フリーメールで
「えー、でも、私の会社のアドレスから返信するのはいやですぅ」「フリーメールで来たんだから、同じフリーメールで返せばいいじゃない? そのアドレスが生きていれば、相手は必ずメールを見るはず。返事を待っているのかもしれないし。もし、受取人不明でリターンメールが返ってくれば相手はそのアドレスを閉じたことになるから、とりあえずは1回きりの嫌がらせということで、一段落できる」
「アドレスをクローズしていたらそれで終わりってことでもいいはずだな。またほかにメールが来たりして度重なれば警察にも相談しやすくなる」
「僕、一応、ノートを持ってきてます。彼女に転送してもらったメールもあります。すぐにつなげられますよ」
「そうだな。北村君、パソコンつなげてもらおうか」
ノートパソコンで |
「相手のメールアドレスはフリーメールでも大手のところですね。それじゃ、返信用のアドレスを作りますか。アドレスをどうします」
「っていうか、誰からメールを送ることにしたら一番効果的かしら。詩織さんの名前を使うのはよくないし」
「警察とか? ウフフ」
詩織が無邪気にそう言ったが、春彦が手を振った。
「ダメだよ。警察官ではないのに警察官だと名乗ったりするのは犯罪になる。向こうも名前を出していないんだから、名前は必要ないだろう。アドレスだけ作ればいい。『you are arrested』なんてどうだ。『あなたは逮捕されます』だ。ハハハ、冗談が通じるかな」
「でもありそうですね。あ、やはり既にあります」
「じゃあ、後に『soon』を付けたら?」
「それなら……OKです。作れます。『あなたはすぐに逮捕されます』か。面白いですね」
「で、内容は何にする? こちらはあなたのことを把握している。脅迫は犯罪だ、謝罪するなら通報しない、とか?」
「うわあ、怖いかも」
「相手を分かっているとか、こちらの情報は出す必要はないと思うわ。もう、呼び出しちゃえば? 会って話し合いましょうとか」
「うーん、呼び出しても出てくるかどうか。まず来ないでしょうね」
「それよりも、ぜひあなたに会いたいとかのほうが来るかもだな」
「なんか、いけないことだけど、ドキドキします」
4人でああでもないこうでもないと話し合いをして、結局、短いメール文を作成した。そして、そのメールを脅迫メールの差出人に送ることにした。
連載第4回・最終回「ミセスの危機管理ナビ~穏やかな結末」 も続けてお楽しみください!
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