損害保険/火災保険の基礎を学ぼう

台風・竜巻、火災保険の風災補償のここをチェック!

台風や竜巻など気候変動の影響で風災による被害も増えています。火災保険では「風災・雹災・雪災」という補償から保険金が支払われます。自由化前の古いタイプの保険には支払条件や免責事項があるため注意が必要です。火災保険の風災のポイントをまとめます。

平野 敦之

執筆者:平野 敦之

損害保険ガイド

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火災保険は風災の補償で台風や竜巻など風の損害をカバーする

台風・竜巻などは火災保険の風災で補償される

台風・竜巻などは火災保険の風災で補償される

気候変動の影響で台風や竜巻、強風、水害、土砂崩れなど自然災害が多発しています。風災の被害が発生すると比較的大きな損害になることから火災保険でも重要な補償の一つです。

風による損害を火災保険では「風災・雹(ひょう)災・雪災」という補償でカバーします。風と雹と雪が一緒になっています。火災保険商品においてはこの点は各社共通です。

台風や竜巻、強風などの風災と火災保険をテーマにそのポイントをみていきましょう。

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火災保険、種類のここをチェック

風災・雹災・雪災(以下、風災と記載します)の補償は多くの火災保険で中心的な補償の一つです。火災保険の種類ごとにどのように違うかチェックしていきましょう。

■自由化前の古いタイプの火災保険
具体的には、住宅火災保険、住宅総合保険、普通火災保険、店舗総合保険などです。これらの火災保険にはいずれも風災の補償がついています。

注意点としては後で解説する保険金の支払いに一定の条件があることには注意が必要です。また竜巻や強風などの場合は、風災だけ考えればいいのですが、台風の場合には風だけでなく、水害による浸水や洪水、土砂崩れなどまで発生する可能性があります。

水害による損害は火災保険では水災という別の補償になりますが、上記の火災保険では住宅火災保険や普通火災保険に水災の補償はありません。古いタイプといっても昔は住宅ローンの利用期間に合わせた形で火災保険に加入していました。

35年契約の火災保険などもありましたから、こうした機会にどのような補償に該当するか確認してみてください。

■現在の損保各社の火災保険
損保各社が発売している火災保険は各社バラバラなため、一律の補償内容ではありません。共通しているのは補償の異なるプランを選べる、あるいはそもそも補償そのものを選べる火災保険があります。

風災の補償については除外できるものとできないものがあります。比較的付帯されているものが多いですが、なかには風災を外す選択ができる火災保険もあります。なお、水災についてはどの火災保険も除外することが可能です。

風災・水災ともに自分で積極的にこれらの補償を外す選択をしなければ付帯されていることが多いと考えてください。

なお火災保険の水災の補償については巻末に関連記事があるのでそちらをみてください。風災以上に保険金の支払い条件が細かいので注意が必要です。
 

何に(目的)火災保険を付帯するかここをチェック

火災保険の種類も大事ですが、一体何に保険をつけているのか?保険の目的も確認しておきましょう(店舗物件は店舗併用住宅を含みます)。主に次のものが対象になります。

■住宅物件 建物、家財
■店舗物件 建物、家財、設備什器、商品 など


意外と分かっていない人が多いのですが、何に火災保険をつけるのかは自分で決めることです。例えば持ち家で建物に火災保険の契約をしても、家財にまで火災保険が勝手についてくるわけではありません。

せっかく風水害を対象とする火災保険に加入していても保険を何につけているかで受ける補償は大きく変わります。これらすべてに保険をつけて住宅ならさらに地震保険まで契約すれば内容は十分です(但し居住の部分がなければ地震保険は加入不可)。

ただ保険料とのバランスがあるのでここは難しいところです。それから家財に補償をつける場合には30万円を超えるような貴金属や宝石、書画、骨董類などは別途加入する必要がありますので要注意です(詳細はこちら→明記物件について)。
 

風災の補償に20万円以上の条件や免責金額がないかチェック

風災を補償する内容の火災保険の場合、重要なのは自己負担の金額です。先ほど古いタイプの火災保険には保険金の支払いに条件があると言いました。具体的には「損害額20万円以上」となった場合に損害の全額が保険金として支払われます。

つまり台風などによって被害がでても損害額が19万円なら保険の支払いはなく、20万円以上になってはじめて補償が受けられることになります。古いタイプの火災保険ではここの点は良く注意してください。もちろん雹災・雪災も同様です。

最近の火災保険はというと、風災に限らず火災やガス爆発、水災などすべての補償に共通した自己負担額の設定をすることが中心です。ゼロもありますが、1万円、3万円、5万円、7万円、10万円などの設定をします。

先ほどのように20万円以上になったら全額支払うのではなく、5万円と設定したら5万円までは常に自費になるような設計の仕方になっています。損害保険会社によっては風災などにあえて高額な免責金額(10万円・20万円など)を設定できるケースもあります。

理由はその分火災保険料が節約できるからです。高額免責の設定をするようなケースであれば、その趣旨はよく説明されているでしょうが、台風などもこれまでより多く発生することも多いので、自分の住んでいる地域や建物の構造などを考慮して決めましょう。
 

台風や強風など風災による損害の請求漏れに注意

風災による損害は何も建物の屋根が吹き飛ぶなど大きなものばかりではありません。一戸建てなどの場合、屋根に損傷がでていることもありますし、外壁に損害がでていることもあります。

居住に問題が発生するようなケースならすぐに保険会社に連絡するでしょうが、ちょっと屋根に損害がある程度なら屋根をみることもないため、そのままほったらかしになっていることも珍しくありません。

最近は火災保険の請求代行などによるトラブルも多発しています。こうした業者が声をかけてきたら保険会社や保険代理店に連絡して保険金の請求相談をしてみてください。

※火災保険商品によって内容に多少違いがあることは考慮してください。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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