ピッキング・泥棒の対策/ピッキング・空き巣を防ぐ

泥棒を招いた女性宅の“甘い匂い”(3ページ目)

泥棒はどうやって侵入する家を決めているのでしょうか? 200件を越す空き巣狙いの犯行「常習累犯窃盗容疑」で捕まった男は、ある“器官”を使って、ある“感覚”でターゲットを選んでいました。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

選ばれた理由

ドアのすき間からのニオイが決め手
ドアのすき間からのニオイが決め手
男は、女性宅を「玄関ドアのすき間などから、化粧品や香水のニオイで探り当てていた」と、供述しています。つまり、「鼻」で「嗅ぐ」ことによって、女性の家を嗅ぎわけて、侵入する家を選んでいたのです。住まいにはその家独特の匂いがあるものです。閉め切った住まいだと、ドアを開けた瞬間にその家の匂いがムッとすることもあります。風の具合や、構造的な理由、換気扇の使用状況などの事情により、ドアのすき間やドアポスト(ドアの新聞受け口)などから室内のニオイがすることもあります。

たとえドアを閉め切っていても、魚を焼くニオイがしたり、お風呂上りのシャンプーや石鹸の匂いがしたりと、ドアのすき間からは室内のニオイが漏れています。「あ、あの家では今日は焼き魚だな」とか「あ、女性が風呂から出たな」といったことがわかるのです。すれ違った女性が、甘い香水や化粧品の匂いを漂わせていることはよくあります。メンズコロンや整髪料などの匂いで、目で確認しなくてもそこに男性がいると分かることもあります。このように「ニオイ」はとても重要な情報です。

特に、飲食業や接客業の女性は香水を使ったり、必ず化粧するなど、自分では意識していなくても、女の甘い匂いを強く発しているものです。男性と一緒に住んでいる場合や家族が色々いる場合と比べれば、ひとり暮らしであれば女性のニオイだけとなりますから、たしかにニオイで、ひとり暮らしの女性の家を探し当てることは可能だと思われます。

対策は?

ドアをすき間のないような密閉性の高いものにしたり、目張りをしたりということも考えられますが、日頃から換気をよくしてニオイが出ないように工夫することも大切でしょう。女性宅と悟られないために、自分がいやでなければ「男性の汗のニオイのついたタオルやシャツ」や「男性用コロンや整髪料を染み込ませた布」などを玄関ドアのすき間にかかるようにしておくというのも、ニオイで侵入宅を決める侵入者には多少の効果はあるかもしれません。しかし、そんな手間をかけるくらいなら、防犯対策をしっかりしておけばいいのです。

泥棒は「見る」「聞く」「触る」プラス「嗅ぐ」という器官と感覚を使って侵入する家を決めることが分かりました。ニオイだけでなく、その他の「見た目」「音」そして何よりも「施錠」等で防御して、絶対に侵入されないように、住まいに防犯対策をほどこすべきしょう。基本は、とにかく「玄関ドアと窓の出入り口」イコール「侵入口」を固めることです。侵入さえされなければ、家の中に何を置いておこうと盗まれることはないはずです。


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