美味しい中に隠された
イタリアンチーズの秘密
ゴルゴンゾーラ 愛の物語
イタリアンチーズを代表するチーズの一つゴルゴンゾーラ。ミラノのあるロンバルディア州のゴルゴンゾーラ地区の特産です。しっとりと、クリーミーでありながら、青かびのほろ苦さがたまらないチーズです。料理にも主役にやれるチーズで、ゴルゴンゾーラのリゾット、パスタなど、様々な料理に使われる人気のチーズです。
さて、このゴルゴンゾーラですが、その歴史に素敵なラブストーリーがあるのを御存じでしょうか。
とある田舎の酪農家で手伝う若者がおりました。彼の仕事は、チーズを作る時、念入りにカードをかき混ぜたり、状態を見たりとする、チーズ作りの行程では欠かせない大切な業務でした。
しかし彼はまだ若い。人を思えば、恋もします。彼はとなりの農家のお嬢さんに夢中。毎日彼女のことを考え、その気持ちは募るばかり。恋の熱にうなされてしまっていたのです。
ある日、彼はその気持ちが押さえきれなくなり、もう仕事もなにも手がつけられなくなってしまいました。そう、彼は一番大事な仕事を、次の日までそのままにしておいたのです。その仕事とは、朝、搾乳した新鮮なミルクから作られるカードを夜に混ぜなければならなかったということです。しかしこの若者の恋人を愛する情熱から生じた「おさぼり」が、このチーズに奇跡を与えたのです。きれいな青かびが、まるで芸術的なほどにまばらにあったのです。すなわち、これが今あるゴルゴンゾーラなのです。
本来ならば、仕事をさぼって恋愛に、なんてもっての他ですが、イタリアならではの、心温まる素敵なストーリーです。
この伝説は口承で伝えられ、なんと言われは16世紀に遡るそうです。
イタリアンチーズ、味わうだけでなく、知れば知る程、面白いですね。