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毒ヘビ51匹事件(2ページ目)

これだけ世間を騒がせてしまっては、もはや何の言い訳もできません。まだまだこれからの動向が注目される「毒ヘビ51匹無許可飼育事件」の解説記事です。

執筆者:星野 一三雄

Q.1 誰が、何の罪で逮捕されたのか

毒ヘビを51匹飼育していた男性・・・動物愛護法違反(特定危険動物の無許可飼育)
ペットショップ経営者・・・動物愛護法違反(特定危険動物の無許可保管)、特定外来生物法違反(特定外来生物の譲渡)

Q.2 動物愛護法違反とはどんな罪なのか

今回の件は動物愛護法(正式名称:動物の愛護及び管理に関する法律)の第26条に違反しています。
第26条は「人の生命」に「害を加えるおそれがある動物」を政令で「特定(危険)動物」として定めていて、「飼養又は保管」をするためには「都道府県知事の許可」を受けなければなりません。
これに違反した場合は同法の第45条で6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられます。

つまり法律で決まっている、毒ヘビなどの危険な動物は、許可なく飼育はできないのに、今回の男性と経営者は無許可で飼育をしていた、ということです。

Q.3 特定外来生物法違反とはどんな罪なのか

今回の件は特定外来生物法(正式名称:特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)の第8条に違反しています。
この法律は、海外の生き物で、国内の生物や生態系に被害を及ぼすおそれがあるものを政令で「特定外来生物」として指定して、それを規制することにより日本の生態系を保護する目的の法律です。
第8条は、「特定外来生物」を売買を含む「譲渡」等を禁じています。
これに違反した場合は同法の第32条により、個人の場合は懲役3年または300万円以下の罰金に処せられるのですが、法人が違反した場合は1億円の罰金という非常に厳しい罰則になります。

今回の場合は、1月にショップの経営者が男性にカミツキガメを売った件がこれにあたります。カミツキガメは特定外来生物なので販売したり譲り渡しなどをしてはいけないのです。
スネークセンターにて
ニューギニアタイパン

Q.4 許可があれば毒ヘビを家で飼ってもいいのか

法律上は、可能です。
ただし、許可の申請をするときに、さまざまな安全のための基準をクリアしなくてはいけませんし、東京都のように血清を準備することを義務づけている場合は事実上個人で許可を受けることは不可能でしょう。

何にしても、名目上は知事が住民の安全に責任を持つことが前提で許可が出るわけですから、毒ヘビの飼育の許可を個人がとることは非常に難しいと言えます。
ましてや、こういう事件が起こってしまったら、100%不可能であると考えられます。

Q.5 毒ヘビを販売していいのか

Q.4と同じです。
ショップが許可を得て、購入者も許可を得ているのならば違法行為にはならないのです。

ただし、ときどきオークションサイトなどで、マムシやヤマカガシなどの国内の有毒ヘビを販売しているすっとこどっこいが見かけられますので、こういうのもなんとかせんといかんです。

Q.6 毒ヘビの輸入は違法ではないのか

大変、言いにくいのですが、正規の手続きをとっているのならば違法行為ではありません。

生き物の輸入で規制されているのは「ワシントン条約(CITES)該当種」「特定外来生物」「植物検疫法(昆虫類)」「動物検疫(家畜類)」「水産輸入防疫(水産物)」に関係する種類です。毒ヘビの仲間でこれらに無関係ならば、正式な手続きで輸入できるのです。
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