爬虫類・両生類/カメ・リクガメ・水生ガメの飼い方

ミドリガメの冬眠方法……冬眠に必要な準備や場所など!

今回は、ミドリガメの冬眠方法ミドリガメの冬眠方法をご紹介いたします。ミドリガメは、野生の個体の場合、10℃を下回る気温になると動きも鈍くなり冬眠に入ることが知られています。冬眠を始めさせることを決心したら、準備をしましょう。

執筆者:星野 一三雄

ミドリガメの冬眠方法!

ミドリガメの冬眠方法!

ミドリガメの冬眠方法!

国の両爬ファンの皆さん、コンニチハ!

今回はミドリガメの冬眠のさせ方にクローズアップしてみました。

ただし、「甲長5cm未満のミドリガメ、特にその年生まれの小さい個体を冬眠させることにはリスクがあるため勧めません
ご注意下さい。
 
<目次>
 

冬眠に入る時期

野生の個体の場合、10℃を下回る気温になると動きも鈍くなり冬眠に入ることが知られています。
日本の場合、月別平均最低気温を見ると北海道と東北が10月後半、関東から九州が11月中ということになります。この頃になると、特に屋外で飼育している場合は、昼間も日光浴をしながら何となくうつらうつらしているような様子になります。それが冬眠入りのサインと考えていいでしょう。
ちなみに、私の住んでいる宮崎では12月に入った途端に寒くなりますので、そこから冬眠をスタートさせます。
また、以前住んでいた神奈川県では11月下旬に冬眠を始めさせました。

とにかく、その時期までに、冬眠を切り抜けることができるよう食わせるだけ餌を食わせて体力をつけさせましょう。
 

冬眠に必要な準備

こちらも何度も書いていますが、私が神奈川県に住んでいるときにずっと行っていた方法であり、現在はカメの種類は違いますが、無事に毎年冬眠をさせている方法です。

・冬眠用の飼育容器
以前に神奈川県でミドリガメを冬眠させていた時は「フタ付きの発泡スチロール容器」を使っていました。が、数年前あるカメでこの容器を使ったところ、どうやらこの発泡スチロールを「食べてしまっていた」フシがあり、使用はやめました。
発泡スチロールなんて消化できませんから。基本的にはフンに混じって排出されますが、小さい個体ならば消化管に詰まってしまうかもしれませんので。
ですので、なるべく大きく深さのある「衣装ケース」を使えば問題ありません。

・砂
私は基本的に「海の砂」を使っています。子どもの頃は毎年この時期になると家族で近くの海に冬眠用の砂をとりに行っていたことを思い出します。(本当は勝手に海の砂を持って帰ってはいけません...)
もちろん、海の砂ですから塩分を除去しなくてはいけません。バケツに入れて流水で何度もすすぎます。
冬眠用ケースの底に10cm程度の深さになるように敷きますから、かなりの量が必要になります。単純に計算すると衣装ケースのスタンダードなタイプは床面積が70×35cmくらいですから厚さ10cmに砂を敷くとすれば、体積は70×35×10=24500立方cm=25リットルくらいです。大きめのバケツが20リットルくらいですから一杯半もあれば十分でしょう。
また砂は非常に汚れが溜まりやすいので、1シーズンの使い切りです。

・落ち葉
何の科学的根拠もありませんが、何となく冬眠の一番のポイントでもある様な気がしています。
なるべく他のゴミが入っていない落ち葉をたくさん集めてきましょう。冬眠中のカメの布団になると考えれば、たくさんあればあるほどいいでしょう。
前にも書いたのですが、神奈川県の実家では毎年近くの小学校に行って「イチョウ」の落ち葉をゴミ袋一杯に集めて使っていました。化学の教員らしからぬ発言ですが、イチョウの枯れ葉ってなんか健康に良さそうだし。何より、この時期集めやすいですし。
私のおふくろみたいにギンナンを拾うついでに落ち葉も集めてきて下さい。

・毛布
別に毛布でなくても布団でも何でもいいんですが、要するに「遮光」と「断熱」です。
ミドリガメは野生では、水底や水辺の大木の下などに隠れて寝ています。ですから、暗い方が落ち着いて冬眠できます。
また発泡スチロールならば、それだけで外の温度の影響を受けないわけですが、衣装ケースならそういうわけにいきませんので、少しでも断熱の措置をする必要があります。
できれば一回り大きい段ボール箱などをかぶせることができれば理想なんですが。
 

冬眠の場所

冬眠をさせるには、とにかく「どこで冬眠をさせるのか」の場所選定が重要になります。
冬眠の極意は「きちんと寒くしてあげること」です。ですから、南向きとか、日中に陽が当たりっぱなしとかという場所はよくありません。
屋外ならば北側か、西側がいいでしょう。ただし、いわゆる「雪国」とか一日中氷点下の土地というのを私は経験したことがありませんので、そういう場所の方は「凍りつかない場所」というのも大切です。
屋内の場合は「一日中、ヒンヤリしている場所」を選びます。我々住人の暖房器具の影響がない場所を選びましょう。おすすめは「北向きの部屋の押し入れ」なんですが、ものが衣装ケースですから場所を取っちゃいます。とにかく人の出入りが少なく、暗くて一日中温度が上がらない場所です。
 

冬眠の開始

冬眠を始めさせることを決心したら、準備をしましょう。
当然ですが、砂を一杯に敷き詰めて、水を入れるんですからものすごい重量になります。
設置する場所を決めて、その場所で砂を敷き詰めたり、水を入れたりします。でないと、衣装ケースなんて運べません。と経験者は語る。俺だ。

1.衣装ケースの中に、真水で洗った砂を厚さ10cm程度くらいに敷き詰めます。
2.水を砂から深さ2-5cmくらいになる程度に入れます。
3.落ち葉をありったけ入れます。
4.カメを入れます。
5.フタを閉めます。衣装ケースのフタは隙間があるので空気穴等は必要ありません。
6.衣装ケースの上から毛布を掛けます。できればこれに段ボールをかぶせます。


これでカメは冬眠に入るはずです。
最初の何日間かは、ケースの中でゴソゴソやっていますが、次第に静かになり落ち葉の中に潜っていって、砂に体を半分埋めて冬眠に入ります。

冬眠中は、2週間に1度くらいのペースで様子を見てあげて下さい。
よほどのことがない限り起きることはないでしょう。もしも起きていたら、冬眠場所の温度が高すぎることを考えましょう。
フタをしているし、水の量も潤沢ですから、トカゲやカエルの冬眠のように水切れという事故はほとんどありません。
また水も多少は汚れますが、交換する必要はありません。ミドリガメは頑強なカメですから。
 

冬眠明け

自然下では一日の最高気温が15℃くらいになると冬眠から起きてきます。およそ3月くらいでしょうか。その頃には、昼に冬眠ケースの中でゴソゴソと動き出す音が聞こえるでしょう。そうなったら冬眠明けです。
ただし、いきなり通常の飼育に戻したりしてはいけません。

宮崎では3月に入ったら、冬眠用のケースから出して、屋内で衣装ケースに水だけ張って飼育を再開します。
その後、4月になったら普通に屋外での飼育を始めています。
つまり冬眠明けは、まだ積極的に日光浴をさせずに、移行処置として屋内で水中飼育をすることを勧めます。この水中飼育で餌を食うようになったり、動き回るようになったりすれば通常の飼育を開始すればいいわけです。車でいう「暖機運転」みたいなものです。
冷えていたところを急に温かくすると良くないわけです。

いかがでしょうか?ミドリガメの冬眠って、そんなに難しくないでしょう?
ポイントは
・冬眠させる場所
・砂と落ち葉

ではないかと思っています。

カメと一緒に冬を感じることができる。これもまた日本の飼育者の歳時記であるのかもしれませんね。

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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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