機内食には課される条件がある
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当然、機内食にも通常の料理とは違うさまざまな条件を満たすことが求められる。たとえば、ソース。機内では多少の揺れにも対応できるよう、ある程度硬めに仕上げなければならない。調理してから提供されるまでに時間があくこと、機内で再度温めなおすことも考慮して味付けする必要がある。
盛り付けは食欲を大きく左右するところだが、トレーは専用トロリーに収納されるため、食器の大きさや高さは制限されてしまう。使える食材にも制限はある。こうして挙げてみると、機内食作りのハードルがいかに高いかわかるだろう。
機内では酸味や渋みを感じやすい
機内はだいたい標高2,000mと同じくらいの気圧に保たれている。気圧が低いと味覚も鈍くなるので、機内食は若干濃い目の味付けにするのが一般的。気圧が低いということは、沸点も低いということ。そのため、味噌汁には溶けやすいフリーズドライを使ったり、コーヒーの淹れ方も地上とは変えたり、なかには低沸点でも戻りやすいカップ麺を開発している会社もある。機内食のお供に欠かせないワイン選びも難しい。気圧が低く乾燥した機内では、酸味や渋みを感じやすいので、それらが強すぎるワインは選ばれない。多くの航空会社では専門のコンサルトが定期的に選考しているが、味だけでなくある程度の供給量を確保できること、いろいろな食事に合いやすいことなども考慮に入れられる。
機内では腹八分目に
気圧の変化で変わるのは味覚だけではない。胃が膨張感を感じやすいので食べすぎないのが賢明で、地上より酔いやすく飲み過ぎも禁物だ。また、乾燥している機内では水分は普段より多めに摂るように心がけたい。アルコールやお茶は脱水症状を起こしやすいので控えめに。水やフルーツが望ましい。もちろん地上とまったく同じというわけにはいかないので、美味しくなかったという声を聞くこともある機内食。しかし、ある航空会社が行ったアンケートによれば、やはり機内で一番楽しみなものは「機内食」という回答が圧倒的に多かったそう。さて、あなたのお気に入りの料理店(=航空会社)は?
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