防犯/防犯小説

ミセスの危機管理ナビ~女の周辺の疑惑

詩織が北村と一緒に麻季子の家にやってきた。彼ら2人と麻季子と春彦とでさまざまな可能性について語り合う。そこから犯人像が浮かび上がるのか? そして、4人が最終的に取る手段とは。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

連載第1回「ミセスの危機管理ナビ~メール脅迫者を追え」
連載第2回「ミセスの危機管理ナビ~男の周辺の疑惑」
を先にご覧ください。【全4回】

《前回までのあらすじ》麻季子の夫・春彦の後輩、北村隆二と夫婦の3人でメール脅迫者を推理する。北村の周辺の誰かである可能性はないと思われ、翌日、高野詩織もやってきて、4人で話し合うことにした。

4人で話す

4人でお茶を
4人でお茶を
紅茶を飲みながら4人でしばらく世間話をしていたが、北村から切り出した。

「えっと、それで、彼女に届いたメールの件なんですが」
「うん。それそれ。高野君も心配だろう」
「ええ。それで、実は、私の従兄弟が警察官なんです。といっても、捜査第三課なので窃盗犯とか、盗難などを扱う課なんですが。でも一応、私の友だちのこととして話をしてみたら、実害は発生していないから放って置くようにと。多分、警察で話しても無視するように言われるだろうって」

「ふうん。まあ、写真が添付されていたわけでもなければ、直接何かをされたわけでもないということか」
「実際、その後、メールは来ていないですし。単なるイタズラとして無視すればいいだけかもしれないんですが。ただでもすっごくイヤなんですよね。いったい誰があんなことをしたのか、気になってしょうがないんです」
「で、北村君の周囲の人間というよりは、どうも高野君の周りの人じゃないかということになったんだがね」
「私のメールアドレスを知っている人だから、そういうことになるんでしょうか」

詩織が少し口を尖らせて首をかしげた。

「詩織さんは名刺にメールアドレスが書いてある?」
「ええ。うちの社では皆、書いてあります。でも、私自身はそれほど名刺を誰かに渡すという機会はほとんどないんです」
「北村さん、名刺を持ってらっしゃる? ちょっと見せていただけるかしら」

麻季子が言うと、北村は財布を取り出して名刺を一枚抜き出した。

「名刺入れは別にあるんですが、うっかり忘れたときのために財布にも少し入れてあるんです。今日はプライベートだから名刺入れは持ってなくて」

メールアドレス
メールアドレス
名刺を受け取り、麻季子は小さくうなずきながら見ていた。それから、電話のそばにあるメモ用紙を持ってくると、いくつかのアルファベットの文字列を書き出した。

「この中に詩織さんのアドレスはある?」

メモ用紙を受け取り、詩織がじっと見てから顔を上げた。

「この二番目のがそうです。でも、どうして?」

不思議そうに麻季子を見つめた。

  • →アドレスの秘密……p.2
  • →→詩織の周辺………p.3
  • →→→フリーメールで/あなたの一票/関連防犯ガイド記事……p.4
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