公的な介護保険はどれくらい頼りになるのか

介護への備えは、公的な介護保険制度の他に保険会社の私的な介護保険もあります。公的な制度だけで備えは十分なのでしょうか?それとも保険会社の介護保険にも加入して備えておいたほうが良いのでしょうか?

公的な介護保険の介護予防サービスまたは介護サービスを一度でも受給したことのある実受給者数は、年間約614万人(厚生労働省平成28年度介護給付費等実態調査より)にもなります。そして、1人あたりの介護サービスの費用(保険給付額、公費負担額、利用者負担額の合計)は19.1万円(同上)となっています。

多くの人が介護保険を利用しており、介護保険があることで介護する人の肉体的負担や精神的負担、経済的負担はかなり軽減されています。介護保険は、今では介護する人にとっても介護される人にとっても、なくてはならないとても頼りになる存在ではないでしょうか。
介護状態、掃除

介護状態になると掃除も大変


公的な介護保険は自己負担が発生する場合も

ただ、サービスの利用には上限があったり自己負担があったりするため、利用者の経済的負担がゼロになるわけではありません。月々の自己負担額は少額でも、介護は長期間に及ぶことが多いので、徐々に負担が重くなっていくことも考えられます。

また40歳以上65歳未満の第2号被保険者にとっては、介護サービスを利用できるケースが一部に限られ、39歳未満の人にとっては、介護保険の被保険者(加入者)にもなりません。

そのため、より多くの介護サービスを受けたい人や経済的負担をより軽減したい人、65歳未満でも介護への備えが必要な人等にとっては、公的な介護保険制度以外の備えも考えておく必要があります。

介護サービス利用時の自己負担は1割or2割。上限額も決まっている

要介護(要支援)認定されて介護保険のサービスを利用する場合、加入者は原則としてサービス費用の1割(一定以上の所得のある利用者は2割)を負担します。

施設サービス(介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護療養型医療施設)などでは、食費や部屋代、日常生活費などの負担も発生します。

●在宅サービス利用の要介護認定区分ごとの利用上限額
(1カ月の支給限度額)
要支援1 50,030円
要支援2 104,730円
要介護1 166,920円
要介護2 196,160円
要介護3 269,310円
要介護4 308,060円
要介護5 360,650円

上限を超えて介護サービスを利用する場合は、その分については全額が自己負担となります。なお、地域によって限度額が違う可能性はあります。
介護保険、日常生活、世話

介護保険で日常生活の世話をしてもらうことも可能


申請によって「高額介護サービス費」が支給される

介護保険には、1カ月の利用者負担の合計(同じ世帯に複数の利用者がいる場合は世帯の合計)が一定額以上になった場合は、役所へ申請することで、高額介護(介護予防)サービス費としてお金が戻ってくる制度があります。

自己負担、限度額

1か月あたりの自己負担の上限


サービス利用者が1割負担の人だけの世帯は、年間の限度額が446,400円になります。また、同じ世帯で介護保険と医療保険(国民健康保険等)の両方を利用している場合も、限度額の設定があります(高額医療・高額介護合算制度)。

公的医療保険の高額療養費制度と同じように負担額に上限があることは、介護への備えとして心強いものです。しかし、将来制度改正によって引き上げ(負担増)になる可能性があることも、想定しておいた方が無難です。

自分で介護費用に備えるなら、貯蓄か保険

公的介護保険以外での介護への備え方としては、介護が必要になった時のために貯蓄をしておくことや、民間の介護保険に加入することなどが考えられます。

●貯蓄で備える場合
将来の生活費や住宅購入費など使用目的が決まっている貯蓄とは別に確保する必要があります。確保する金額は介護が必要になった時に利用したいサービスによって異なります。いつ介護が必要になるかわからないので、早めに目標額を貯蓄しておくことが大事です。

●民間の介護保険で備える場合
貯蓄と違って加入した時点から備えを確保できます。保障内容は主に介護一時金保障と介護年金保障があり、介護一時金は介護初期段階での一時的支出に備えることができ、介護年金は月々の介護費用負担に備えることができます。ただ、保険に加入すると当然、保険料負担は発生します。
家族、安心、介護、備え

家族のためにも安心できる介護の備えをしておきたい


結局、民間の介護保険は必要?

民間の介護保険に加入したほうが良いかどうかは、医療保険やがん保険などと同じ考え方ができます。介護への備えは誰でもあったほうが良いです。その備えを貯蓄でするのか、保険を使うのかは人によって異なります。

保険料を払ってでも介護が必要になった時の経済的負担を極力回避したいなら、民間の介護保険にも加入した方が良いですが、貯蓄などの自助努力で備えられるなら、加入しなくても良いのです。

ただ、貯蓄にせよ保険にせよ、何も備えがないのは避けておきたいところです。財布に100円しか入れずに出かけるようなものですよ!

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