爬虫類・両生類/両爬のQ&A

3時間目・優性と劣性(2ページ目)

不定期開講!今さら聞けない両爬ホビーの専門用語を授業形式で解説する「実況!両爬の生物学授業!」の3時間目です!今回のテーマは「優性と劣性」!

執筆者:星野 一三雄

優性遺伝子

正直言うと、結局今回の授業のシリーズではここを一番教えたかったんですけどね。

ヘテロRrなら何色になるか、ということだな。
じゃ、目の前に座っている君。どう思う?
「赤い色の遺伝子と白い色の遺伝子の両方を持っているんだから...絵の具みたいにピンク色のコーンスネークになる?」
なるほど。
ピンクというか紫か...これが限界。桃色にしたかった
両方持っているから赤も白もあるピンクのコーン??

先生たちみたいに、ちょっとでも両爬の品種に興味を持っていたり、あるいは生き物の形質と遺伝の知識を結びつけることができる人間ならば、「そんなバカな...」って苦笑いしてしまう答えかもしれない。けど、普通に考えたら「赤い遺伝子と白い遺伝子の両方を持っているからピンク」だよ。
「間をとって」とか「打ち消し合って」とか「中和しちゃって」とか。そう考えて「中間的」あるいは「両方の良いトコ取り」ってなるよね。

しかし残念ながらピンクのコーンスネークにはなりません。
じゃ、何色?

正解は...もうちょっともったいぶろう。

実は、対立遺伝子の間には「優性」と「劣性」という関係があるんだ。
例えばRとrの対立遺伝子の場合は、仮にRが優性であるならばrは劣性、みたいに。

そして大切なことは「優性遺伝子Rは一つでもあれば、その形質を表現できる」、一方「劣性遺伝子rは二つないと、その形質を表現できない」というルールが存在することだ。
このフォーマットも飽きてきたね
優性と劣性の関係

こまかく考える前に、このルールを身につけるために、ちょっと機械的に考える練習をしよう。
練習1:コーンスネークの黒色に関する遺伝子は「黒色を発色する遺伝子M」とその対立遺伝子として「黒色を発色できないので白色になる遺伝子m」がある。Mはmに対して優性であるとする。以下の遺伝子型を持つコーンスネークは何色になるか。

問1. Mをホモで持つMM

問2. mをホモで持つmm

問3.ヘテロであるMm

答えはコチラ

練習2:コーンスネークの赤色に関する遺伝子は「赤色を発色する遺伝子R」とその対立遺伝子として「赤色を発色できないので白色になる遺伝子r」がある。Rはrに対して優性であるとする。以下のコーンスネークはどんな遺伝子型であると考えられるか。考えられる遺伝子型を答えよ。

問1. 赤いコーンスネーク

問2. 白いコーンスネーク

答えはコチラ

というわけで、Rrのヘテロの遺伝子型のコーンスネークは優性遺伝子Rを一つ持っているから、赤色のコーンスネークになるということだ。
なんの工夫もなくてスミマセン。本当にコーンファンのみなさん、ゴメン
ヘテロは優性形質の赤いコーン

このように優性の遺伝子が表現する形質を優性形質、劣性の遺伝子が表現する形質を劣性形質と言います。

優性と劣性

ただ、よく注意されるんだけど、この日本語って誤解を生むよね。
日本語では「優性」と言えば「優れている」と理解されてしまうし、「劣性」というと「劣っている」と感じてしまいます。

こと遺伝の話に関しては全然無関係で、別に優性形質を持っているものが劣性形質のものよりも「優れている」わけではないし、逆でもないわけです。あくまでも「遺伝子が一つあれば表現できる形質が優性形質で、二つ揃って表現できる形質が劣性形質」というだけのことだから、勘違いしないように。

それと、そもそも「劣性遺伝子」という、「優性遺伝子」とはまったく別の遺伝子が存在するという考え方も正しくはない。
さっきから「赤を発色できる」に対して「白になる」を対立形質としているけど、これは「白を発色できる」という意味ではないんだね。
つまり優性遺伝子と劣性遺伝子というのは、もとは同じ遺伝子だったんだろうけど、何らかの変異が起きたりして「赤色の色素を作れなくなってしまった」遺伝子が劣性遺伝子になったと考えられている。

だからRRとRrは「赤色を作る遺伝子Rがある」から「赤色になる」、そしてrrは「赤色を作る遺伝子Rがない」から「赤色にならない」と考えれば、納得してもらえるんじゃないだろうか。
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