ピッキング・泥棒の対策/ピッキング・空き巣を防ぐ

雨の日は泥棒被害にあいやすい?侵入被害を招く空き巣日和とは

ある侵入窃盗犯の供述によると「空き巣をしやすい日がある」ということでした。それはいったいどんな日? そしてなぜ?どんな日にどんな条件だと泥棒などの空き巣に入られやすいのかを解説します。これを参考に、是非対策してみてください。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

雨の日の泥棒・空き巣は手口そっくり!

雨の日は泥棒被害にあいやすい?侵入被害を招く空き巣日和とは

雨の日にこそ、空き巣被害に気をつけて

2018年5月25日、警視庁の発表によると、住所不定・無職の60歳の男が、東京都内の住宅に忍び込んで現金を盗んだ疑いで逮捕されました。男は、「雨が降っていると、侵入する時窓ガラスを割る音が消されるので狙いやすかった」などと供述しているということです。現場の周辺などでは、雨の日の深夜に同じような被害が相次いでいて、20件以上の盗みを繰り返していたとみて警視庁が調べています。

防犯ガイドサイトでは、2003年にやはり空き巣を繰り返していた男の犯行について記事を書いていましたが、今回の事件と酷似しています。これから梅雨の時期を迎えるにあたって、雨の日にこそ、侵入被害を警戒すべきということを繰り返しお伝えしたいと思います。

<目次>

 

ある空き巣~侵入窃盗犯の犯行

2002年11月4日に埼玉県熊谷市内の会社員宅に侵入、現金47万円を盗んだ疑いで逮捕されていた男が、2年2カ月間で約270件の空き巣(侵入盗)を繰り返していたことで3月18日までに追送検されました。被害にあった地域は埼玉県、群馬県、広島県、静岡県、愛知県、岡山県の6県に及び、被害額は現金だけで約2200万円に上っています。

26カ月間に約2200万円ということは、月額約85万円弱。年収一千万円強というとかなりの地位の人の年収に値します。しかも税金は納めていないのですから、大変なものです。

また、270件を26カ月でということは、月に約10日間の犯行、つまり約3日に1度の働きでそれだけの現金を得ていたわけですから、空き巣稼業は儲かる、とでもいうのか、一度やったらやめられないでしょう。結局、最後は逮捕されているわけですが、住所不定・無職の54歳では、刑に服して刑務所から出てきたときには、正業につけるかどうか懸念されます。
 

新興住宅地の一戸建てを狙った!

この男はとくに、新興住宅地の一戸建てを狙っていました。新興住宅地では住人同士がまだそれほど親しくもなく、隣近所のつきあいは深くはないでしょう。多少の物音がしたとしても、とくに気にもとめないでしょうし、マンションなどの集合住宅と違い隣の家との距離があり、人の視線が届きにくいものです。

そして、「ピッキング」が空き巣の一番の侵入手口と思われがちですが、「無締まり・無施錠」そして「窓などのガラス破り」が侵入手口としては大きな割合を占めているのです。集合住宅では玄関は一カ所で窓はベランダの掃き出し窓だけか、せいぜい角部屋の場合に建物の壁側にも窓があるくらいです。

それに比べると、一戸建てでは玄関のほかに勝手口があることが多いでしょうし、窓の数が圧倒的に多いものです。小さな窓や高い位置にある窓だから、と換気のつもりで留守時にも開け放したままのお宅もあることでしょう。

独立した建物ですから、建物の周囲360度ぐるりと見回せば必ず死角があります。建物の横や裏手に回れば、誰にも見とがめられずにガラスを破って侵入することが可能なのです。

※一戸建ての住宅の場合は、窓などの侵入口が多いということで、客観的に自宅の建物をよく観察して、侵入被害を防ぐ工夫をしましょう。

※勝手口のドアは意外と防犯対策を怠りがち。勝手口もワンドア・ツーロックにしましょう。


 

「雨や風の強い日は音が響かないので仕事がやりやすかった」

雨や風の強い日には、音が聞こえにくいので、ガラス破りなどの侵入被害を受けてもわかりにくい

雨や風の強い日には、音が聞こえにくいので、ガラス破りなどの侵入被害を受けてもわかりにくい

この容疑者の供述ですが、なかなか意味の深い内容です。

雨の日には、道行く人は傘を差していますから、普段よりも視線はさえぎられています。風の強い日も、つい目を細めがちです。自分の行く手を見るのが精一杯で、周囲を見る余裕はあまりないでしょう。

そして、なによりも雨の日は音がさえぎられます。雨の日には周囲の音が聞こえず、静かな感じがしますが、いってみれば雨が「音のカーテン」「遮音カーテン」のように、音を聞こえにくくするのです。シャワーを浴びているときにはまったく周囲の音が聞こえないものですが、それと同様に、雨が音を遮断するのです。

そればかりか、雨に音が吸収されてしまい、響くことがありません。太鼓などの楽器が乾いていればよく響き、湿度が高かったり濡れていれば音が響かないのと同じです。

音が大気中を伝わる速度は温度、湿度、風などによって異なります。晴れた日には、遠くの音までよく届きます。「山びこ」は晴れた日にこそよく響くもの。雨の日や風の強い日には叫んでもすぐにかき消されてしまいます。風の強い日はビュウビュウ、ゴーゴーと風の音そのものがひどく、ちょっとした物音などは風とともに消えてしまい、誰の耳にも届きません。
 
空き巣に狙われないように!

空き巣に狙われないように!

雨や風の強い日には、音が聞こえにくいので、ガラス破りなどの侵入被害を受けてもわかりにくいということです。空き巣に狙われないように、とくにガラス破りを防ぐために、防犯フィルムを貼ったり、防犯ガラスに交換するなどして自宅の防犯態勢をしっかり整えておきましょう。
 

経験から空き巣しやすい日を導ける

この侵入犯は経験則からそういったことを理解して、捕まらないように空き巣の作業をしていたのでしょう。仕事に工夫しているというか、効率を考えていたのでしょうが、それだけの知恵をまともなことにつかってほしいものです。

ちなみに気象庁のデータで調べてみると、逮捕された2002年11月4日未明の埼玉県熊谷市では風速は1m程度、晴れで雨は降っていませんでした。


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※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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