医療保険

民間の介護保険は入った方がいいの?検討するときに確認しておきたい注意点

介護が必要な「要介護状態」は、人によってさまざま。「もしかしたら、公的介護保険だけの給付では足りないかも?」と考え、民間の介護保険への加入を検討している方もいるでしょう。まずは「公的介護保険」「民間介護保険」のそれぞれの特徴を理解しましょう。

舟本 美子

執筆者:舟本 美子

おひとりさまのお金・ペットのお金ガイド

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日本の社会保険制度には、公的な介護保険制度があり、すべての40歳以上の人が加入します。公的介護保険を利用すれば、さまざまなサービスを受けることができ、介護による負担を和らげることができます。

しかし、介護が必要な「要介護状態」は、人によってさまざま。「もしかしたら、公的介護保険だけの給付では足りないかも?」と考える方も中にはいるでしょう。そんなときの不足を補うために民間介護保険に入るという選択もできますが、民間介護保険に入る前に確認してほしいことがあります。今回は、民間介護保険の特徴や、加入するときの注意点などをまとめます。
民間の介護保険に入った方がいい?

民間の介護保険に入った方がいい?

公的介護保険について

「民間介護保険」を検討する前に「公的介護保険」について正しく理解しておきましょう。まずは公的介護保険の加入方法や給付内容など、制度について説明します。

●公的介護保険の加入方法
公的介護保険は、40歳以上になれば、すべての人が強制的に加入します。会社員や公務員であれば、会社が加入している健康保険組合に加入し健康保険料とあわせて介護保険料が給料から天引きされます。自営業、フリーランスであれば、国民健康保険に加入し市町村から国民健康保険料と介護保険料が含まれた納付書が届き、支払います。

●公的介護保険の給付を受けられる人
公的介護保険は、要介護認定になったとき、所定の介護サービスが受けられます。どの年齢もすべて対象にあるわけではありません。

65歳以上の人は「第1号被保険者」といい、介護保険制度での要介護状態になれば給付を受けられます。

40~64歳の人は「第2号被保険者」といい、老化に起因する特定の病気(16疾患)で要介護状態になった場合に限り、給付を受けることができます。

【主な老化に起因する特定の病気など】
・がん(末期)
・関節リウマチ
・筋萎縮性側索硬化症(ALS)
・後縦靱帯骨化症
・骨折を伴う骨粗しょう症
・初老期における認知症

詳しくは、厚生労働省のホームページで確認できます。

・参照:特定疾病の選定基準の考え方
https://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/nintei/gaiyo3.html

介護保険制度は、40~64歳の間に、万が一交通事故などで要介護状態になっても給付を受けることができません。また、公的介護保険に未加入の40歳未満の方も給付対象外となりますので注意しましょう。

●公的介護保険は現物給付
公的介護保険を利用したいときは、その本人が、介護や支援が必要なレベルはどのくらいなのかを判定してもらう「要介護認定」を受ける必要があります。

要介護認定は、医師の意見を参考にケアマネジャーによる調査が行われ、「自立(非該当)」「要支援(2段階)」「要介護(5段階)」のどのレベルなのか見極められます。

それぞれのレベルに応じて、介護サービス支給上限が決まります。ただし、公的介護保険は、お金をもらうのではなく、介護サービスを現物給付で受けることになり、それに対し1~3割の自己負担が必要になります。65歳以上の方の多くは1割負担ですみ、高齢者のうち、現役並みの所得がある方のみが、2~3割を負担します。

次に、公的介護保険を利用した場合の一般例を紹介します。

仮に、要介護状態の5段階のうち、一番軽い状態の「要介護1レベル」で公的介護保険を利用した場合、1カ月あたりの介護サービス支給上限は16万7650円です。では、1カ月で「10万円分」「20万円分」の介護サービスを、それぞれ受けたときの自己負担額を見てみましょう。

【1カ月で10万円分の介護サービスを受けた場合】
支給限度額内となるため、1割となる1万円だけを自己負担します。

【1カ月で20万円分の介護サービスを受けた場合】
「20万円−16万7650円=3万2350円」となり、支給上限を超えた金額は全額自己負担になります。さらに、支給対象残額の16万7650円の1割である1万6765円もあわせて支払います。よって、自己負担合計は「1万6765円(1割負担額)+3万2350円(全額自己負担額)=4万9115円」となります。

・参考:サービスにかかる利用料 | 介護保険の解説 | 介護事業所・生活関連情報検索「介護サービス情報公表システム」

民間介護保険について

民間の介護保険の加入方法や給付内容などを確認しましょう。

●民間介護保険の加入方法
民間の介護保険は、保険会社が販売しています。民間の介護保険を販売している保険会社の商品内容を確認し、必要と思えば加入します。年齢は、一般的に20歳以上から加入できます。申込みをするときに、健康状態を告知する必要があり、保険会社からOKが出れば加入できます。保険料は、年齢・性別・保障内容などにより違いがあります。

●民間介護保険の給付
民間介護保険は、商品ごとに契約内容が異なりますが一時金、年金形式などでの現金給付となります。商品によっては、加入者が亡くなった場合の死亡給付金がついているものもあります。

民間介護保険を検討するときの注意点

介護状態になれば、いろいろなお金が必要になるため、民間介護保険のような現金給付がある保障は、収入の補てんとして扱い、必要に応じて自由に使えるので便利と思うかもしれません。

しかし、民間の介護保険の場合、給付金が受け取れるのは「要介護1以上」「要介護2以上」「要介護3以上」など個々に条件が異なっている、別途、「当社所定の介護状態に該当すること」という独自基準が必要になり、その条件を満たさないと給付が受けられない場合があります。

「要介護状態になったら、お金がもらえるだろう」と考えず、公的介護保険の要介護認定レベルだけで、加入する民間介護保険の給付が受けられるのか、それ以外に満たさないといけない条件があるかどうかを、契約前に契約担当者にしっかり確認するようにしましょう。

まとめ

要介護状態になり、介護を受けることになったときにかかる介護費用は1~3割です。もし、公的介護保険を利用した上で介護費用が高額になった場合には、さらに「高額介護(予防)サービス費」「高額医療・高額介護合算制度」なども使うことで負担を抑えることができます。民間介護保険を検討する前に、公的介護保険制度をよく理解しましょう。そのうえで、必要性を感じたら、複数の民間介護保険を比較し、慎重に加入するようにしましょう。
 
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