防犯/スリ・ひったくり・置き引きを防ぐ

有名人も被害に遭っているひったくり事件

ひったくり被害は減少してはいるものの依然として身近な犯罪として市民を脅かしています。過去に被害に遭った有名人たちの事例も参考にしつつ、防犯対策を。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

“ひったくり”被害は減ってもなくならない

ここ数年、“ひったくり”の認知件数は減少しています。過去最高だった平成14年から比べると文字通り半減していることが警察庁発表のデータからも分かります(下記表をご覧ください)。しかし、相変わらず事件は起きています。毎日、日本のあちこちで発生している“ひったくり”事件。昨年平成18年には、一日平均73.5件起きていました。届け出をしない人も中にはいるため、実際にはもっと事件は起きているはずです。ネットのニュース情報でも連日のように報道されています。
ひったくりの認知・検挙状況の推移~警察庁:平成18年犯罪情勢より
ひったくりの認知・検挙状況の推移~警察庁:平成18年犯罪情勢より

被害に遭った人は、誰もが「まさか、自分が被害に遭うなんて」と、被害に遭うことは考えてもいなかったでしょう。「ただ普通に歩いていただけなのに」、あるいは「いつものように自転車に乗っていただけ」と、理不尽な事態に納得がいかないはずです。しかし、後になって考えると、「車の通る側にバッグを持っていた」「自転車の前カゴにバッグをポンと載せただけだった」と、反省して、その後はバッグの持ち方に気をつけたり、ひったくり防止ネットやカバーを使ったりするようになります。被害に遭う前にそうした対策をしていれば、被害を防げたはずだったと後悔するのです。

ある女性の被害

会社員の女性・里美さん(仮名・37歳)は、いつものように最寄り駅から自宅へと歩いていました。時刻は午後7時ごろ。まだそれほど遅い時間ではありません。仕事で疲れて、もう自宅はすぐそこなので気もゆるんでいました。アッと思ったときには、バイクに乗った2人組みが自分のバッグを奪って、走り去ろうとしていました。

一瞬パニックになりましたが、里美さんは自分のバッグを奪われることが許せず、奪った男に飛びつくようにしてバッグをつかみ、取り戻そうとしました。が、相手はバイクに乗っているのですから、追いつくわけもありません。あやうく転びそうになりながら、結局バッグは取り戻せず、呆然と立ち尽くしていました。携帯電話もバッグに入っていたため、自宅に帰ってから警察に電話をして現場検証となりました。

「どうしてもバッグを取り返したかったため、必死で追いすがったんです」と警察官に伝えると、「そういうときは無茶をしないで、そのまま行かせてしまったほうがいいですよ」と言われましたが、被害直後でカッカしていたので、「そんなこと言ったって、大事なものがたくさん入っているのに」と憤慨したのでした。しかし、「最悪の場合、転んで死んでしまうような事態にもなりえたのだから」と言われて、冷静になって初めて「ああ、本当に危険な状況だったのだな」と、体が震えたといいます。

「ひったくりぐらい」と言う人もいますが、里美さんのように実際に被害に遭ったことのある人は、かなりの精神的ショックを受けます。いかなる泥棒被害でもそうですが、お金やモノはまだ自分で働けば取り返せるというかなんとかなるものですが、「被害に遭った」という精神的ダメージだけは取り返しがつきません。事件後しばらくは、フラッシュバックに苦しむこともあるようです。

“ひったくり”は悪質極まりない、卑劣な犯行です。絶対に被害に遭わないように、女性はもちろん男性も、注意しなくてはなりません。これまでに報道された有名人の被害を次ページでご覧ください。

  • →有名人の被害/共通点は?
  • →→ひったくり被害に遭わないためのポイント/危機感を持つことが被害を防ぐ/あなたの一票/関連ガイド記事
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