火災保険料は自己負担の免責金額を設定すると安くなる

火災保険の免責金額とは?

火災保険の免責金額とは?


火災保険や地震保険など、住まいに関係する保険の負担が近年上昇傾向です。2015年10月の火災保険の改定では保険期間10年超の契約が売り止め、2019年10月の改定でも全国平均の保険料が引き上げられました。保険料の負担増に拍車がかかった状況で、さらに次の改定の届け出もでておりさらなる改定が予定されています。

そうした中、長期契約で保険料をまとめて支払う他に、保険料負担を軽減することができる方法の一つが「免責金額」の設定です。免責金額とは事故が発生した場合、あらかじめ契約時に決めた金額を自己負担する金額のこと。これを上手く活用すると、保険料負担を軽減が可能です。
 

火災保険の免責金額とは?

「免責金額」とは事故や災害などで損害が発生した際、自己負担するものとして契約時に設定する金額のことをいいます。つまり設定した金額分の損害は自腹ということです。

仮に免責金額が3万円とした場合、損害が発生して損害が25万円だとすると3万円までは自腹で、損害額からそれを差し引いた分(22万円)について保険金が支払われます。保険金のうちいくらか自腹で支払うため、その分は保険料が安くなるわけです。
 

火災保険の免責金額はいくらに設定できる?

損害保険会社や火災保険商品によって違いはありますが、最近の火災保険は免責金額を多少なりとも選択できるタイプが主流になっています。

自由化前の各社の共通商品であった住宅総合保険などでは、火災保険の補償の一つである風災・雹災・雪災については、「損害が20万円以上になった場合に保険金を支払う」といった設定がありました。これも免責設定の一つでフランチャイズ方式といいます。

保険会社によってはこれを残しているところもあります。最近は各補償共通の免責金額を設定するものが比較的多くなっています(なお破損汚損の補償については免責金額0円にはならず、一定の免責が付帯するのが一般的です)。

また賃貸物件用の家財に付帯する火災保険などの場合、セットプランになっているためこのような補償内容のカスタマイズは苦手です。賃貸物件でこうしたことが必要であればセットプランではない火災保険に加入することが必要です。

いくつかの損保の建物に火災保険を付帯する場合の免責金額の設定方法を見てみましょう。主要な大手損保3社の火災保険の免責金額の設定は次のような免責金額構成になっています(保険目的などによって変わることがあります)。
  • 東京海上 トータルアシスト  0円、5千円、3万円、5万円
  • 三井住友 GKすまいの保険  0円、1万円、3万円、5万、10万円
  • 損保ジャパン THEすまいの保険  0円、1万円、3万円、5万円、10万円
このように各補償の免責金額を0円あるいは1万円から10万円程度まで設定できます。当然免責金額が多くなれば保険料は安くなります。

各補償共通の設定ですので、火災、落雷、ガス爆発、風災、水災、盗難など損害の発生原因に関わらず共通した免責設定です。

例えばマンションの専有部分などは木造の一戸建てより、災害には構造上強いので、免責金額を設定することで保険料を削減することができます。なお、最近の火災保険には「破損・汚損(または不足かつ突発的な事故」の補償がついています(付帯されていない場合もあります)。

仮に他の補償について共通した免責金額をゼロに設定しても、この補償には通常1万円程度の免責金額が設定されています。プラズマテレビの破損などまで対象にするのでリスクが高いためです。
 

自然災害では別途免責設定をできるケースもある

風災・雹災・雪災については昔の火災保険のように20万円以上の損害があった場合に支払うとしたり、他の補償と別に10万円あるいは20万円などの免責金額の設定ができる損保があります。水災(床上浸水など)も同様に、免責金額というよりは支払基準(実損や定率など)を選べるケースもあります。

これは建物構造(マンションや一戸建てなど)でこうした自然災害の被害に強い弱いという違いがあったり、物件の所在地や地域性なども火災保険には関係するためです。自分の住まいの周辺環境をよくチェックして免責金額の設定を検討してください。なお地震保険には、こうした免責金額の設定はありません。
 

火災保険に免責金額を設定する際のポイント

火災保険に免責金額をつける際のポイント

火災保険に免責金額をつける際のポイント


最初に不要と考えられる補償は削除(マンションの上階で水災削除など)、無理のない範囲で免責金額を設定します。基本的な考え方としてこのくらいの自腹なら大丈夫という範囲です。

その上で削減できる保険料とのバランスを考慮して検討することがポイントです。
理屈は簡単ですが、実際に活用するには条件があります。次にその詳細をみてみましょう。
 

発生する可能性が高い災害や事故に免責を設定しない

第一に、補償の削除や免責金額の設定をして問題がないか契約前にきちんと検証することです。まずは住居のある地域の周辺の状況確認をしましょう。

雪国であれば雪害、台風がよく上陸する地域なら風災や水害、自宅裏に山があったり、近隣に川があれば土砂崩れや水害の可能性は否定できません。河川からある程度距離があっても近年発生が続く想定外の災害で被害に遭うケースもあります。

近年は都市型の水害もありますから、これまで災害がなかったことなどは別に考えて、想定されるリスクを考えていかなければなりません。特定の災害や事故が発生する可能性が高いことが分かっているのであれば、それも考慮して火災保険の設計をする必要があります。
 

設定した免責についてきちんと理解しておくこと

第二に、削除した補償や免責金額の設定についてきちんと理解し覚えておくことです。これらの設定は、火災保険に加入しているにも関わらず保険事故があっても保険金の支払いに制限をつけるものです。

災害や事故があったのに、補償を削除したために、保険金が支払われないことは理不尽に感じるかもしれませんが、必要な補償に重点を置いてそうでない補償には多少なりとも制限をつけて保険料を安くすることは合理的な保険の加入方法です。

この基本的な考え方を理解しないで、単に安くなるからと補償を安易に削除したり、免責金額の設定をすると保険事故発生の際にこんなはずではということになりかねません。免責金額を試算してみたら、このくらい安くなるなら免責ありでよしなのか、この程度の差額なら不要と感じるかという感覚的なお金の部分も大事なことです。

必要のない補償を削除したり、免責金額を住環境の実態に合せて設定することで保険料を節約することが可能です。火災保険料(地震保険も)は値上がりに拍車がかかっているので、保険料の節約を考える際にはこうした考え方も選択の一つとして検討してみるといいでしょう。

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