6/6 映画で世界遺産1 インディ・ジョーンズ [世界遺産] All About

『インディ・ジョーンズ／クリスタル・スカルの王国』

前作より19年の沈黙を破って2008年に登場したのがこちらの作品だ。今回インディアナ・ジョーンズが追うのがクリスタル・スカル。マヤ文明で有名なあの謎の水晶ドクロだ。

伝説では、1927年、ミッチェル・ヘッジスはメソ・アメリカにあるマヤ文明の遺跡で水晶ドクロを発見する。このドクロは「ヘッジス・スカル」と名付けられ、光を灯すと虹色に発光し、見る者の精神を揺さぶるなど不可思議な現象を引き起こしたという。光の屈折を考えて無傷で加工したその技術は現代のテクノロジーをも上回ると言われ、その時代にあるはずのない謎の出土品＝オーパーツとして知られるようになる。

大英博物館に所蔵されているヘッジス・スカル以外に、フランス・パリ人類学博物館のパリス・スカル、スミソニアン博物館のカース・スカルなどが存在し、いくつかは科学鑑定で最近普通に作られたものであることがわかっているが、それでも太古の昔から伝わる本物のクリスタル・スカルが13個存在すると言われており、マヤ文明の2012年世界滅亡伝説（詳しくはリンクのティカルの記事を参照）と合わさって、「13の水晶ドクロが集まったとき、ドクロが共鳴して何かが起こり、世界の謎は解き明かされ、人類はその目的を知り、新しい歴史が切り拓かれる」という伝説が残されている。

ナスカの地上絵のひとつ、サル。©牧哲雄

世界遺産との絡みでは、ペルーの世界遺産「ナスカとフマナ平原の地上絵」とアルゼンチン、ブラジル双方で世界遺産登録されている「イグアス国立公園」が登場するほか、登場するタルー・タブレロ型ピラミッドはグアテマラの世界遺産「ティカル国立公園」にあるものにそっくりだ（ティカルの記事参照）。ハイライト・シーンに登場する数々の遺跡はこれと特定はできないが、メソ・アメリカの様々な世界遺産を参考にしているのは間違いないだろう。また、マチュピチュが発見される原因となったビルカバンバ伝説（マチュピチュの記事参照）やエルドラド伝説をうまく組み合わせている点もおもしろい。

以上のように、インディ・ジョーンズ・シリーズは実在する数々の伝説をうまく組み合わせて物語を構築している。世界遺産を知ってから映画を見れば、あるいは映画を見てから世界遺産を学べば、その味わいは何倍にも増すはずだ！

イグアスの滝の一部、悪魔の喉笛。©牧哲雄

【映画基本データ】
『インディ・ジョーンズ／クリスタル・スカルの王国』
監督：スティーヴン・スピルバーグ
製作総指揮：ジョージ・ルーカス、キャスリーン・ケネディ
製作：フランク・マーシャル
音楽：ジョン・ウィリアムズ
脚本：デヴィッド・コープ
出演：ハリソン・フォード、カレン・アレン、ケイト・ブランシェット、ジョン・ハート

日劇１ほか全国大ヒット上映中！
公式サイト（日本語）
パラマウントピクチャーズジャパン配給
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【関係する世界遺産】
・古代都市テオティワカン（メキシコ）やティカル国立公園（グアテマラ）等のメソ・アメリカ遺跡群
・ナスカとフマナ平原の地上絵（ペルー）
・イグアス国立公園（アルゼンチン、ブラジル）

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