爬虫類・両生類/両生類・爬虫類の飼い方

爬虫類の餌のイロハ!飼育では昆虫がおすすめ

両生類・爬虫類を飼育するのに、不可欠な餌である「昆虫類」。どんな昆虫が、どんな餌に使われているのか。虫食性の生き物を飼育するための基本的な知識をご紹介します。昆虫食の生き物たちは自然ではいろいろなものを食べているでしょうから、飼育下でもバラエティに富んだ餌を与えたいところです。

執筆者:星野 一三雄

爬虫類の餌のイロハ!飼育では昆虫がおすすめ

爬虫類の餌のイロハ!飼育では昆虫がおすすめ

爬虫類の餌のイロハ!飼育では昆虫がおすすめ

トカゲや両生類の飼育では昆虫が餌のメインになります。生きた昆虫が大量に必要になりますし、複数種類の昆虫を常に準備しておく必要がある場合もあります。
そのため、自分でそれらの餌昆虫をストックするのに大変な手間がかかります。こういう場合は、よく言われるように
「虫食性の生き物の飼育は、餌昆虫の飼育の方が手間がかかる」
のです。
餌昆虫の飼育に関しては、おすすめサイトの中の「餌について」のカテゴリーに多数紹介していますのでそちらを参考にしていただくとして、ひとつだけここでお話したいのは「ローディングLoarding」に関してです。
 
<目次>
 

ローディング推奨派です

餌の生き物に栄養のあるモノを食べさせて、飼育している生き物に間接的に栄養を摂らせようと目論むことを(ガット)ローディングと言います。
海外の実験では「思ったほどの効果は得られない」という結果が得られたようですが、何も考えずに餌の生き物に適当な餌を与えるよりはいいのではないかと個人的には考えています。
以前イエコの餌にドッグフードを与えてからヤモリに与えていたのですが、そのときのヤモリの太り方はすごかったです。もちろんこれはマイナスのローディングになってしまったので、すぐにやめましたが。
と言うわけで、餌昆虫には栄養十分な餌を与えてストックすることを奨めます。
 

昆虫の餌1:コオロギ

餌として流通しているコオロギにはフタホシコオロギ(以下フタホシ)とヨーロッパイエコオロギ(以下イエコ)の2種がいます。
フタホシは動きが俊敏でないため「扱いやすい」のですが、ストック時に「臭い」「共食いする」「寒さと乾燥に弱い」などの欠点があります。一方イエコはフタホシの逆で「ストックが楽」「寿命が長い」ですが、ジャンプ力が強いため「扱いが難しい」という欠点があります。また、両方とも「コオロギ」ですから、ストック中に鳴くのは当たり前。結構うるさいです...
どちらにせよ、餌として与えるときは「足を折って、動きを制限して」から与えましょう。
サプリメント次第でヒョウモントカゲモドキなどには単用してもよいくらいの栄養があるようです。
 

昆虫の餌2:ミールワーム・ジャイアントミールワーム

ミールワームはチャイロコメノゴミムシダマシというよくわからん甲虫の幼虫で、昔から小鳥の餌として流通しています。イモムシ状の動きが食欲をそそるのか「餌付きもよい」のですが「栄養のバランスが悪く」「消化もよくない」ようですので常用は禁物です。ジャイアントミールワームは外国のゴミムシダマシの幼虫でまさに大きなミールワームと言った感じです。ミールワームよりは栄養のバランスは良いようですが、やはりこれの単食というのは考えづらいです。中型以上のトカゲや大きめのカエルはかなり喜んで食ってくれます。
両方ともストックは容易ですが低温でないと、一気に両爬からは不人気な成虫になってしまって使い道がなくなってしまうので要注意です。
 

昆虫の餌3:ブドウムシ(ハニーワーム)

ハチノスツヅリガというガの幼虫です。釣り餌屋でも「ぶどうむし」の名で売られています。
写真:SPHERO AQUA
「柔らかく」「食欲をそそる動き」「栄養価が高いらしい」ということで頻繁に使いたいところですが自家養殖にややテクニックを要するようで「ストックが難しく」「脂肪分が多い」のでなかなか大量には使えません。放っておくと成虫のガになってしまいますが、また違った動きで使い道はあります。釣り餌用に流通しているものは薬品を使っているようで、常用は避けた方が良さそうです。
なお本来「ぶどうむし」と言うのはブドウの茎に入り込んで食害をする「ブドウスカシバ」という別のガの幼虫です。
 

昆虫の餌4:ショウジョウバエ

ご存じ小さなハエです。ヤドクガエルなどの小さいカエルや孵化サイズが小さいトカゲやヤモリの最初の頃の餌として重宝します。
バナナの皮などで集まってきますが、現在は繁殖用のキットが流通しています。遺伝的に羽がない個体や飛ぶ能力がない個体などが固定されていますので、それを使う方が圧倒的に便利です。
キットさえあれば比較的「容易に大量に養殖」できます。ただし以前、あるヤモリの孵化幼体をショウジョウバエとサプリメントだけで飼育したのですが、ある程度育ったところで決まったように死なせてしまいました。爬虫類には栄養的に何か不足があるのかもしれません。
写真:SPHERO AQUA
 

昆虫の餌5:シルクワーム(カイコ)

昔は養蚕業者保護のため一般での累代飼育は禁止されていましたが、法律が廃止されたために一気に両爬飼育者の間に普及した餌です。また餌である桑の葉に代わり人工飼料が普及したのも原因でしょう。「カルシウムが豊富で栄養価も高く」「嗜好性も高い」ようですが、排泄量がすさまじいため「毎日の世話が大変」です。
ただし私の家の飼育しているトカゲたちには不評でした。
 

昆虫の餌6:水の中の「虫」およびミミズ

水生の両生類や子ガメには「アカムシ」「イトミミズ」「ボウフラ」などが生きている状態や冷凍されて売っていますので重宝します。
熱帯魚用の「ブラインシュリンプ」も海水で育てるので、それさえ注意すれば両生有尾類の孵化直後の幼生には良い餌です。
ミミズは両生類・カメ・一部のトカゲなどに好まれる餌ですが、よく「釣り餌用のミミズは薬品が使われているので使わない方がよい」と言われています。これはどうやら、ミミズ(シマミミズ)には解熱作用のある物質が含まれているから、と言うのが根拠のようです。確かに「シマミミズには脊椎動物に有害な成分が含まれている」という報告もあるようなのですが、一方で「シマミミズだけで何年も飼育している」という方もいらっしゃるようです。
私としての結論は「その個体が食うのならば与えてもいいのではないか」です。シマミミズは養殖も容易ですし、いい餌になると思われます。ただし釣り用語で「ドバミミズ」と呼ばれるフトミミズは養殖が難しいようです。
 

昆虫の餌7:その他の「虫」

現在はヤドクガエル用に「様々な小さな虫」が養殖されています。「トビムシ」「シロアリ」「シミ」などなど。また農薬などの影響が少ない場所で虫をいろいろ採集して与えるのも有効な方法です。「マイマイ」は意外にも好まれるようですし、カルシウムの補給を目論んで「ワラジムシ」「ダンゴムシ」も与えてみましょう。軟体動物の貝殻や甲殻類の外骨格は昆虫類のそれよりもカルシウムが多く、消化もされやすいのです。
また、ちょっと家の軒下などを見ればたくさん見つかる「クモ」も好まれます。
特に昆虫食の生き物たちは自然では、それこそいろいろなものを食べているでしょうから、飼育下でもバラエティに富んだ餌を与えたいところです。

というわけで、今回は餌となる昆虫や虫の仲間のお話をしました。
虫が苦手な人って、多いんですが大切な両爬たちのためにがんばって下さい!


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