学習・勉強法/全国学力テスト

格差が固定化?2008年全国学力テスト(3ページ目)

早くも今年2008年「文科省の全国学力テスト」の結果が発表されました。昨年2007年に引き続き「地域間格差」や「公立と国私立の学校間格差」が問題になった今回も、ガイドが結果を分析してみました。

伊藤 敏雄

執筆者:伊藤 敏雄

学習・受験ガイド

中3生の4人に1人が計算力不足!

これまでテレビや新聞での発表では、「基礎知識よりも活用力・応用力に課題あり」とされることが多かったのですが、実はそうではないんです。ガイドが前回「どう読む?文科省の全国学力テストの結果」に引き続き、今回の結果を分析してみたところ、やはり基礎知識の定着に問題があると言わざるを得ません。

2008年全国学力・学習状況調査の調査
20%~30%(4人に1人)の生徒が基礎的な計算すらできないのが現状

数学Aの小問1「分数の引き算」を問う問題では、正答率が85.6%。文科省の解説では「分数の減法の計算は、相当数の生徒ができている」とありますが、これは裏を返せば中3生の14.4%が簡単な分数の引き算が出来ないということ。そもそも分数の引き算は、ゆとり教育になる前は小学校5年生で教えていたことなのに、中3になっても14.4%ができないとは、深刻な問題ではないでしょうか。

小問2では、「7-(-3)」を計算するだけなのですが、正答率は77.6%で、中3生の22.4%が正負の計算すら出来ないのです。小問3では、昨年の「(-3)の2乗」の部分が「-3の2乗」に変わっただけなのですが、正答率は88.7%(昨年)→71.8%(今年)と16.9ポイントも低下しています。実に、中3生の「4人に1人は計算力が不十分」なのです。

ほかにも、大問12の(1)「一次関数y=2x-3のグラフの傾きを求めなさい」という問題では、正答率は54.2%しかありませんでした(正答は2)。中3生の約半数が、「傾き」という言葉の意味すらわからないのです。

しかも、これらはあくまでも平均の正答率です。今回成績がふるわなかった地域や学校では、さらに正答率は低くなっていると考えられますから、事態は深刻ですね。

数学のような積み重ねが大切な教科は、基礎基本となる知識や技能が大切です。多くの中学生が活用力や応用力を問う問題が苦手なのは、そのベースとなる基礎的な知識や計算技能が不十分だからです。基礎基本がいかに大切かということが、今回の結果からも読みとれますね。

>>次は、国語では「○○力」が課題!>>
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