イエコの飼育方法とは

イエコの飼育方法とは

全国の両爬ファンのみなさん、コンニチハ!!
餌動物飼育繁殖図鑑の第4回です。
今回は前々回のマウスに並ぶオーソドックスな餌動物の代表「ヨーロッパイエコオロギ」に関してです。
 
D.tinctorius regina
ヨーロッパイエコオロギのオス(中央)とメス(左右) 写真:みとコオロギ
 
体 長 20~25mm
生息地 ヨーロッパ南部原産・現在は世界各地に帰化
用 途 中小型トカゲ・ヤモリ・カエル・有尾類など虫食性種全般の主食
使用方法 両爬にあった各サイズを生きたまま、必要ならば脚を折って動きを制限してケージ内に放したり、餌容器に入れる。あるいはピンセットでつまんで与える。
解 説 フタホシコオロギに代わり、もっともポピュラーな餌昆虫として広く使われている。自然下では草原から人家周辺まで多様な環境に生息しているらしい。頑強で寿命も長く餌昆虫としてストックしておくことに向いている。ただし強烈な跳躍力の持ち主で、扱いが難しく、時として飼育者をキレさせる。
 
ヨーロッパイエコオロギの栄養成分表(可食部100g中)
食品名 エネルギー(kcal) 水分(g/100g) 蛋白質(g) 脂質(g) 炭水化物
糖質(g)

コレステロ
ール(mg)

ビタミン(mg) 無機質
A (IU) B1 B2 B3 C D (IU) E カルシウム(mg) その他(g)

ヨーロッパイエコオロギ

179 62 21 5.7 3.1 -- -- -- -- -- 11 -- -- 22 1.52
 

餌としてのイエコの飼育!コオロギの繁殖に挑戦しよう

とにかく、草食性種と水生種およびヘビ以外の両爬の飼育には欠かすことができないのが、このコオロギであります。コオロギが餌動物として一般化するまでは、特に日本では餌用の昆虫は基本的に栄養のバランスに問題があるミールワームしか入手できませんでした。

コオロギの登場で、当時の両爬愛好家たちは餌の入手が容易になり、一気に両爬飼育の幅が広がったと言えるでしょう。特にカメレオンを飼育したがっていたファン達には、まさに福音だったのです。

餌用のコオロギとして、現在ではフタホシコオロギと本種の二種がメインに流通しているわけですが、その理由は何と言っても、この二種が「一年中、繁殖が可能」だったことです。
日本に生息しているコオロギ(エンマコオロギなど)は基本的に秋にしか繁殖できません。ですから、一年中、飼育のための餌として確保しておくことが困難なのです。本種やフタホシコオロギなどは一年中繁殖させることが可能なため、いつでもどんなサイズでも餌として用意されているわけです。

いくつかの点さえ注意すれば、比較的容易に飼育でき、繁殖もさせることができますから、自宅でも飼育繁殖をさせて、いつでも必要な量を確保したいところです。
 
イエコMLサイズ
このサイズが一番重宝します 写真:みとコオロギ







が、実はこのコオロギの飼育って、面倒くさい部分も多いのです。ですから、結局はショップや餌業者さんからコンスタントに購入する方が、ずっと楽であります。かくいう私も基本的には自家繁殖に頼らず、購入に頼っているのが現状です。
それでも上手に、計画的に飼育すれば、ほぼ完全に必要分を自家生産できますので、根性とマメさがある方は、今回の記事を参考に挑戦してみて下さい。特に初心者の方は、一度は挑戦し、それから自分は自家繁殖と購入とどちらを主にするべきかを考えてみるのもいいでしょう。そういう経験って、とても大切なような気がします。
 

イエコ飼育繁殖術!飼育環境やケースに必要なものとは

基本的なヨーロッパイエコオロギの飼育と繁殖についてご紹介しましょう。
今回は、私の経験をベースにして、さらに細かい部分を、私がいつもお世話になっている「みとコオロギ」さんに監修していただきましたので、安心してご覧下さい。

飼育環境
飼育容器は、収容する数によって変わってきますが、基本的には高さのあるプラケのようなものがいいでしょう。成虫を100や200程度の数ならば30cmくらいのプラケでいいでしょう。私の家では、常時1000匹以上をストックしていますので70cm程度で深さが35cmくらいの衣装ケースを使っています。これならば軽いので移動も容易ですし、深さもあるのでさほど蒸れないし、ジャンプによる脱走も、減らすことができます。

ただしプラケのような深さが十分でないモノの場合、既製のフタではフタのメッシュから脱走されますので、私の家ではステンレスで目が細かい網をフタに噛ませて利用しています。衣装ケースの方は既製のフタをかぶせておくだけでよさそうです。

いくらコオロギといえども、所詮はムシ。一般の方から見れば「ゴキブリ」と何ら変わりません。家中をコオロギが歩き回るなど我慢ができないのが普通です。
さらにイエコは低温にも強いため、容易に帰化することが考えられます。脱走には十分注意しましょう。

温度は特別な加温は必要ありません。室温に任せればいいでしょう。ただし極端な高低温は避けましょう。20~30℃くらいまでの範囲ならばもちろん温度が高い方が成長も早くなります。
また、湿度の管理に関しては後述する水分補給以外は乾燥した環境を維持した方が衛生的です。

二つの必須アイテム
飼育ケース内には次の二つのモノが必須になります。
・隠れ家および足場になるモノ
・水容器(産卵床を兼ねる)

狭い容器の中に何百匹も収容するわけですから、隠れ家や足場になるモノが必要になります。簡素なところでは新聞紙を丸めて入れておけばいいのですが、これをするとガンガンコオロギ達が食べちゃいます。もちろん、そのコオロギを両爬に与えるわけですから、変なモノを食わせられません。
 
イエコSMサイズ
このサイズもよく使います 写真:みとコオロギ







私が使っているのは、職場の印刷機からいくらでも廃棄物として出るトイレットペーパーの芯の親玉みたいな紙製の筒です。印刷機のマスターロールの芯であります。これならば一本が大きいので足場も広くとれますし、なによりもガチガチに圧縮されて相当な硬さですのでコオロギもかじりません。個人的には、これに勝るモノはなさそうに思えます。一般の方々はトイレットペーパーの芯がいいでしょう。
これを何本か置いておけば、その中に、ごっそりと、それこそ身の毛もよだつくらいびっしりと張りついておとなしくしてくれます。
ちなみに両爬たちにコオロギを与えるときは、トイレットペーパーの芯を振って、栄養剤をまぶすために小さめのプラケなどの中にコオロギを入れればいいわけです。

次に産卵床を兼ねた水容器です。コオロギへの給水はとても大切で、コンスタントな繁殖のポイントでもあります。特に孵化直後の、とても小さなコオロギ達への給水は意外に難しいのです。
私の家ではデリカップなどに湿らせた小粒の赤玉土を入れて、ケース内に設置しています。コオロギ達は赤玉土に染みこんだ水を飲んでいるようです。ただし1000匹に対してデリカップでは小さすぎるようなので、その規模ならば小さめのタッパーを使うといいでしょう。。
 
イエコ孵化幼虫
この小ささ... 写真:みとコオロギ







その際に注意したいのは水容器はあまり高くしない方がよいということです。孵化直後の幼虫などは登れませんので、植木鉢のかけらや木の枝などで足場を作る必要もあります。
さらに湿らせた赤玉土は産卵床にもなりますのでまさに一石二鳥です。

給餌と通常の管理
餌は基本的に何でも食いますが、その後に両爬の胃袋にはいることも考えて与えましょう。ドッグフードのような脂肪分が多いモノは、そういう意味で良くありません。
私のところでは、コオロギを購入したときに一緒にサービスで送られてくる専用の餌を使っていますが、以前はニワトリの餌といろいろな生野菜を与えていました。これで特に問題はないと思われます。これらを浅い皿などに入れてケース内に設置しておけば、勝手にわらわらと集まって貪り食っています。

普段の管理は、基本的に給餌と水分の補給です。
給餌量と頻度は、毎日食べきる程度の量を与えましょう。水分の補給は、タッパーの中の赤玉土の色を見て判断をします。ただし、赤玉土の水場は、おそらくコオロギ達の糞によって目詰まりするのか、一ヶ月もすると極端に吸水量が少なくなります。定期的に交換する方がいいでしょう。
掃除はもちろんした方がいいのですが、現実には難しいでしょう。孵化した小さな幼虫などが混じってしまうと、ゴミと幼虫を選別するのが困難になるからです。
ただしあまりに餌の食べ残しや糞、死骸が多くなると臭いもきつくなりますし、ダニや小バエ、カビなどの温床になります。簡単な方法としてシェルターの筒をよく振って中のゴミも落とし、飼育ケース全体を斜めに傾けて軽く叩いてケースの端にゴミとコオロギを集めます。ケースを平坦にした後にシェルターを置けば、コオロギ達は一斉にシェルター内に戻りますので、あとはケースの端に集まったゴミだけを取り去ればキレイになります。

繁殖
サイズ毎に分けて飼育する必要がなければ、繁殖は容易です。
羽根のある成虫を飼育していれば、水容器である赤玉土入りタッパーなどに、どんどん産卵していきます。透明度の高い容器を使えば横から見たときに土の中に卵が埋まっているのが見えますので、赤玉土が入ったタッパーごとプラケなどの容器に移し替えます。
温度にもよりますが、産卵から早くて8日程度、遅い場合は2週間ほどで孵化し、非常に小さな幼虫が大量に得られます。

幼虫の飼育は基本的に前述したような飼育でいいのですが、特に孵化したての初令の幼虫は水が切れると、あっけなく死んでしまいます。前述したような赤玉土入りタッパーだけでは、水分補給に不安があるときは、生野菜などをこまめに与えて水分を摂らせる必要があります。

こうして飼育していけば、孵化から一ヶ月~一ヶ月半ほどで成虫になり産卵が可能になります。

イエコのライフサイクルを把握すれば、いくつかの飼育ケースを準備することによってサイズ別にストックが可能になります。
が、餌動物の飼育ってコオロギに限らず、結構面倒くさいので、なかなかそこまでは私もしていないのですが。

もちろんコオロギだけでトカゲたちの餌がまかなえるわけではなく、さまざまな餌を与えていくのがベストなわけです。それでも主食として、ある程度の量を常に自分でストックして、納得のいく餌をコオロギに与え、健康に育てられたコオロギを餌にできるのは、とても安心できることです。自分にコオロギの繁殖までできるかどうか、一度はみなさんもチャレンジしてみましょう。


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※ペットは、種類や体格(体重、サイズ、成長)などにより個体差があります。記事内容は全ての個体へ一様に当てはまるわけではありません。