ニワカナヘビの基本情報
写真提供:LACERTA ROOM
学 名:Lacerta agilis 別 名:-英 名:Sand Lizard分 布:イングランド南部からノルウェー南東部のヨーロッパ西部から中央アジアを経て中国西部全長:12-22cm
ユーラシア大陸に広く分布するカナヘビ科の代表種です。
分布が広いため数多くの亜種に分けられています。一般には以下のように9亜種程度に分けられるようです。
- Lacerta agilis agilis ・・・フランス、イングランドなどヨーロッパ西部から中西部
- L. a. argus ・・・バルカン半島北部、イタリア北部などから東欧
L. a. boemica ・・・ロシア南西部(ダゲスタン)のコーカサス地方北東部- L. a. bosnica ・・・ブルガリア、ギリシャ北部、ボスニアヘルツェゴビナ、クロアチア
- L. a. brevicaudata ・・・トルコ北東部、アルメニアなど
- L. a. exigua ・・・コーカサス地方、バイカル湖の東側、中国北西部
- L. a. grusinica ・・・グルジア、トルコ北東部の黒海沿岸域
- L. a. ioriensis ・・・コーカサス地方南部のグルジア
- L. a. chersonensis ・・・ブルガリア、ルーマニア、ポーランド東部、ロシア西部
画像の個体は、ほとんど流通することのないL. a. argus アーガスニワカナヘビという亜種であるそうです。
幼体とメスは褐色地に白や黒の小班点がありますが、オスは緑色に発色し、特に成熟すると頭部に青色が乗り非常に美しくなります。写真の亜種であるアーガスニワカナヘビは背中が褐色であり、褐色のラインが走っているように見えるのが特徴であるようです。
低灌木が生えていて砂質の、やや乾燥した荒れ地に生息しています。
エサは主に昆虫類ですが、飼育下では果実などの植物性のものも食べるようです。
卵生で、春から初夏にかけて4-18個の卵を産み、45-85日で3-4cmの幼体が孵化します。
小型ですが、ミドリカナヘビやホウセキカナヘビに代表されるヨーロッパのカナヘビらしく、オスは美しく魅力的なトカゲです。しかし、あまり流通せず、ときどき流通するのは主にアジアに分布するトウブニワカナヘビL. a. exigua です。これは中国のWC個体でありかなり安価ですが、飼育自体が容易であるとは言えませんので、あまり初心者向けの種ではありません。その他の亜種、特に画像の個体のようなヨーロッパのみに分布する亜種は保護の対象となっているため、めったに流通しません。
いわゆる「ヨーロッパのカナヘビ」というとミドリカナヘビやホウセキカナヘビ、あるいはカナリアカナヘビといった大きくてゴツゴツしたグループと日本のカナヘビに通じるような細身で小型のグラスリザードのグループに、印象として分けられているのですが、本種はちょうどその中間的な存在と言えるでしょう。そもそも小型のカナヘビって飼育が難しいのですが、本種のWCの場合は現地でのストック状態の悪さのためか育て上げるのが非常に困難なようです。またオス同士の闘争によって生じる小さなケガから感染症に罹ってしまうこともその原因であるようです。しかし逆に言うと、CB個体を個別飼育し、彼らの好む通気性が良く乾燥しすぎない、多湿すぎないという環境をセットしてあげれば丈夫に育て上げ、美しい体色や繁殖を楽しむことができる素晴らしいペットリザードになる可能性を秘めています。
私もいつかは日本のコモチカナヘビをしっかりと育ててみたいという夢がありますから、とても参考になります。
赤っ恥をかかない程度の知識
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ニワカナヘビの飼育方法
飼育容器45-60cm程度の爬虫類専用ケース。床面積を広くとれるようにする
温度
基本は無加温だがホットスポットを設置し温度勾配を作る
照明
爬虫類用の紫外線灯やバスキングランプが必須。できれば直射日光で日光浴をさせる
床材
本質的にはヤシガラ土など多少湿度を保持できる素材を厚めに敷くのがいいが、清潔さなどの点で問題もある。セラミックの多孔質素材も良いがマメな湿度管理が必要
容器内レイアウト
シェルターを設置する。水容器は大きめのものを設置する
餌
昆虫食。大型の個体には果実なども与えてみる
基本的な世話
陸生のトカゲの飼育法
- 皮膚があまり強くないので個体同士の闘争には注意
- 基本的には個別飼育
- 床材は清潔を保つ
- WCは駆虫が必要
- など
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