消費者教育の必要性
先頃、昨年来より大きな問題となっている電話トラブルについて、国民生活センターの方にも相談状況や悪質商法に関する現状などを伺ってきました。膨大な相談件数に対応していらっしゃるセンターの方のお話と、当サイトにも届いた多数の相談メールなどから、相談者の皆さんの「知らないこと」つまり「どうすべきか、どういうことかわかっていないこと」が被害を招いているという点に、「消費者教育」の重要性をひしひしと感じました。携帯電話のユーザー、とくに若い人たちに、ぜひ今一度、携帯電話との関わり方について考えていただけたら、と思います。
トラブルの構図
(1)ワン切り業者がワン切りで着信番号を残す→(2)番号通知でコールバックしてきた人に請求をする
→(3)脅えて支払う人がいる
という構図です。
問題は、その残された着信番号にコールバックしてしまう点にあります。これも、「仕事の相手かな?」と思ったり、「誰だろう、何だろう」と思って、コールバックしてしまうのでしょうが、知らない番号にはコールバックなどしない人もたくさんいます。いや、むしろ、アンケート結果をみてもわかるように、一度はコールバックしてしまったけれども二度はしない人も含めると、コールバックしない人の方が多いのです。
かつて、アナログな電話の時代には、番号通知システムもなく、かかってきた電話が誰からであったか、ということはわからないままでした。用事があって、実際に必要なら相手が出るまで、かけ続けるはずです。
ワン切りで残った着信番号が「単純な間違い電話」か「悪質な業者の意図的なワン切り」なのか、判断のしようもないのですが、やはり、原点に戻って、「必要な電話ならまたかかってくる」という、当たり前の考え方をするしかありません。
不用意にコールバックしてしまうので、ワン切り業者の餌食になってしまうことになるのです。残された着信番号にとらわれてしまっているからです。「だって、仕事の相手かもしれないし」「用事があるのかもしれないし」などと、コールバックしてしまう人にはそれなりの理由があるようですが、それはあまりにも「着信番号」にこだわっているということです。
「着信番号が気になって仕方がない」「着信番号の相手を知りたくてたまらない」人たちは、若年層、つまり十代から二十代の若い人が圧倒的です。携帯電話が必需品で、生活から切り離せない、ないと不安、中にはコールバックするのは常識、と考えている人もいるようです。
携帯電話が命、とでもいわんばかりに、片時も放さず、着信記録にまどわされているのです。「ケータイのドレイ」といってもいいほどの入れ込みようです。その背景には、不安や友人関係のあり方など、さまざまな理由があるようですが、「携帯電話依存症」とでもいったようなとらわれ方といえそうです。
携帯電話を持っていても、必要な相手先にしかかけない人は、見知らぬ着信番号にコールバックするようなことはありません。「間違いでしょう」と思うか、ワン切りだろうと思って、かけ直したりはしないのです。「本当に用事があって必要なら通じるまでかけてくるでしょう」と思うわけです。そこには、何のリスクもありません。自分からはかけなければ、トラブルにはならないのです。