世界遺産/ヨーロッパの世界遺産

フィレンツェ歴史地区/イタリア(5ページ目)

「屋根のない博物館」の異名をとるフィレンツェは、愛を礼賛し美を庇護したルネサンスの中心地。今回はイタリアの世界遺産「フィレンツェ歴史地区」の美しい街並みと、ヨーロッパに愛と美を再生したその歴史を解説する。

長谷川 大

執筆者:長谷川 大

世界遺産ガイド

フィレンツェの名所BEST10 その2

サンティッシマ・アンヌンツィアータ広場からの眺め

サンティッシマ・アンヌンツィアータ広場から見たセルヴィ通り

■サンティッシマ・アンヌンツィアータ広場
サンティッシマ・アンヌンツィアータ広場

サンティッシマ・アンヌンツィアータ広場。右が同名の教会

フィレンツェでもっとも美しいといわれる広場。広場に面する捨て子養育院絵画館はブルネレスキの設計で、ヨーロッパ最古の養育院。隣にはローマ時代以前のエトルリア文明の遺物を集めた考古学博物館がある。アカデミア美術館にはフィレンツェの象徴のひとつ、ミケランジェロの傑作「ダヴィデ像」のオリジナルがある。

 
■サンタ・マリア・ノヴェッラ教会
サンタ・マリア・ノヴェッラ教会

フィレンツェの駅近くにあるサンタ・マリア・ノヴェッラ教会

駅の正面に立つ教会で、13世紀のフィレンツェ・ゴシック建築。大理石が美しいファサードは典型的なルネサンス建築だが、こちらはアルベルティの設計で15世紀にとりつけられた。

ここの修道士が調合した石鹸やコロンを売っていたのが近くにあるサンタ・マリア・ノヴェッラ薬局で、なんと1221年の創業。メディチ家御用達となり、1612年には一般に向けて正式オープンした。特に有名なのが香水の「サンタ・マリア・ノヴェッラ」で、通称「王妃の水」。フランスのアンリ2世に嫁いだカトリーヌ・ド・メディチがフランスまで持っていったほどのお気に入りだったとか。

 

■サン・ロレンツォ教会とメディチ家礼拝堂
サン・ロレンツォ教会

サン・ロレンツォ教会。周辺は市場や露天でにぎわっている

サン・ロレンツォ教会はブルネレスキが再建したもので、ロマネスクの影響を残したルネサンス建築。ファサードは未完成ながらそのミニマルな姿がとんでもなく美しい。隣接するメディチ家礼拝堂、特に君主の礼拝堂は大理石と宝石で彩られていてとにかく豪華。17世紀ニジェッティの建設で、ミケランジェロ設計の新聖具室には彼の彫刻やロレンツォの2世の墓がある。

 
■サント・スピリト教会
サント・スピリト教会

サント・スピリト教会

ブルネレスキの設計で、ベルニーニをして「世界一美しい教会」といわしめ、ミケランジェロやダ・ヴィンチも褒め称えたという教会。シンプルながら目が離せなくなるデザインだ。中にはミケランジェロ「十字架像」やフィリッポ・リッピ「聖母」などがある。

■ミケランジェロ広場
フィレンツェを見下ろすならミケランジェロ広場だ。オレンジ屋根が並ぶすばらしい街並みが望める。近くにあるのが1063年竣工のサン・ミニアート・アル・モンテ教会で、これまで紹介してきた建築物の中でもっとも古い。白と緑の大理石で造られた典型的なトスカーナ建築で、ミケランジェロが絶賛したという。 
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