お酒が好きな人ならば一度や二度、いや人によっては何度でも、記憶がないくらい酔っぱらって帰宅したことがあるのではないでしょうか。「どうやって帰ってきたのか覚えていない」というセリフもよく聞きます。何も起こらず、無事に帰り着いたのなら、運がよかったと言えるでしょう。


酔って帰宅&爆睡

お酒は飲むもの、飲まれないで
お酒は飲むもの、飲まれないで
サラリーマンのM本さんは、お酒が大好き。気の合う友人や同僚とよく飲んで帰ります。一人でも飲みに行きます。体調や心理状態にもよりますが、いつもかなり酔っぱらいます。ある日、いわゆる「へべれけ状態」になってしまいました。

3軒目に行ったまでは記憶にありますが、その後どうやって仲間と別れ、どのように自宅に帰ってきたのか後になってもよく思い出せないくらいでした。運良く、自宅のマンションに帰り着き、ドアを開け、室内に入りました。カバンを放り出し、靴下を脱ぎ、ネクタイをはずしながら1DKの奥の部屋に行き、万年床にたどり着きました。

上着を脱ぎ、ベルトをはずしてズボンをストンと落として2~3度、蹴るようにしながらズボンから足を出しました。(ワイシャツはどうせクリーニングに出すから)と頭の中で思ったかもしれません。ワイシャツを着たまま布団になだれ込み、前後不覚で眠りに落ちました。


見慣れない何かが

どれくらい時間が経ったでしょうか。肌寒さを感じて、上に出ていた左腕を布団の中に入れ、右手で布団を引き上げました。右側を下にしてひざを「くの字」の体勢で寝ています。

ふと細く目を開けてみました。布団のそばには脱いだままの洋服があります。と、そこに見慣れないモノが、いや、人が!?

眉間にしわを寄せながら、もっとしっかり見ようと何度かまばたきしました。そこには、M本さんの上着の内ポケットから今にも札入れの財布を取り出そうとしている女がいたのです!! そして、次の瞬間、その女と目が合いました!

カーテンをつけていないすりガラスの窓から、街路灯の灯りがぼんやりと入っています。全体に黒っぽい人の形が洋服の上にかがみ込むように、そして、こちらを向いている顔から、見開いた目が自分を見ているのです!


女が!
女が!
アルコールが抜けない酔った頭では、事態を把握することができません。目を見開く力もなく、情けないような気持ちで、でも目をはずすことができないでいると、女が財布を戻し、上着を置きながら、
「ごめんね」
と、ささやくように小さな声で言いました。



→体が動かない/翌朝…/思い出してみる
→→危機一髪/届け出はすべき
→→→カギをかけ忘れる人々/泥棒さん、いらっしゃい/カギは命を守るカギ