日本のあの名文は、海外にどのように紹介されているのでしょう。

松尾芭蕉の奥の細道から2句、川端康成の雪国の有名な出だし、平家物語の冒頭、をそれぞれ例に取り、その英訳例を見ていくことにします。

解答例のページに進む前に、まずは自分ならどう訳すか、じっくり考えてみてください。できれば紙に書いてみましょう。

単に英語にするだけでなく、出来上がった英文が原文の香りと文章としての調子を備えている必要があります。これはかなり難しい作業ですが、一度トライしてみてください!
閑さや岩にしみ入蝉の声 (「奥の細道」 松尾芭蕉)
     
夏草や兵どもが夢の跡 (「奥の細道」 松尾芭蕉)  
  The summer grasses--
Of brave soldiers' dreams
The aftermath


(おくの細道 ドナルド・キーン訳 講談社インターナショナル)

詩の場合、文法はかなりお構いなしのところがあります。この詩も、動詞がありませんよね。(もとの句にも、そういう意味では動詞はありませんが・・・。)でも意味は十分汲み取れ、むしろ文法通りの文章ではうるさい感じがしてしまいます。

この訳のほかに、5千円札でおなじみの新渡戸稲造による訳も残っています。

The summer grass
'Tis all that's left
Of ancient warriors' dream


(新渡戸稲造、岩手県平泉町毛越寺の句碑)

参考英単語
 brave 勇敢な
 aftermath (戦いなど悪いことの起こった)余波、結果
 'Tis "It is"の略
 ancient 古代の、太古の
 warrior 武士、兵士
 
 
国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。
 (「雪国」 川端康成)
     
祗園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。おごれる人も久しからず、唯春の夜の夢のごとし。
 (「平家物語」)