66歳のA子さんは、65歳でフルタイムの仕事を辞め、現在は週3回、1日5時間のパートで働いています。娘と2人暮らしです。
仕事を辞めるタイミングで娘さんと話し合ったのが、これからの家計についてでした。「最近は家電も高くなっているし、冷蔵庫やエアコンが突然壊れたら、まとまったお金が必要になるよね」と。今回は、A子さんが始めた「突然の出費」を「予定された出費」に変える家計管理についてご紹介します。

「いつか必要になる家電」を書き出してみた
A子さんが最初にしたのは、家にある家電を一通り確認し、買い替えの優先度を分けることでした。
家電は、いつ壊れるか正確には分かりません。しかし、壊れてしまう可能性は常にあります。特に、冷蔵庫、エアコン、洗濯機は壊れてしまうと生活に大きな支障があります。一方、テレビ、炊飯器、電子レンジ、掃除機などは、故障しても「少しの間は、代替方法を工夫する」という選択ができます。
A子さんは、「壊れたらすぐ必要なもの」と「しばらくなくても困らないもの」に分けて考えることにしました。「全部を一度に買い替えるわけではないけれど、必要になったときにお金がないのが一番困る」。この考えが、積み立てを始めるきっかけになったのです。
月6000円を「家電用」に分ける
A子さんが始めたのは、シンプルな方法です。毎月の家計から、6000円を「家電買い替え用のお金」として別の口座に移すだけです。
生活費と一緒にしてしまうと、知らないうちに使ってしまう可能性があります。そこで、普段使う口座とは分けて管理することにしました。月6000円なら、毎月の負担もそれほど大きくありません。「1年で7万2000円。2年なら14万4000円。少しずつ積み重ねておけば、家電が壊れたときに十分な備えができる」と考えています。
15万円の根拠:最優先の家電の買い替え費用
A子さんが当面の目標にしたのは「約15万円」の準備でした。なぜ15万円なのか。これは冷蔵庫やエアコンの買い替え費用を想定したものです。
2026年時点での相場を見ると、2人用の冷蔵庫(250~300L程度)の買い替えと設置費に約6万~10万円、エアコン(8畳用)の本体と工事費込みで約12万~15万円、洗濯機(タテ型・7キロ)と設置費で約6万~8万円かかります。つまり、「最優先の家電が1つ壊れると、7万~15万円前後の支出が必要」という現実があります。月6000円で2年続ければ、その費用にほぼ対応できます。
「予定外の出費」を「予定された出費」に変える
家電が壊れると、多くの人は「予定外の出費」と感じます。しかし、冷蔵庫やエアコン、洗濯機などは、使っている限り、いつか買い替える時期がやってきます。「今後数年のどこかで必要になる可能性がある」と考えれば、まったくの予想外ではありません。
例えば、冷蔵庫の買い替えに10万円かかったとしても、そのときになって慌てて貯金から出すのではなく、毎月6000円ずつ準備しておけば、家計への衝撃を小さくできるのです。
「ムリな節約」より「目的を決めた貯蓄」
A子さんがこの方法を始めて感じたのは、「節約しなければ」と考えるよりも、気が楽だったことです。「今月は外食を1回減らそう」「洋服を買うのを我慢しよう」と、日々の支出を細かく削る方法もあります。
でも、家電買い替え用と目的を決めてお金を分けておけば、「これは使わないお金」と意識できます。しかも、家電以外の大きな支出にも応用できます。車検やタイヤ交換、火災保険の年払いなどある程度まとまったお金が必要になると分かっているものは、同じように準備できます。
「いつか必要なお金」を、先に準備する
老後の家計では、毎月の生活費だけでなく、時々発生する大きな支出にも備えておく必要があります。A子さんの場合、その最初の一歩が家電でした。
「家電は壊れたら、そのとき考えればいい」と思っていると、突然の買い替えで貯金を大きく崩すことになりかねません。一方で、「いつか必要になる」と考え、少額でも先に積み立てておけば、出費に備えることができます。
節約というと、「今使うお金を減らすこと」に目が向きがちです。でもA子さんが実践しているのは、将来出ていくお金を先に準備しておくこと。「突然15万円かかった」を避けるために、今から6000円ずつ準備する。こうした小さな積み重ねが、老後の家計を安定させ、貯金を取り崩す機会を減らすことにつながっていくのです。







