寺・神社/中国・四国・九州の寺・神社

1月中旬から咲き始め。太宰府天満宮の飛梅

天満宮や天神様は梅の名所として有名です。その元締めに当たる太宰府天満宮には、菅原道真を追って京都から九州まで飛んできたという飛梅があり、主がなくとも春を忘れないために、そろそろ咲き始めます。

吉田 さらさ

執筆者:吉田 さらさ

寺・神社ガイド

天神様と天満宮

春の到来を告げる梅は、菅原道真ゆかりの花
○○天神とか天満宮と呼ばれる神社は全国に多く、それらはもちろん、菅原道真を神格化して祀ったものです。菅原道真は、たいへん頭がよくて勉強ができ、次々と試験にパスして出世したということから学問の神として崇められ、天満宮は、受験生が合格祈願に行く場所として親しまれています。

しかし、歴史をさかのぼれば、菅原道真は、平将門と並ぶ恐い怨霊として名高い人物でした。またたく間に右大臣にまで駆け上った道真は、他の貴族たちの嫉妬を買い、無実の罪を着せられて太宰府に左遷されたのです。まぁ、こういうのは、現代の会社の中でも、よく聞く話。今も昔も、才能のある人よりも、世渡りや策謀のうまい人のほうが生き残るってことですね。

太宰府で非業の死を遂げた道真は、怨霊となって京都にリベンジします。そのころの京都では落雷などの天変地異が相次ぎ、人々は、それを道真のたたりと考えたのです。その後朝廷は、道真の左遷を撤回し、霊を鎮めるために、京都の北野に北野天満宮を建立しました。また、道真が没した太宰府にも、太宰府天満宮が建立されました。

その後、庶民の間では天神=雷神とみなされるようになり、農耕に必要な水をもたらす恵みの神として広く信仰されるようになりました。そのため、全国的に、○○天神と呼ばれる神社が多いのです。

●菅原道真と天神様、天満宮については、こちらの記事もごらんください

太宰府天満宮の飛梅は
1月半ばから咲き始める

梅は、姿だけでなく香りもよい


東風ふかば にほいおこせよ梅の花 
あるじなしとて 春なわすれそ

道真が、太宰府に流される時に詠んだとされる歌です。「冬の終わりを告げる東風が吹いたら、また咲いて、遠くに行ってしまったわたしのところまで香りを届けておくれ。主がいないからと言って、春を忘れないように」

愛していた梅の木にそう呼びかけたところ、なんとその梅は、海を越えて太宰府の主のもとにまで飛んで来ました。その梅は「飛梅」と呼ばれ、今も太宰府天満宮の本殿の前にあります。

この梅は、主の言いつけどおりに春を忘れず、太宰府天満宮にある6000本もの梅の木の中でも一番早く、一月上旬からつぼみが膨らみ、中旬には花が咲き始めます。まだ少し寒いですが、いち早く早春気分を味わってみたい方にお勧め。また、身内に受験生がいる方は、合格祈願がてらお出かけになってみては。


飛梅は本殿の右側。12月中旬は、まだつぼみが固い
※ご注意。梅の開花時期は、その年の気候によって異なりますので、お出かけ前にご確認を。

※もうひとつ、ご注意。今回の太宰府取材は昨年の12月だったので、開花した梅の写真は撮れませんでした。この記事内で使っている梅の写真は、昨年の早春に鎌倉で撮影したものなので、あくまでイメージカットとしてお楽しみくださいね~。

次のページは太宰府天満宮の見どころ情報です。
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