老後の暮らしでは、収入が減るため、蓄えから補填(ほてん)する生活が続くことがあります。そんなとき、思いがけない出費が重なり、「医療費がかさんでしまった」「家賃の支払いが難しい」など、経済的な不安を感じることもあるでしょう。1人で抱えてしまう人もいるかもしれません。
今回は、生活に困ったときに利用できる「生活困窮者自立支援制度」についてご紹介します。

まず相談したい「生活困窮者自立支援制度」
生活に困っているとき、まず知っておきたいのが生活困窮者自立支援制度です。
この制度は、経済的な困窮だけでなく、仕事、住まい、家計、社会との関わりなど、さまざまな問題を抱える人を対象に、生活の立て直しを支援するものです。相談窓口は全国に設けられています。
例えば、
「年金だけでは生活費が足りない」
「退職してから収入が減り、家計が回らない」
「働きたいけれど、どうすればいいのか分からない」
といった相談ができます。
自立相談支援窓口では、専門の支援員が話を聞き、本人の状況を整理したうえで、必要な支援につなげます。最初から自分で「どの制度を使えばいいのか」を判断する必要はありません。困っていることをそのまま相談し、支援員と一緒に解決策を考えることができます。
参照:生活困窮者自立支援制度
生活困窮者自立支援制度のさまざまな支援1:家計そのものを相談できる「家計改善支援」
「収入が少ない」というだけでなく、「お金の使い方がうまく整理できない」という場合もあります。そうしたときに利用できるのが、生活困窮者自立支援制度の家計改善支援事業です。
家計表などを作りながら、収入と支出を「見える化」し、家賃や税金、公共料金などの滞納解消、利用できる給付制度の案内、必要に応じた債務整理に関する支援などにつなげます。
例えば、
「毎月いくら足りないのか分からない」
「支払いがいくつも重なっている」
「どの制度を使えるのか分からない」
という人も、相談することで家計を整理するきっかけになります。
ただし、家計改善支援事業は全ての自治体が同じ形で実施しているわけではありません。利用できるかどうかは、地域の相談窓口に確認しましょう。
生活困窮者自立支援制度のさまざまな支援2:家賃が払えないときは「住居確保給付金」
生活が苦しくなったとき、特に深刻なのが住まいの問題です。
生活困窮者自立支援制度には、一定の要件を満たす人を対象に、住居確保給付金によって一定期間、家賃相当額を支給する仕組みがあります。
例えば、離職などによって収入が減り、家賃の支払いが難しくなった場合などが対象となります。
「家賃が払えなくなってから相談する」のではなく、生活が苦しくなり、住まいを失うおそれが出てきた段階で相談することが大切です。
なお、支給には収入や資産などの条件があります。誰でも受け取れる給付金ではないため、まずは相談窓口で確認しましょう。
生活困窮者自立支援制度のさまざまな支援3:「働きたいけれど、すぐには無理」という人にも
「仕事を探したいけれど、長く働いていなかったので不安」「体力に自信がなく、いきなり就職するのは難しい」という場合もあります。
生活困窮者自立支援制度には、就労準備支援事業などもあります。すぐに就労することが難しい人を対象に、生活習慣を整えることや、就労に必要な基礎的な能力を身につける支援などを行います。65歳以上でも、「少し働いて収入を増やしたい」という人はいます。
その場合も、求人を自分で探すだけでなく、自分の状況に合った働き方を一緒に考えてもらうという選択肢があります。
相談窓口はどうやって探す?
自治体の相談窓口は、市区町村によって名称や場所が異なります。
まずは、市区町村のホームページで「生活困窮者」「生活相談」「自立相談支援」などのキーワードで検索してみましょう。
毎月届く「市報」「広報○○」を確認するのも方法です。福祉、生活相談、家計相談、住まい、就労などの窓口が掲載されていることがあります。
どこに相談すればよいのか分からなければ、市役所・区役所の福祉担当窓口に「生活やお金のことで相談したい」と問い合わせる方法もあります。適切な相談先を案内してもらえます。
さらに、厚生労働省が案内する「困窮者支援情報共有サイト~みんなつながるネットワーク~」では、全国の自立相談支援機関を探すことができます。
「お金がない。でも、どこに相談すればいいか分からない」なら、まず相談先を探すことから始めてみましょう。一人で不安を抱えるのではなく、自治体の制度や窓口を知っておくことも、老後の暮らしを守るための大切な備えといえるでしょう。







