結局、Aさんは資格取得をご家族に内緒にしたことで、資格勉強という負担以外にも多くの重荷を負うことになりました。少し整理してみましょう。
◆「家族に内緒」はこんな負担を生む◆
経済的負担 | 資格取得にかかる費用の全てが自己負担、回収できない可能性もあり |
精神的負担 | 「隠し事」によるストレス、家族とキャリアビジョンを共有していないためのストレス |
時間的負担 | 勉強と家族サービスの両立、勉強時間の捻出に一苦労 |
●経済的負担
Aさんのケース、「社会保険労務士」資格を取得したい!ということ自体は、決して責められるものではないはず。Aさんがキャリアアップし、将来的に収入アップにつながるとしたら、無駄遣いをしているわけではなく、必要な出費とも言えます。にもかかわらず、ご家族に内緒にしたばかりに堂々と資金的バックアップを求められないどころか、当てにしていた「教育訓練給付金」も対象除外に・・・
Aさんのケースでは、受講半ばでの中断という予期せぬ出来事がありましたが、仮に全てのカリキュラムを受講でき、教育訓練給付金を受け取ることができたとしても、今度は資格試験が待っています。言うまでもなく、ひとつの資格を取るためには、様々な出費が不可欠。大きな金額ともなれば「へそくり」だけでなく、家計からの援助が必要になることも考えられます。何らかの形で家計に影響を与える可能性があるなら、やはり事前に理解を得ておくことが大切でしょう。
●精神的負担
皆さんも覚えがあると思いますが、「隠し事」をしていることによる精神的なストレスは想像以上です。ただでさえ、仕事、資格取得のための勉強という負担があるのに、その上、ご家族に「バレないように」と気を遣っていては、せっかくの勉強にも身が入りません。これでは本末転倒です。
また、Aさんの「社会保険労務士」挑戦は、現職でのキャリアアップのためだけでなく、将来的な独立も視野に入れた、長期的なキャリアビジョンを踏まえた上でのものでした。「今すぐ」ということではないにしろ、いずれは大きなチャレンジをしたいのであれば、ご家族にも、こうしたビジョンについてきちんと理解してもらう必要があります。特に自分の収入や勤務状況が、ご家族の生活に大きな影響を与える方なら、なおさらこのプロセスを慎重に行わなければいけません。少なくとも、Aさんのように、自分の嘘を追求されて「慌てて」現実性に乏しいキャリアビジョンを口にしたのでは、賛成されるものも賛成されなくなってしまいます。
せっかくなら、「資格取得を目指す」という機会を、ご家族にご自分のキャリアビジョンを理解してもらう良いきっかけにできるといいですね。
●時間的負担
「せっかくの週末、本当なら勉強に専念したいのに・・・」
そんなときも、「家族に内緒」では、上手な時間のやりくりは至難の業。何とか自分が努力して、勉強も家族サービスも両立しようとすると、あなたの体力的、精神的な消耗は増すばかりです。
------
いかがですか?
もちろん、「家族」を「恋人」や「友人」に置き換えてかまいません。
時として、大きなチャレンジとなる「資格取得」。まずは周囲の方々に、あなたの夢の実現をサポートしてもらえる環境を作ることから始めても遅くはありません。そして、心おきなく勉強に集中しましょう!
=関連リンク=
■「起-動線」に学ぶ意志決定法
「資格を取る」ことは、それ以外のことに費やす時間が減ったり、将来の他の選択肢を狭めるなど、生活全般にも様々な影響を与えることでもある、という観点から「全方位から考える」必要性をオススメした記事です。