玄関ドアは外開き
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| 玄関ドアは外開きが多い |
「女が一人で仕事をするには、面倒なことが色々あるのよね。でも、自宅を知られてしまったから、いずれは引越しも考えることになるかな」
「レンタルオフィスを借りてさらに自宅も引越しなんて大変だよ～」
「まあ、そこまで事態が進まないようにこれからちゃんとしないとね。でも、事前にもっと考えてやるべきだったね」
「うん。あとは麻里子みたいに結婚しちゃうってことかな。予定はまったくないけど」
「それもよしあしだけどね、フフ。でも、結婚してるって言っておくとか？ あ、でもそれじゃチャンスがなくなるか」
「うーん、それは嘘つけないし、チャンスはなくしたくないかも～なんてね。ウフフ」
「ところで、洋美のところはオートロックだったんじゃない？」
「そうなんだけど、他の人と一緒に入ってきたんだって」
「全然、オートロックじゃないよねぇ。それと、玄関が外開きのドアってことがちょっとね。でも、日本の住宅の玄関ドアはほとんど外開きだって。だから、蝶番（チョウツガイ・チョウバン）が外についているので、それを壊されたり、バールなんかでこじ開けられたりしやすいって聞いたことがある」
「うわー、そうなんだ。だけど、内開きの玄関ドアってあるのかな」
「ないわけじゃないわよ。うちがそうだもの。その分、玄関がよそより広い。ただ部屋の広さを追求したらどうしても外開きになるんでしょうね。でも、なんでドアを開けちゃったのよ」
「まさか玄関ドアまで来ているとは思わなかったのよ」
「ドアスコープで確認しなかったの？」
「うん。失敗した」
「確認しておけば、せめてドアチェーンをつけたまま対応できたのに」
「今後は気をつけるわ。ドアを開ける前にドアスコープで外を見る習慣をつける」
「なんだか、洋美のほうにもミスがたくさんあったみたいね」
「あー、反省。これまで何も考えていなかったみたいだわ。でも、これで懲りたから、ホント、これからは気をつける」
「何かあってからじゃ遅いからね。もうすでに○○が自宅まで来たということもあるし」
「うん。でも相談してよかった。ありがとう」
「どういたしまして」
その後、次の打ち合わせで○○の会社に行くときに、麻里子が一緒に来てくれた。自分が紹介したということで責任を感じてくれたようだった。仕事は仕事とはっきり区別をつけることをさりげなく伝えて、仕事はきちんと評価してくれるよう○○に釘を刺した。幸い、○○も麻里子が一部始終を把握していると理解して、慎重に応じていた。本人もやはり酒に酔った上でのことと反省しているように見えた。あんなことで仕事をキャンセルするような真似はしなかったことが救いだった。
たしかに書類を届けてくれたのはありがたいことだったが、事前に電話一本よこすべきだったし、自宅が近いからと突然やってくるのはルール違反だろう。せめて駅まで取りに来るようにとか、やり方はあったはずだ。男性と同じように仕事をしているつもりだが、女性ならではの危険があることを痛感した。こちらにその気がなくても、相手が勝手に思い違いをしてくることに対してどうすべきか、事前によく考えてから独立すべきだと思った。一度だけ自宅に男がやってきただけの話とはいっても、やはりそういうことが起こりうると予測しておくべきだったのだ。
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