寺・神社/鎌倉の寺・神社

仏像との出会いを求め、夏の鎌倉徹底歩き(5ページ目)

一般に、鎌倉には、奈良や京都ほど見ごたえのある仏像は少ないとされますが、今回は、その定説を覆すべく、鎌倉を徹底的に歩いてよい仏像を探してみました。鎌倉国宝館とグルメ情報もお見逃しなく。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド

大切な文化財を
災害から守るために建てられた国宝館

国宝館は、耐震耐火に優れた鉄筋の建物。できた当時は画期的だったのだろう
ちょっとお寺に詳しい方なら、「鎌倉の寺は、奈良や京都に比べたら、いくらか建造物が劣る」とお思いかも知れません。また、お堂の中に祀られた仏像をじっくり見られる寺も少なめです。しかし、それには深いわけがあります。

大正時代の関東大震災では、東京の下町だけでなく鎌倉も大きな被害を受け、古い建造物がたくさん倒壊しました。お寺が倒壊すれば、当然、その中にある仏像や文化財も被害を受けます。それら貴重な文化財を守るため、大震災後に鎌倉国宝館が建てられました。

よく、「仏像はお寺で拝むものだ。博物館で見るものではない」という人がいます。仏像はもともとが祈りの対象であり、単なる美術品とは違うのですから、その意見も一理ありますが、わたしは、文化財を災害から守るという観点や、誰でも見やすいという点などから、博物館も悪くないと思っています。そもそもわたしは目が疎いので、照明がある博物館内のほうが、細部がよくわかってよいのです。

鎌倉国宝館のホームページはこちらです

観音様の特別陳列は
8月3日まで

博物館はたいていがそうですが、収蔵しているものをすべて陳列するわけではなく、時期によって見られるものが違います。平成20年の7月10日から8月3日までは、特別陳列「観音様」ということで、観音様にまつわる絵画、彫刻、工芸などが展示されていました。中でも、建長寺の千手観音像や寿福寺の聖観音像などが見ものです。

観音様系の仏像だけでなく、迫力ある十二神将や、色っぽい弁天様にもお会いできました。この弁天様は鶴岡八幡宮のもので、江の島の弁天様とよく似ています。しかし、大きな違いは、江の島の弁天様が裸なのに対し、こちらの弁天様は、ホンモノの布でできた着物を着ていらっしゃることです。その着物は古いものではないので、定期的に新調していらっしゃるとお見受けしました。そして、その着物を脱ぐと、おそらく、江の島のヌードの弁天様と同じ状態になるのでしょう。

江の島のヌードの観音様に関する情報はこちら

お土産はわらび餅

わたしの場合、鎌倉に来たら、お土産には「こ寿々のわらび餅」を買って帰ることが多いです。こ寿々さんは蕎麦屋さんなのですが、デザートに出るわらび餅が評判で、これだけを単独で買いに来るお客さんも多いようです。
こ寿々のわらび餅は、異様に粘るのがポイント

こ寿々のわらび餅の情報はこちら

一般にわらび餅と呼ばれるものの中には、わらび粉だけでなく、他の澱粉や寒天等が混ぜられたものもあるようですが、こちらのわらび餅は、希少なわらび粉だけで作ったホンモノです。どこが違うかというと、まず、その弾力と粘性です。箱から出して小分けに切ろうと思っても、なかなか切れないほど粘り気が強く、手にくっついて困るほど。

京都に行くと、もっと柔らかなわらび餅もあって、これは100パーセントわらび粉なのかどうかという議論もあったりするのですが、わたしは、仮に他の混ぜものがしてあったとしても、柔らかでつるっとしたわらび餅も好きだったりします。ともあれ、こ寿々のわらび餅は、京都のお上品なわらび餅とは違って、質実剛健、これでもかっ、というわらび粉100パーセントのお味がします。武士の町鎌倉は、お菓子だって雄々しいのだ。

鎌倉には、石の仏様もたくさんあります。こういう素朴なものも、わたしは大好き!
熱心な仏ちゃんたちが老若男女を問わず集まった、楽しい散歩会でした。
今回も、参加者の方がブログに感想を書いてくださっていますので、ごらんください。
●Nさんのブログ
●Kさんのブログ

●これまでの鎌倉、江の島関係の記事はこちらにあります

●8月27日、大阪のそごうデパート内そごう劇場にて、わたしのトークショーを開催します。
入場無料(ただし、事前申し込み制 電話06-6449-0838
JTB旅物語・吉田さらさの「ふわり仏像ウォッチング」係まで)
詳しくはこちらをごらんください。 ※既に終了しています。

●「神社、寺めぐり」では、毎月2回、メールマガジンを発行中です。吉田がご案内する散歩会やツアーの詳細もお送りします。秋からは、関西方面でたくさんツアーに同行する予定なので、ご期待ください。購読を希望される方は、下記よりお申し込み下さい。
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たくさんの方の申し込みを心よりお待ちしています。

●よりよい仏像散歩をするには、まず、基本を身につけること。吉田も、奈良と京都を実例にして仏像の基礎と散歩についての本を書いていますので、ぜひごらんください。
「京都 仏像をめぐる旅」
「奈良 寺あそび仏像ばなし
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