世界遺産/未来の世界遺産

未来の世界遺産5 グレートオーシャンロード(4ページ目)

あまりの美しさから世界中の自動車会社がCM撮影に訪れるというオーストラリアのグレート・オーシャン・ロード。世界遺産ではないすばらしい遺産を案内するシリーズ第5弾は、世界でもっとも美しい海岸道路!

長谷川 大

長谷川 大

世界遺産 ガイド

得意ジャンルは世界遺産・世界史・海外情勢・海外旅行・哲学・芸術等。世界遺産マイスター、世界遺産検定1級文部科学大臣賞受賞。出版社で編集者として勤務したのち世界一周の旅に出る。現在は東南アジアを拠点に海外旅行を継続しながらフリーの編集者・ライターとして活動。訪問国数は約100、世界遺産は約250に及ぶ。

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ロックアード・ゴージの伝説

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ロックアード・ゴージ
プライベート・ビーチのような入り江が広がるロックアード・ゴージ。


「ロックアード・ゴージ」と呼ばれる名所がある。

1878年にイギリスを発った全長約80mの帆船ロックアード号は、ある夜、いよいよメルボルンを目前に、深い霧の中を航行していた。

船内では盛大なパーティが開催されていた。日中、はじめて目にしたオセアニア大陸を祝うための祝賀会だ。同じ夜、ギブス船長は強い風と波にさらされながら周囲の様子を観察していて、異変に気がついた。そこに見たのは巨大な岩。

まだはるか沖合いにいるはずだったロックアード号は、グレート・オーシャン・ロードの大地を浸食する海流と海風によって、大陸へ大陸へと押し流されていた。ギブス船長は岩をよけ、碇を下ろす指示を出すが間に合わず、帆船は岩に砕かれ、わずか15分で沈没した。

乗組員54名中、生存者はわずかに2名、トムとエバ。ふたりは両岸を断崖に囲まれた入り江(ゴージ:gorge)に流れ着き、近くの農家に助けられて奇跡的に命を取り留めた。

その場所は「ロックアード・ゴージ」と名づけられ、亡くなった52名の墓が、いまでも難所として知られるこの荘厳な海岸を見守っている。

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