登録基準最多クリア! キング・オブ・世界遺産「タスマニア」(オーストラリア)
カンガルーと同じ有袋類では世界最大を誇るタスマニア・デビル。不気味な鳴き声と家畜を襲う習性から悪魔と呼ばれて駆除されてきたが、現在は絶滅が危惧されて保護の対象になっている。 |
もっとも多くの登録基準を満たす世界遺産は何か? 答えは7つを満たす中国の「泰山」と、オーストラリアの「タスマニア原生地域」。キング・オブ・世界遺産を選ぶとなったらこのふたつしかないだろう。
タスマニアはオーストラリア大陸の南約250kmに位置する島で、オーストラリア同様、カンガルーやコアラをはじめ、他の大陸にはない独自の進化を遂げている動植物が多い。氷河による浸食で切り立った山々や、豊かな降水量を背景に手つかずの原生林が茂っており、野生生物の宝庫として世界的な注目を集めている。
かつてこの島にはアボリジニたちが住んでいたが、19世紀から白人による植民がはじまり、戦争やハンティングなどの虐殺を経て1876年に絶滅してしまった。その文化は滅んでしまったが、1~2万年前にまでさかのぼるロック・アートが彼らの高度な文化を物語っており、それゆえ文化遺産としての価値も認められて、複合遺産として登録されている。
海に山、森林に渓谷、湖沼に高原、あらゆる地形があり、アトラクションもトレッキングにクルージング、セスナによるフライト、釣りにダイビング、スキーにスノーボードと、自然を活かしたあらゆるスポーツが可能だ。
見所は無数にあるが、極めつけがサウスウエスト国立公園内のバサースト湾。ボタングラスという植物が分泌するタンニンのために湾内はまっ赤に染まり、8mほどまで潜るとまっ暗になるため、その程度の深さで深海魚が棲みついていたり、古代種が残っていたりと、とにかく異様な生態系で知られている。