個人情報を漏らしたのはあなた
電話会社に電話して問い合わせてみると、「当社では電話でお客様の住所などを聞くようなことはありません」と言われた。「でも、返金するからって」「万が一、余分にお支払いいただいたとしても、書面でお知らせしますし、係りの者が電話で個人情報をおたずねするようなことはいたしません」とすると、あの電話は誰かのいたずら、というより、自分の住所を調べようとした誰かの策略だったのだ、とやっと気がついた。合コンで一度だけ会った男なのか、バイト先の誰かなのか。思いつかなかった。急に恐さがこみ上げてきた。
とりあえず携帯電話を新しい番号のものに変えた。無言電話はなくなったが、電話が鳴ると緊張するようになってしまった。郵便受けにはそれまでカギをかけていなかったのだが、必ずかけるようにした。夜、歩くときは後ろをよく見るようにして、人の気配に敏感になった。大家に了解をもらって、自分で部屋の玄関の錠前をもう一つ取り付けた。
考えられることをすべてやってみた。一時ほどのおかしな出来事はなくなってきたので少しホッとしたが、いずれ近い内に親に無理を言ってでも引越をしようとE理さんは考えている。
電話料金や公共料金などの返金と偽って、住所などの個人情報を聞き出そうという手口が横行しています。ただ住所を教えて、と言っても答えないでしょうが、「お金を返します」と言われたら、つい、答えてしまう人は多いのではないでしょうか。自宅の住所を聞き出そうと思えば電話一本でできてしまう、という悪質なケースです。
電話会社や公共料金などの機関では電話で個人情報を確認するようなことはありません。もし、万が一そのような問い合わせがあっても、決して電話で自分の情報を教えてはいけません。必ず、請求・領収書にあるその会社の連絡先に確認するようにしましょう。
電話をかけてきた相手には「会社名、電話番号、担当者名を教えてください、かけ直しますから」と伝えてください。中には食い下がって、「じゃあ、返金しないでいいんですねっ」と言ったり、「いや、部署が違うから」云々と、わけの分からないことを言って来る場合もあるようです。
とすれば、余計におかしいことだと気がつきましょう。世間にはあの手この手であなたの個人情報を得ようとする人物がいるのです。電話で問い合わせがあっても、まず疑ってかかるくらいの気持ちが必要でしょう。
知らない人からかかってきた電話には、たとえお金を返すので、と言われても、その時点では相手のことは何もわかっていないのですから、知らない相手に自分の住所等を教えてはいけません。
電話一本で簡単に知らない相手に個人情報を教えてしまう、というのは危機管理意識がなさすぎます。たとえ「お金を返すから」と言われても…です。