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世界のビール(2ページ目)

日本で最も多く消費されているアルコール飲料のひとつであるビール。でもそれは世界に数多あるビールのほんの1ジャンルに過ぎません。世界各地のご当地ビールは旅のシーンをより美味しく彩ってくれるはず!

古屋 江美子

執筆者:古屋 江美子

旅行ガイド

チェコのビール

チェコビール
ピルスナーウルケル
国民一人あたりのビール消費量が世界ナンバーワンのチェコには、470以上の銘柄が勢ぞろい。朝の通勤途中やお昼にパンと一緒に楽しむ人もいるというほど、ビールが暮らしに溶け込んでいるお国柄です。

チェコを代表するビールといえば、19世紀後半にドイツ近くのピルゼン市で生まれた淡色ラガーの「ピルスナー」。美味しさの秘密は、この地方で採れるザーツと呼ばれる良質のホップと軟水の好相性にあるといわれています。いまでは世界各地で飲まれているピルスナーですが、本場のものは差別化するために「ピルスナーウルケル」(※ウルケルとは元祖・原点といった意味)と呼ばれます。このほかにブドヴァル醸造所の「ブドワイザー」も有名。英語読みをすると「バドワイザー」でアメリカブランドと同名ですが、本家はチェコ版です。

 

ベルギーのビール

ベルギービール
木苺を漬け込んだランビック「ブーン フランボワーズ」。ランビックはブリュッセル近郊でのみ造られている
人口1,000万人に対して120以上の醸造所、800もの銘柄を有し、ビールを飲める店は53,000にものぼるベルギー。市場で70%近くを占めるのはピルスナーですが、フルーツやハーブを使ったビールやホワイトビールなどベルギーらしい個性豊かな味が揃うのはエールです。

日本でも人気のある「ホワイトビール」は小麦を使用したエールで、色は白くにごった薄黄色。柑橘系のすっきりとした味わいで、コリアンダーやオレンジピールなどのフルーティーな風味も楽しめます。珍しいのは、ビール酵母を加えずに自然発酵させた「ランビックビール」。空気中にある酵母を利用して造られるため、熟成まで数年かかり、酸味が強いのが特徴。ランビックを2種類以上混ぜて発酵させた「グーズ」、チェリーを加えた「クリーク」、ラズベリーを加えた「フランボワーズ」などもランビックビールの一種です。

ほかに有名なのが「トラピストビール」。修道院の内部に醸造所があるトラピスト会修道院で造っているビールのことで、世界に7ヶ所ある醸造所のうち、6ヶ所がベルギーにあります。具体的には、オルヴァル(Orval)、アヘル(Achel) 、ウェストフレテレン(Westveleteren)、ウェストマル(Westmalle)、シメイ(Chimay)、ロッシュフォール(Rochefort)、そしてオランダにあるラ・トラッペ(La Trappe)。ほかに、修道院から受けついたレシピをもとに一般の醸造所が造るビールがありますが、こちらは「アビィビール」と呼ばれ、トラピストビールとは区別されます。修道院もトラピスト会修道院とは限りません。
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