世界遺産/ヨーロッパの世界遺産

フィレンツェ歴史地区/イタリア(4ページ目)

「屋根のない博物館」の異名をとるフィレンツェは、愛を礼賛し美を庇護したルネサンスの中心地。今回はイタリアの世界遺産「フィレンツェ歴史地区」の美しい街並みと、ヨーロッパに愛と美を再生したその歴史を解説する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

フィレンツェの名所BEST10 その1

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂

サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂。イタリア語の「ドゥオーモ」は英語の「カテドラル」で、大聖堂を意味する。大聖堂とは司教が座るための椅子=カテドラ(司教座)がある教会堂のこと

たったひとつ、世界でもっとも美しい「都市」をあげるなら、私はローマかフィレンツェをあげる。一つひとつの建物が創意工夫にあふれ、美しく、しかも街として調和している。まずは見所となるフィレンツェの名所BEST10をご紹介しよう。

■サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂
ジョットの鐘楼

ダンテもそのデザインを絶賛したというジョットの鐘楼

大聖堂は主に3つの建築物、ドゥオーモ(大聖堂、カテドラル)、サン・ジョヴァンニ洗礼堂、ジョットの鐘楼からなる。いずれもトスカーナ地方特有の赤・白・緑とトリカラー(3色)の大理石からできており、大理石自体はもちろん、建物のデザインも美しく、両者の美があわさってとんでもないことになっている。

最大の見所はドゥオーモだ。ベースはアルノルフォ・ディ・カンビオの設計で、クーポラはブルネレスキの作品。1296年の着工で、クーポラの完成は1434年、建築期間は140年を超える。当時は無謀とさえいわれた建築物で、とにかくでかい。美しい塔は高さ85mのジョットの鐘楼だ。ベースの設計はジョットで、トスカーナ特有のゴシック建築だが、実は層ごとに少しずつデザインが違う。世界一美しい鐘楼のひとつ。

 

■シニョーリア広場とヴェッキオ宮殿
ヴェッキオ宮殿

ヴェッキオ宮殿

この辺りはカフェやジェラード店、お土産屋、ブランド・ショップ、レストランが軒を連ねている。シニョーリア広場はフィレンツェ黄金期の行政の中心地で、集会所でもあった。ヴェッキオ宮殿はアルノルフォ・ディ・カンビオの設計で、もともとフィレンツェ共和国政庁舎で、現フィレンツェ市庁舎。特に有名なのがミケランジェロとダ・ヴィンチが壁画を競い合って描いたという500人大広間。途中で壁画が崩れて未完成で終わり、ヴァザーリが仕上げたものだ。

 
■ヴェッキオ橋
ヴェッキオ橋

650年以上の歴史を誇るヴェッキオ橋

アルノ川に架かるフィレンツェ最古の橋で、現在のものは1345年に再建された。橋の上には数多くの貴金属店や金銀細工店が並んでおり、橋が夕焼けに染まる頃、店からもれる灯が川面に映り、すばらしい夜景で観光客を楽しませている。店の上にはウフィツィ美術館とピッティ宮殿を結ぶヴァザーリの回廊が通っている。

■ウフィツィ美術館

ヴァザーリ設計のルネサンス建築で、もともとフィレンツェの官庁だった。建物が世界遺産なら収蔵品も世界随一で、イタリア最高の美術館として知られている。有名なものをざっとあげても、ボッティチェリ「春」「ヴィーナスの誕生」、ダ・ヴィンチ「受胎告知」「三賢王の礼拝」、ミケランジェロ「聖家族」、ラファエロ「ひわの聖母」、ティツィアーノ「ウルビーノのヴィーナス」など多数。

 

■サンタ・クローチェ教会
サンタ・クローチェ教会

聖フランチェスコが自ら建設したという伝説が残るサンタ・クローチェ教会

サンタ・クローチェ広場からの眺めが美しく、また内部も見所が非常に多い「聖十字」教会。ロマネスクの影響が残るイタリアン・ゴシック建築。アルノルフォ・ディ・カンビオの設計といわれる。隣接するパッツィ家礼拝堂はブルネレスキの設計で、ルネサンス建築。「フィレンツェのパンテオン(神殿)」の異名をとり、ミケランジェロ、ガリレオ、ロッシーニなど多くの有名人の墓がある。

 
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