40歳以上で加入、保険料を支払う
この公的な介護保険は、40歳以上で加入することになります。健康保険の保険料と同時に介護保険料も支払います。40歳になったら、急にお給料の手取りが減った……という話を聞きますが、これは介護保険料が給与天引きされたからですね。介護保険には、第1号被保険者と第2号被保険者がいます。第1号被保険者は65歳以上の人、第2号被保険者は40歳から64歳までの人です。40歳になると介護保険の第2号被保険者となり、保険料を支払うことになるのです。
この第2号被保険者である40歳から64歳までの人は、保険料を払うだけなのでしょうか? 所定の条件を満たせば、介護保険のサービスを受けられます。
介護保険サービスを受けるための要件は?
表は、公的な介護保険の被保険者と受給者の範囲です。65歳以上の人は第1号被保険者となり、要介護(要支援)状態になればサービスを受けることができます。第2号被保険者は40歳から64歳までの医療保険加入者となっており、政令で定める疾病であれば介護保険が受給できます。
64歳まででも特定疾病なら受給可能
40歳から64歳までの第2号被保険者が介護保険を受けられる疾病とは具体的にどんなものなのでしょうか? それは加齢に伴う疾病で、以下のものと定められています。がん末期・関節リウマチ・筋萎縮性側索硬化症・後縦靱帯骨化症・骨折を伴う骨粗鬆症・初老期における認知症・パーキンソン病関連疾患・脊髄小脳変性症・脊柱管狭窄症・早老症・多系統萎縮症・糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症・脳血管疾患・閉塞性動脈硬化症・慢性閉塞性肺疾患・両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
これらの病気で介護状態になった場合は、40歳から64歳でも介護保険のサービスが受給できるということですね。がん末期については、平成18年4月に特定疾病に追加されました。本人も家族も少しは楽になれるでしょうか。
健康保険未加入に注意!
このように、第2号被保険者も特定の疾病で介護保険サービスを受けられるのですが、40歳から64歳までの全ての人が対象ではありませんのでご注意を。上の「介護保険被保険者・受給者の範囲」の表にも書かれてあるとおり、第2号被保険者は、40歳から64歳までの医療保険加入者となっています。国民健康保険の保険料を滞納している世帯が多いようですが、この人たちは介護保険にも未加入ということになります。万が一、介護状態になっても介護保険のサービスは受けられないということですね。
医療費を全額支払うのも大きな負担ですが、介護状態になった時もかなりの高負担になりそうです。健康保険に未加入ということのないようにしましょう。