損保各社で多様化する火災保険の費用保険金とは
火災保険には大きく分けると2つの補償があります。「損害保険金」と「費用保険金」です。
損害保険金は、火災や台風、水漏れ、盗難などで被害を受けた際にその修理費や再築・再購入のための保険金を支払うものです。しかし実際には直接の損害による修理、再購入費用だけでなくそこから様々な費用負担が発生することがあります。
例えば火災で建物が被害を受けた際、建物修理費などの他に残存物の撤去などにもお金がかかります。損害保険金は修理や再築費用は負担しますが、そうした撤去費用まで補償されません。
このようなときに発生する損害をカバーするのが「費用保険金」です。この火災保険と費用保険金について解説しましょう。
費用保険金は各損保で多様化
火災保険の補償で各社で比較しにくいのがこの費用保険金です。以前はかなり似た内容でしたが、現在では各社付帯する費用保険金の数は内容はかなり違うと考えてください。同じようなものはありますが、かなりばらけている状況です。
費用保険金には支払いの限度額がある
例えば建物を目的に火災保険を2,000万円の契約金額で加入したとします。費用保険金の場合、この金額に割合と金額の上限(あるいはいずれか)が定められています。例えば損害保険金の30%、1事故100万円が限度などという具合です。この場合、損害保険金が2,000万円なら30%で600万円ですが、100万円が限度になります。
最近は費用保険金の種類によってこの割合や金額を選べることもあります。割合の上限を10~30%、金額の上限を100~300万などです。このあたりは損保会社で違いがあります。
金額の割合が高く、上限が多くなれば保険金は高くなります。次にいくつかの費用保険金の補償について確認してみましょう。
臨時費用保険金
費用保険金としては軸になるもので、所定の損害があれば支払対象になるケースが多いものです。最近は似た内容で違う名称にしていることもあります。一般的な火災保険の支払事由(火災、落雷、破裂・爆発など火災保険の種類によって異なる)によって保険の目的となっているもの(建物や家財など)に損害があって保険金が支払われるときに支払われる費用保険金です。
つまり火災保険で損害保険が支払われる場合の多くで臨時費用保険金も支払いになります。使う場面が多いので重視したい補償です。
費用保険金の軸といったのは、火災保険金の支払いとなる事案のほとんどで対象になる費用保険金だからです。損害保険金で一部支払いできないものなどがある場合、それを埋めるのがこの費用保険です。
残存物取片付け費用保険金
最初に記載しましたが、損害があった場合の残存物の撤去費用をカバーします。木造住宅で全焼してもきれいに灰になることはありませんのでこの部分は意外とお金がかかります。失火見舞費用保険金
自分の家から火災や爆発などを起こして第三者の建物などに対して損害を与えた場合に見舞金などの費用に対して保険金を支払うものです。自分が火元となって隣家に類焼した場合などにお見舞い程度の金額ですが、保険金を支払うことができます。【参考記事】
自分が火元で類焼…賠償責任はないの?1
自分が火元で類焼…賠償責任はないの?2
地震火災費用保険金
地震が原因で発生した火災による損害が火災保険ではなく地震保険に加入が必要です。しかし地震火災費用保険金というのは地震保険とは違います。地震火災費用保険金は地震・噴火・津波を原因とする火災によって建物が「半焼」以上となったときに保険金が支払われるものです。
地震保険に加入しておらず地震による火災の被害にあった場合、一定条件下で保険金の支払があるというわけです。単純に地震による倒壊は対象外です。
契約金額×5%が基本ですが、近年この割合を最大50%まで引上げている損保がいくつかあります。これにより本来火災保険の50%までしか加入できない地震保険を、地震が原因の火災の損害に限って100%にすることができます。
地震保険の補償を上乗せして100%にする方法
損害防止費用保険金
火災、落雷、破裂・爆発の事故で消火活動のために必要または有益な費用を支出した場合に一定の算式に基づいて支払われる保険金。その他火災保険のさまざまな費用保険金
こうしたものの他にも費用保険金には新しい補償もでています。例えば「家主費用」。賃貸マンションのオーナー向けで居住者が孤独死した場合の原状回復のための清掃・消臭費用や家賃保証をします。また「水道管修理費用保険金」といって水道管凍結などに対応する補償もあります。
火災保険に付帯されている費用保険金について取り上げてみました。列挙したらきりがありませんが色々な費用保険金があります。意外と軽視されがちですが、事故の際にはかなり役に立つものです。火災保険のプランを考える際に参考にしてください。
水道管凍結・破裂などの事故は火災保険の対象?
※保険会社によって名称等が異なる点は考慮してください。
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