地震保険には4つの割引制度がある
地震保険には4つの割引制度があり、保険の対象となる建物の免震性能や耐震性能などに応じて割引率や確認書類などに違いがあります。地震災害に強い免震性能や耐震性能が高いほどお得になる仕組みになっていますが、割引適用には覚えておきたいポイントもあります。地震保険の割引制度とそれぞれの割引率、適用のための確認書類などついて解説します。
地震保険料の決まり方
地震保険の保険料は、保険の目的となる建物(あるいは家財が収容されている建物)の所在地や物件の建物構造によって決まります。所在地については1等地から3等地という区分を設けていますが、都道府県ごとに分類されていると考えてください。構造については2区分(イ構造とロ構造)で保険料が変わります。イ構造とロ構造の違いは下記のとおりです。
- イ構造:耐火建築物、準耐火建築物、省令準耐火建築物等
- ロ構造:イ構造以外
このように所在地(都道府県)と構造(イ構造・ロ構造)で基本的な地震保険料が決まります。これを踏まえて地震保険の割引制度について具体的にみていきます。
地震保険の割引制度と確認資料(必要書類)
地震保険の割引制度は2007年10月に2つ追加されて現在4つの割引制度があります。その後2014年7月に一部の割引率が拡大されました。割引適用のためには確認資料(必要書類)の提出が必要で、口頭で該当するなどと言っても割引は適用されません。
■免震建築物割引(割引率50%)
住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく免震建築物に該当
【確認資料・必要書類】
- 建設住宅性能評価書または設計住宅性能評価書
- フラット35Sに関する適合証明書または現金取得者向け新築対象住宅証明書
- 住宅性能証明書
- 長期優良住宅に関する技術的審査適合証
- 認定通知書等の長期優良住宅の認定書類および設計内容説明書等の免震建築物であることまたは耐震等級が確認できる書類
- 耐震性能評価書(耐震等級割引) など
■耐震等級割引
(割引率、耐震等級3:50%、耐震等級2:40%、耐震等級1:30%)
- 住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)を有す
- 国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価指針」に基づく耐震等級を有す
- 免震建築物割引と同じ
■耐震診断割引(割引率10%)
地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、改正建築基準法(昭和56年6月1日施行)における耐震基準に該当
【確認資料・必要書類】
- 耐震基準適合証明書
- 住宅耐震改修証明書
- 地方税法施行規則附則に基づく証明書 など
■建築年割引(割引率10%)
昭和56年6月1日以降に新築された建物に該当
【必要な確認資料】
- 公的機関等が発行する次の書類(建物登記簿謄本、検査済証、建物登記済権利証、建築確認書など)
- 宅地建物取引業法に基づく重要事項説明書 など
2019年1月の改定ではこの要件も拡大されます。保険証券がない場合などでは契約の満期案内などに割引適用の記載があれば適用することができるようになります。
割引制度の適用が一番簡単なのが「建築年割引」です。昭和56年6月1日以降の建築基準法改正後の建物であれば割引が使えます。築37年以内であれば該当するので多くの人が該当します。
地震保険の割引制度が重複した場合とその他ポイント
地震保険にはこのように4つの割引制度がありますが、実は重複適用はできません。有利な割引制度を一つ適用することができます。またその他の注意点としてこれらの割引制度の対象になるのはあくまで地震保険料部分ということです。地震保険は火災保険とセットで加入しますが地震保険の割引ですので、火災保険料の部分については割引が適用されません。
また割引の適用には確認書類の提出が必須です。登記簿のコピーなど自分で取り付けできるものもあれば所定の機関や業者の証明が必要なものもあります。ちょっと面倒かもしれませんが、一度提出すれば同じ割引については次年度以降は省略できます。
他の損保で適用されている割引なら保険証券の写しなどでも他の損保で同じ割引制度を使うことができます。
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