時短生活/調理を時短するコツ

フランス式「残さない食卓の知恵」……洗い物も残り物も出さない⁉

洗い物が激減するばかりでなく、子どもが食べ残しをしなくなってとっても快適な食卓の知恵、フランス式のテーブルセッティング。子どものしつけの上でもぜひ取り入れてみたい、洗い物も残り物も出さないコツをご紹介いたします。

ももせ いづみ

執筆者:ももせ いづみ

時短生活ガイド

フランス式の快適な食卓! 洗い物も残り物も出さないコツとは

フランス式の食卓作り

フランス式の食卓作り

今回は「残さない食卓の知恵」。細かいお皿やお鉢をたくさん並べる日本の食卓と違い、フランス家庭での食事は自分のプレート一枚だけを使って食事をします。真似してみると、洗い物が激減するばかりでなく、子どもが食べ残しをしなくなってとっても快適。

忙しい日にちょっと取り入れてみたい、フランス流の洗い物も残り物も出さない食卓の知恵です。
 
<目次>
 

フランス家庭料理のテーブルセッティングとは?

料理の出し方は世界各国のお国柄があります
料理の出し方は世界各国のお国柄があります
例えばレストランでフルコースのフランス料理をいただくと、スープや前菜にはじまり、次々とお料理がテーブルに運ばれてきますよね。 これはあくまでよそ行きの食事スタイル。普段の家庭の食事や、お友だちを招いてのパーティでこうしたスタイルで食事をすることはまずありません。とはいえ、スープから始まりチーズやデザートで食事を終えるという伝統的な食事スタイルはちょっと違う形で踏襲されることが多いようです。
例えばこんな風に。

1:テーブルセッティングには一人一枚のプレートとカトラリーをセット。この一枚のお皿ですべての料理を食べる。スープが出るときは深めのスープ皿をセットして、スープをいただいたあとも、このお皿でメイン料理を食べる。

2:一度にすべての料理を一人の前に並べず、スープを完食したあとにメイン、サラダという順番で大きなボオルや皿(時には鍋のまま)が食卓に出され、とりわけながらいただくことが多い。(大皿を一度にテーブルにすべて並べるということもあまりしません。「順番に出す」ところがミソ。このほうが料理に集中できるのでバランスよく、余り物を出さずに食べきることができます)

3:スープや料理で汚れたお皿は、フランスパンでふき取ってお皿のおそうじをしながらいただく。レストランではパン皿が出るが、家庭ではランチョンマットの上に直接パンを置くことが多い。

日本ではおかずとごはんと汁物、すべてが出来上がった時点で食卓に並び、料理が食卓に並び終わった時点で食事が始まるのが普通です。大皿でおかずをテーブルに並べ、各自取り分ける方法で食事をする家庭も多いですが、ごはんや汁物、酢の物などの小鉢は各自に並びますよね。つまり、それだけ各自が使う食器の数が多くなる傾向があります。

フランス式に取り分けていただく方法にすると、劇的に洗い物の数は減ります。白米やみそ汁のメニューではちょっと無理ですが、洋食のときは取り入れてみてもいい習慣かも⁉
 

食事を残さないというしつけ

食べられる分だけを自分のお皿に。これも立派なしつけです。
食べられる分だけを自分のお皿に。これも立派なしつけです。
フランス式のテーブルセッティングの中で、子どもたちが繰り返ししつけられるのが「取り分けた食事は残さない」ということです。大きなメイン料理の皿やサラダボオルから、食べる量を取り分けて皿に盛るのは自分です。この時に、きちんと食べられる量だけを取るのがマナー。そして一度自分の皿の上に乗せたものは残さずいただくのもマナー。

皿に残ったソース類はパンできれいにふき取って食べます。それは創り手への「おいしかったよ」のサインでもあり、新たに自分の皿に新しい料理を取り分けるための準備にもなるというわけ。

こうしたしつけが行き届いているため、フランスの子どもたちの給食の盛り付け風景はかなり騒がしいのだそうです。「にんじんは入れないで!」「サラダの量は少なくして!」。一人ひとりのリクエストに答えながら盛り付けるので、配膳の時間がとてもかかるそう。でもこれは、「自分の皿の上にあるものは残さない」というしつけの所以なのだとか。

わが家では小食の息子に少しでも食べさせようと、「自分の食べる分量」がきっちりわかるように個別の皿や鉢に盛り付けて配膳するようにしてきました。大皿の取り分けにすると嫌いなものには手が伸びなくなります。だから、バランスよくメインの料理もきれいに盛り付けてから個人の前に。こうした日本式の配膳は、バランスよく食べるという意味ではとてもメリットのある方法だと思います。

でも、それが習慣になると小食の子や好き嫌いのある子は、自分のお皿にあるものを残すことを当たり前と思うようになってしまいます。

フランス式の「食べられるものを、食べられる分量自分で責任を持って盛り付け、それは残さずにきれいに食べる」という習慣。これは、ある程度食事のしつけができた年齢の子には、試してみてもいい方法かもしれません。世界で有数の残飯排出国である日本で、「お皿にあるものを残す」なんて風景を、子どもたちが当たり前と思って欲しくないと私は思うからです。

同時にこれは、洗い物を減らすという意味でも、取り入れてみていいアイデアかもしれませんね!
 

マイプレートと「とりわけ食器」で快適な食卓

テーブルセッティングが決まっていると、家族も手伝いやすいのです
テーブルセッティングが決まっていると、家族も手伝いやすいのです
洗い物を少なくするための、フランス流とりわけ方式。まず用意したいのは、個人で使うマイプレート。テーブルセッティングとして

1:ランチョンマット
~この上が自分のテリトリー。パンくずを出したり、汚したりしたらこの上の場所だけは自分できれいにして食事を終える習慣を。小さい子ならビニールコーティングしたものを。
2:カトラリー
3:マイプレート
~おかずを取り分けるための自分のお皿。主食以外は洗いものはこれ一枚が基本。
4:マイナプキン
記事「「ちょいユル」マイナプキンのすすめ」を参考にしてね!

以上が基本。これは食事の準備ができたとアナウンスしたら、子どもたちや家族が自主的にテーブル周辺でセッティングできる習慣にしておくといいですよね。

こうしてセッティングできた食卓に、こんな風に料理を出してみましょう。
 
使い勝手のいいボウルや大皿があると便利です
使い勝手のいいボウルや大皿があると便利です
お料理はどかんと作って大きなボウルやお皿にまとめて盛って食卓へ。すべてを並べてしまうのではなく、付け合せ、メインといった順番で順番に家族でお皿をまわして自分で取り分けていくのがコツです。

たとえば、こんな付け合せと煮込み料理がメニューの日なら。付け合せは写真のような軽くて扱いやすいおしゃれなボウルに入れて、この中でドレッシングと合えて食卓へ。調理と盛り付けを同じ容器にすることで、洗いものがひとつ減りますよね。こうしてまずは、付け合せのボオルを家族に回して、食べられる分を取り分けます。
 
ルクルーゼのお鍋は食器にもなるすぐれもの
ルクルーゼのお鍋は食器にもなるすぐれもの
次にメインを。大皿に盛り付けてもいいですが、洗い物を減らしたいなら、最初からルクルーゼや陶器のキャセロールなど、食卓にそのまま出せる鍋で調理をしてしまうのもオススメ。ガス台やオーブンから出したらそのまま食卓に出して、各自とりわけます。

順番に料理を出していたら主婦がテーブルにつけない! なんて心配はいりません。お鍋やボウルに料理さえ準備しておけば、それを取りに行くのはパートナーでも子どもでもできること。前菜やサラダを楽しんだあとに「じゃあ、メインのお肉のお鍋を持ってきて!」と食卓を立つのは、パパの役目と決めるのも、食卓の風景が変わっていいものです。
 
かわいいキャセロールなどがあると保存にも便利です
かわいい蓋つきのキャセロールなどがあると保存にも便利です
自分が食べる量や中身は自分で調整して、こうしてマイプレートに。このお皿にあるものは、絶対に残さず食べること! と子どもたちにもしっかりしつけをしていきましょう。こうすると、残るのはボウルやお鍋に残った料理。お皿に盛りつけられたあとに残る料理はどうしても残飯になりがちですが、ボウルやお鍋の中身はそのまま冷蔵庫に直行で保存ができます。この時点で保存容器に入れ替えることもできますが、できれば容器のまま冷蔵庫に入れられればそれだけ洗い物が減ります。写真は私がフランスでごちそうになったお宅で、つけあわせのにんじんとお豆が入っていた小さなキャセロール。こんな風に食卓に出すことができたら、余ることがあってもポンと蓋をして冷蔵庫に保存しておけます。残った料理は翌日の朝食になったり、お弁当のおかずになったり。きれいな容器に入っていれば、そのまま再び食卓に登場しても抵抗なくいただくことができますよね。

どうですか、フランス流の取り分け式テーブルセッティング。洗い物や残飯を減らすこともできるし、子どもたちに「残さない」しつけをするためにも、取り入れてみて損はない習慣だと私は思います。そのために、ちょっと使い勝手のいいボウルやキャセロールを探してみるのも、楽しいのでは?

和食の日本の食卓に合わせて、いろいろアレンジしてみてくださいね!

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