新学期だからこそ、新しい辞書を選びたい!記事『 必携! フランス語辞書徹底比較』では、初心者にぴったりのフランス語学習辞典をご紹介しました。後編のテーマは、ズバリ!「個性溢れる傍らに置いておきたい辞書」。電子辞書とも併用したいこだわりの辞書を特集します。
進歩する辞書:白水社ラルース仏和辞典
言葉のニュアンスが一目でわかる『白水社ラルース仏和辞典』 |
単語をアルファベット順に並べ、その訳語と例文を記すという従来の辞書のあり方から一歩進んで、言葉が使われるシチュエーションや発語までのプロセスを重視。これまでの辞書とはちょっと違う個性が魅力です。
学習辞典の視点からみれば、単色刷りの紙面、発音のカタカナ表記、英語訳なしという事実は不親切な印象を受けるかもしれませんが、音節区切りの表示、名詞の可算・不可算の表示がしっかりあるのはうれしい。
語彙数の少なさに関しては、底本となっている『Dictionnaire du français langue étrangère Niveau 2』のねらいが、「外国人学習者が、専門語、文学語、俗語を除く、一般に通用するフランス語の表現をマスター」ということですから、同様の目標をもつ一般的な学習者であれば充分かも。とはいえ、やはりなんらかの仏和辞典と併用したい一冊ではあります。
ニュアンスの説明と普段使いの例文でフラ語の世界にハマる!
仏和辞典への愛が伝わる一冊『辞書、この終わりなき書物 』 |
「『注意して、意識的に見る』といった主体の積極的な行為を表し、この点でvoir『見える』と異なる。[類]examiner(しげしげ見る)、observer(観察する)」
まさに、意味だけでなく、傍でフランス語の先生が使い方のニュアンスを教えてくれているという感じ。例文は、「Regarde-moi dans les yeux quand je te parle. ぼくが話しかけているときには、ぼくの目をちゃんと見ていなさい。」となっており、「テレビを見る」というような普通の例文はでてきませんが、regarderが「主体の積極的な行為」として「見る」というときに使う動詞であるということが例文からも頭に叩き込まれるようなしくみになっています。
では、voirの方を見てみましょう。訳語は、「非意志的」という解説の後、「見る・見える」となっており、類義語としてregarder「(意志的に・ちゃんと見る」があげられています。
また、「(映画・試合・町など)見る」という訳語の欄には「意志的」という解説がつき、「Tu devrais aller voir ce film, il est formidable ! ぜひその映画を見に行けよ。傑作だから。」という例文。通常は、「非意志的」とされるvoirが、「映画」の場合には「意志的に見る」としても使われることがわかるようになっています。さらに、「aller voir un match 試合を見に行く」の類義語として、「assister à 見物する」もあげられていました。
言葉の意味だけでなく、ニュアンスのQ&A的な要素もあわせもつ優れものの一冊。一度使うと手放せなくなるのがこの『白水社ラルース仏和辞典』なのです。
【引用:『白水社ラルース仏和辞典』, 白水社】(出版社による解説がみられます。)
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