元祖バレンシア風パエリアのレシピ・作り方
今や、“日本で最も有名なスペイン料理”となった「パエリア」。
スペイン料理のお店はもちろん、ファミリーレストランや、それこそ多国籍系の飲み屋さんでもお目にかかることも多い。
パエリアといえば、たいていの人は「魚介類系の米料理」と思い浮かべるだろう。
実際、本場スペインでも特に観光客向けのレストランなどでは、魚介類のパエリアを出すお店が多い。
しかし、パエリア発祥の地、スペインはバレンシア地方では、本来“山”の食べ物として、その具材には、兎肉、蝸、鶏などの肉類、そしてさやえんどう、パプリカなどの野菜類が使われていたのだという。
今回はこの伝統ある、元祖“バレンシア風”のパエリアに挑戦してみようと思う。
兎肉、蝸こそが、“元祖”の特徴ではあるのだが、さすがに一般的に手に入れられる食材でもないので、今回は鶏肉を使っての挑戦とする。
もちろん、“バレンシア風”のもう一つの特徴であるサフランをたっぷりと使って、黄金色に輝く、薫り高い仕上がりを目指そう。
・鶏モモ肉(大1枚)
・さやえんどう 100g
・赤ピーマン 1個
・米 1.5合
・にんにく、たまねぎ 各みじん切り少々
・サフラン 1gぐらい
・ブイヨン(チキンなどの固形スープを溶かしたもの) 600cc
・オリーブオイル
・小麦粉
・塩、コショウ
※パエリアは、専用のパエリア鍋が必要。もちろん普通のフライパンや鍋を使って出来ないことはないが、パエリアはパエリア鍋で作ってこそ、味も見た目も映えるもの。
それほど高いものではないので、これを機会にぜひ手に入れよう。
■バレンシア風パエリアの作り方
1.まずは鶏肉の下準備から。
鶏肉は、皮付きのモモ肉を用意し、適当な大きさに切り分ける。火を通したときに、肉が縮むことも考慮して、やや大きめとする。 肉が大ぶりな方が仕上がりも豪華に見える。
2.切り分けた鶏モモ肉に、塩・コショウをし、小麦粉をまぶして、余分な粉をはたいておく。
3.フライパンか鍋(いずれも保温力のある厚手のものがいい)に、1cmぐらいと多めに油を熱し、小麦粉をまぶした鶏モモ肉を、弱火~中火で、じっくりと揚げ焼きにしていく。
皮目にも、しっかりと焼き色をつけ、表面がカリッとしたら網などに上げておく。
ここでしっかりと鶏モモ肉に火を通しておくのがポイント。オイルは普通のサラダオイルでいいが、焼きあがる前にオリーブオイルを少量加えると香りがよくなる。
また、油に浸したまま置いておくことで、パエリアが仕上がったときの肉の旨みを出すことができるが、カロリーを気にする場合は網などに上げて油を切っておくのがよい。
4.サフランは、あらかじめキッチンペーパーなどにのせ、暖かいところで乾燥させるようにすると、香りと発色がよくなる。オーブントースターを熱してから切り、中の余熱を使うようにすると簡単。(直火を加えるのは厳禁。すぐに焦げてしまう)
乾燥したら、ペーパーの上から指でもみ崩すようにして、細かい粉末状にしておく。
5.パエリア鍋を用意し、にんにく、玉ねぎのみじん切り、オリーブオイルを入れ、弱火にかけて、香りを出す。
6.ブイヨンを加え、強火で煮たててから中火に落とし、粉末状にしておいたサフランを加え、ざっとかき混ぜる。
7.サフランの色がブイヨンに出てきだしたら、米を洗わずに、一度に加えて混ぜ、ここで塩、コショウで味を整える。
あとで煮詰まっていくので、ごく薄い味付けでよい。
8.米がブイヨンをすって膨らんできたら、パエリア鍋を軽くゆすって、米の表面を平らにならし、揚げ焼きにした鶏モモ肉をバランスよく表面に並べる。
9.ここから、火加減をごく弱火に落として、炊きあげていく。
炊きあがりの目安は、米をブイヨンに入れてから25分ぐらい。水分の蒸発具合は、かなりばらつきがあるので、様子を見ながら火加減を調整していく。
最初は、ごくごく弱火で炊いていき、最後仕上がりに向けて、やや火を強くしていく方が失敗が少ないと思う。
この炊きあげの間、アルミホイルなどで表面を覆い(密閉まではしない)、フタをするようにすると、日本人好みの炊き込みご飯っぽい仕上がりになる。フタをしないと米の仕上がりがパリッと乾燥した感じの仕上がりになる。
このあたりは、好みの問題もあるので色々と試してみるといい。
10.炊きあげる途中、残り10分ぐらいのところで、スジをとったさやえんどうと、スライスしたパプリカをちらす。
野菜類は、しっかりと火を通したい場合は早めに、新鮮に仕上げたいときは遅めに加えるようにする。
11.ほぼ水分がなくなって、鍋肌と米の間にオイルが浮いて、チリチリと音をたてるようになったら、ほぼ仕上がり。
火を止めて、5分程度蒸らす。フタをして蒸らすと、しっとりとした仕上がりになる。
蒸らし終わったら、レモンを添えて完成。
鍋ごと、ドンと食卓へ出そう
魚介たっぷりなバレンシア風パエリア
元祖バレンシア風のパエリアは、見た目こそ魚介類のパエリアには劣るが、じっくりと揚げ焼きにした鶏肉の旨みと、黄金色のライスいっぱいにしみこんだサフランの香りが存分に楽しめる仕上がりとなった。
もちろん、今回のレシピを応用して魚介たっぷりの豪勢な“地中海風”パエリアとするのもいいが、山の旨みたっぷりの元祖バレンシア風のパエリアの旨みも、ぜひ一度味わってほしいと思う。
パエリアは、それほど手間がかからず簡単にできるレシピである上に、見た目も豪華で来客時にも役立つメニューなので、ぜひパエリア鍋を手に入れて、レパートリーの一つに加えてみてはいかがだろうか。
炊きあげる際に、フタをしたり、あるいはしなかったりで、お米の仕上がりにもバリエーションができるので、火加減と炊きあげる時間と合わせて、自分好みのパエリアを追求するのも面白いだろう。