グルメ・各国料理(海外)/海外グルメ基本情報

海外から「なんちゃって日本食」が消える?!

いまや世界各地にある日本食レストラン。「えっ、これが日本食?!」と苦笑してしまう味に出会うこともしばしば。日本食の正しい認識を促すべく、ジェトロ・パリ・センターや農林水産省が動き始めました。

古屋 江美子

執筆者:古屋 江美子

旅行ガイド

いまや世界各地にある日本食レストラン。現地のコッテリした味に飽きたときには重宝しますが、「えっ、これが日本食?!」と苦笑してしまう味に出会うこともしばしば。でも、そんなことも、もうなくなるかもしれませんよ。

美食大国フランスの「ニセジャポ」対策

もちろんニセジャポはニセジャポだと、ちゃんとわかっているフランス人も多い
ヘルシーでおいしい日本食は、いまや世界的に有名になりました。もちろん美食大国フランスでも大人気! 一方で、日本人以外のシェフが作る本来の日本食とは異なる料理を出すレストランも増えています。味付けが微妙に違ったり、お寿司とゴハンがセットになっていたり……。こうしたレストランは「ニセジャポ」などと呼ばれています。

こうしたニセジャポの味を「本物の日本食の味」と誤解する人が増えていることを懸念して、JETRO(ジェトロ/日本貿易振興機構)のパリ・センターが動きだしたのが2006年6月。日本食のブランド化や日本食を正しく認知してもらうことを目的とした日本食レストラン推奨制度の創設を発表しました。

この制度は、ニセジャポレストランに対してダメ出しするものではなく、きちんとした日本食レストランに「お墨付き」を与えるというもの。覆面でレストラン調査を行い、基準をクリアしていると判断したレストランには証明書を与えます。選ばれたレストランのみが掲示できるラベルの絵柄は、公式サイトに載っています。


日本食レストラン推奨制度の基準とは?

日本食のほかに、世界中で食べられるけどアタリハズレが大きいものといえば、パスタ。やっぱりパスタはイタリアが最高!
調査は12名のメンバーで構成される日本食レストラン価値向上委員会のメンバーによって行われます。対象となるのは、寿司や天ぷら、焼き鳥、そばなど、日本伝統の日本食(フランスで創作されたものを含む)をメインとして提供するレストランで、レストランからの自薦も可能です。

評価は衛生・安全面、スタッフ、食材など、全19項目がチェックされます。スタッフが日本食について理解しているかどうか、正しい日本語がメニューに使われているか、食材は日本製(またはそれと同等の品質のもの)を使っているかなど、なかなか厳しい内容になっています(※推奨を受けるための基準)。

現在は試験的に実施されていますが、本格的な運用が始まると推奨されたレストランは手数料を納めることになるようです。とはいえ、「権威ある日本食レストラン」として各所でPRされることになるので、お店の宣伝効果を考えると充分価値があるでしょう。

※その後、2007年には活動も本格化。選ばれた推奨日本食レストラン・リストは 、Le Comité d'Evaluation de la Cuisine Japonaiseをどうぞ。(2008/1/10追記)

次のページでは、日本の農林水産省も乗り出したなんちゃて日本食レストラン対策のお話です。
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