爬虫類・両生類/爬虫類・両生類関連の法律

危険動物飼育許可(後編)・マイクロチップ(2ページ目)

我が家のワニの飼育許可をとるためのドキュメンタリーの後編です。今回はマイクロチップの埋め込みがメインです!

執筆者:星野 一三雄

マイクロチップ埋込準備

我が家に来てからしばらくの間、ヨウスコウワニは餌を食べませんでした。
マイクロチップの埋め込みは、個体に対するストレスが大きいはずなので、すぐにはできません。少なくともコンスタントに餌を食って、術後に拒食に陥っても大丈夫なくらいの体力をつけさせる必要があります。

飼育開始後10日ほどで、ようやく確信を持って餌を食ったと言えるようになりました。
さらにピンセットからでも餌を食うようになりましたので、動物病院に相談をしました。
爬虫類にチップを入れることができる動物病院は少ないと思っていたのですが、保健所は事前に各動物病院に相談をしていたようで、宮崎市内でおそらく唯一大型の爬虫類にチップを入れることができそうな篠原動物病院を紹介されました。
ただし飼育開始は6月21日でしたので、期限ギリギリの7月20日まで体力を温存してから施術してもらうことにしました。
電話で確認をするとワニにチップを入れた経験はないらしいのですが、爬虫類の診療経験は豊富だということなので、お願いすることにしました。

ここで初めて費用に関して問い合わせました。マイクロチップの埋め込み費用として4000円ということで、私的には思っていたよりも安かったです。また、それとは別にAIPOへの登録費用として1000円を郵便局で払い込まなくてはいけません。

施術の二日前までにガッチリ餌を食わせて、ついに埋め込み当日になりました。
最近はピンセットに飛びついて餌を食うので、水槽から取り出すのにもかなり緊張をします。うーん、やはりこういう生き物は普段から触ってハンドリングに慣れさせておかなくてはいけないなぁ。
何とか取りだして移動用のケージへ。書き忘れましたが、危険動物の許可の際にはこのような移動用のケースに関しても基準があるので、その準備もしておきましょう。

いよいよマイクロチップ埋め込み

動物病院に到着すると、運良く他の患者(?)さんはいなかったのでほっとしました。いや、だってねぇ。ワニだから。
診療台の上に乗せられても、かなりおとなしくしていてホッとしましたが、念のためタオルで目隠しをして口と尻尾を押さえます。
マイクロチップは施行規則で「左後頭部」と決まっていますので、先生はその場所を消毒。
怖ぇ...
右がマイクロチップのインジェクター。左の注射針と比較してこの太さといったら。
写真:All About「ネコ」サイトより

マイクロチップは長さ15mm、直径2mm程度の大きさです。これを注射器のようなインジェクターで皮下に挿入するのですが「インジェクター、針、太っっ!!」って感じ。直径2mmのものを入れるんですから針は3mmくらいあるわけです。人間だったら刺された瞬間に失神しちゃうでしょ、コレ。
で、いよいよ挿入。

血も出ないまま終了。本当に一瞬で終わります。ワニは痛かったんでしょうけど無反応。一応、念のためリーダーでワニの左後頭部辺りをスキャンしてみると、確かに表示部にID番号が表示されました。傷口は手術用の瞬間接着剤で縫合します。施術は完全に成功しました。
施術後の注意は、せいぜい不潔な水の中に入れないことくらいだそうです。
篠原先生にお礼を言って待合室で待っていると、どんどん犬とか猫とかの患者さんがやってきました。
なんとかケージをバスタオルで隠して、こちらに関心を持たれないように必死でしたよ。

マイクロチップの埋め込みを行ったら、施術した獣医師が「登録用紙」を作成します。
その登録用紙に、登録費用の振り込みを行った証明用紙を貼付して、登録センターに郵送します。
さっそく翌日に郵便局で1000円の登録費用を振り込み、登録用紙を郵送しました。
これで仮にワニが逃げて警察で保護されても、マイクロチップリーダーで登録番号を読みとれば、私のワニであることがすぐにわかるようになったわけです。

この記事を書いている8月10日で、チップを入れてから10日ほどですがワニの方には何ら変化はありません。というかますます調子に乗って餌を食いまくってます。正直、心配して損した気分です。

中学校3年で習う電磁誘導を利用しているらしい...すげぇ
マイクロチップリーダー
撮影協力:篠原動物病院
おそらく、チップを入れることに対して抵抗を感じる方も多いと思います。しかし、危険動物と特定外来生物にはマイクロチップを入れて個体識別措置を施すのは義務です。
少なくとも、私のワニに施術をして下さった篠原先生ならば、チップを入れることに何の不安を持つ必要はありません。
近いうちに、今度は我が家の特定外来生物であるタイワンスジオにもチップを入れてもらおうと考えています。

というわけで、今回は危険動物を飼育するために必要な手続きをひと通り行ったのですが、正直に言うと思ったほどの手間はかからなかったような気がします。もっと嫌な顔をされたり、相手にしてもらえなかったりするのかと思っていましたから。
みなさんも正々堂々と、自分が好きな生き物を飼育するために、必要な手続きを積極的に行うようにしていきましょう。

ただね、いや、もう本当にお金かかりましたよ。ワニそれ自体を抜いてもいくらかかったんだろう...いや、それだけ手間をかけたのだから愛着もわいて幸せに飼育できるはずだ!!!!

<参考サイト>
環境省
All About「ネコ」サイト

<おすすめINDEX>
必須法律知識

<ガイド記事>
特定外来生物法 Part10 マイクロチップが現実に!
動物愛護法改正(後編) 特定危険動物
特定外来生物法 Part14 飼育許可をGET!!
法律条約関係データベース 特定(危険)動物指定種リスト
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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。

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