まだ間に合う!
釜石港の夏の名物、キタムラサキウニ。
多種の魚が揚がる釜石市場。以前は川にかかる橋の上に作られた『釜石橋上市場』があった。 |
と笑うのは、三陸の中心にある釜石市内で“魚が旨い”と評判の割烹『暮六つ』主人・柏崎久雄さん。
世界三大漁場のひとつといわれる三陸漁場は、寒流の親潮と、暖流の黒潮、さらに日本海から津軽海峡を通ってくる津島暖流と、3つの流れがぶつかって複雑な“潮境”を作っている。“潮境”では、対流で海底の栄養分が巻き上がり、魚のエサになるプランクトンが増える。これが、三陸の海が豊かな理由だ。
その三陸の中心に位置し、江戸時代から発展していた漁業基地が釜石港。 豊富に捕れる海の幸の中でも、夏の名物といえば、何といってもウニ。三陸で揚がるのは、ほとんどがキタムラサキウニ。身として食べるのは卵巣や精巣だが、ウニは秋になると産卵をするので、その直前の夏がいちばん、太って旨い時期なのだ。
ほんのりとただよう潮の香り
海の恵みを感じる、至福の味
口に入れるととろり。甘みがいっぱいに広がる。 |
挨拶もそこそこに、出してもらったウニを一口、ほおばる。
……くうぅ、旨い!
一瞬、言葉をなくすような鮮烈な味が口の中を占領する。潮の香りと、すっきりとした甘み。もちろん、薬品の妙な苦みなど、みじんも感じられない。塩味が効いているので、醤油なしでも十分に旨い。これは潮水で洗っているからこそ。
「ウニは真水で洗ったら、絶対にだめ。海の水で洗わないと、風味が落ちるんですよ」
しかし、ウニのシーズンは、同時に食中毒に注意しなければいけない時期にあたる。そこで、この数年、三陸各地の漁協では、海水を滅菌する設備を投入。釜石でも9年前から、海水を濾過し、紫外線で殺菌する設備を整えた。市内の各地で水揚げされたウニは、むき身にし、漁協から配られる滅菌海水で洗われて出荷される。『暮六つ』で一日に1kgは使うというウニは、滅菌海水に漬けたまま、水揚げの度に届けられるものだ。
『暮六つ』の詳細情報は次ページで!