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安い値札に付け替えて買うのは「詐欺罪」になる

お店での「万引き」が多発していますが、値札を付け替えて安い値段で商品をだまして買う手口もあります。これは、「詐欺罪」で10年以下の懲役になります。

佐伯 幸子

執筆者:佐伯 幸子

防犯ガイド

衣類等に使われるタグ・ループと、値札シール
衣類等に使われるタグ・ループと、値札シール
某有名ディスカウント店において、金額の違う商品のタグを付け替えて差額を騙し取る犯行が相次いでいます。

お店で売られている商品の値札を安い物に付け替えて買う行為は、「詐欺罪」にあたります。万引きは「窃盗罪」。どちらも罪は決して軽くありません。10年以下の懲役刑なのです。


「万引き」は窃盗罪、「値札貼り替え」は詐欺罪

店の商品を代金を支払わずに持って出ることは「万引き」として、「窃盗罪」に問われます。子どもから高齢者まで、老若男女を問わず、万引きが多発しています。万引きが窃盗罪であることについては、以前の記事「万引き」イコール「窃盗犯」に詳しく書いてあり、あるタレントのテレビでの万引き体験発言の騒ぎの際には、色々なところで取り上げられました。

最近、とくに「古書店」(または新古書店と呼ばれる店)、またその他の小売店などで、「値札の貼り替え・万引きはやめましょう」といった貼り紙を見ることがあります。商品についている値札を、他の安い商品の値札と貼り替えて、安い値段で買う、という行為が多発していると推測されます。また、本のカバーだけを安い値段のものにつけかえて、中身は高い値段の本だということもあるようです。

これは、「詐欺罪」にあたります。少しでも安く買いたいのは誰でも同じですが、付いている値札を別の値札にしてしまうのは、「人を欺くこと」です。刑法により禁じられており、「10年以下の懲役」となります。未遂であっても罰せられます。


値札の貼り替え、お店はどう対応するべきか

貼り替えしにくいように値札に切れ込みで防御
貼り替えしにくいように値札に切れ込みで防御
店側も、バーコードで金額を読みとるタイプなら値札にそれほど神経質にならずに済みますが、値札で金額を見る場合、その商品の値段を覚えていない限りは、値札を疑うことなくその金額で売ってしまうでしょう。商品の点数が多い店ほど、覚えていないものです。

値札が簡単に貼り替えられないように、シール自体に切り込みがあり、剥がそうとすると切れてしまうタイプの値札を使うことも多いようですが、それでも、店内に貼り紙をしなくてはならないほど、多発しているのでしょう。

衣類や靴、小物、雑貨などなら、タグループ(ループ状のひもにタグをつけたもの)や、ピンでタグをごく小さな針穴で布地などに打ち込むタイプなどあり、取り外すのは困難です。ただし、ちょっとした刃物を持ち込み、それすらも切ってしまう悪質な人もいるようです。万引き防止ゲートなどに反応するため、値札などの商品タグそのものを取ってしまうわけです。

取り去った値札を見えないところに押し込んだりするようですから、犯行により値札を入れられそうな場所はチェックが必要です。中には、衣類の値札を取り、着ている服の下に着込んでそのまま店を出ようとする人もいるので、試着室利用の際には、点数を確認してから手渡すようにしなくてはなりません。

商品そのものに「値札シール」をつける、商品点数の多い店は要警戒となります。また、レジに経験の浅いパート、アルバイトなどの従業員がいるときを狙われますので、値札が貼り替えられていないか、カバーと中身が一致しているかどうか、商品そのものと値札を十分にチェックする習慣をつけるように店長が指導して、店内での意識を高めることが求められます。

また、広い店内や死角のある店内では、陰に回って見えないところで、こうした作業をするようですから、従業員はこまめに店内を巡回するようにして、防犯ミラー(凸面鏡)や防犯監視カメラも活用しましょう。犯行を発見したときは、できるだけ警察に届け出て、万引きの窃盗や値札貼り替えの詐欺行為に対しては厳しい店だということをアピールしましょう。

ただし、万引きと見せかけてわざと捕まってみせて、「客に失礼なことをしたな」と慰謝料を請求する人がいたり、万引きをしていながら逆恨みで“お礼参り”をしようとする人もいたりするので、店内での状況判断を誤らないように注意しましょう。過去に某大型ディスカウントショップで発生した連続放火事件は、放火の理由はともかく、万引きをした人物によるものでした。本当に店側は、万引きだけでなく、色々なことに警戒しなくてはなりません。


法律ワンポイントチェック

刑法第235条(窃盗)
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役に処する。
第243条(未遂罪)
第235条から第236条まで及び第238条から第241条までの罪の未遂は、罰する。

刑法第246条(詐欺)
[1] 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
第250条(未遂罪)
この章の罪の未遂は、罰する。

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