ビジネスマナー

「無関心」「威圧的」な態度で不安をあおる……「話しづらい上司」認定されないために注意したい癖

部下や後輩の不安感や緊張の度合いを高める、上司の威圧的な視線やアイコンタクトを解説します。単なる癖であったとしても、好ましくない言行は部下との信頼関係構築の邪魔になってしまいます。今一度、自分の普段の言動を振り返ってみましょう。

美月 あきこ

執筆者:美月 あきこ

ビジネスマナーガイド

威圧的な上司

ただの疲れや加齢が原因でも……部下に「威圧的」と受け取られてしまう表情・視線の送り方に注意

年度初めの4月末から5月末までの間は、新しい仕事や人間関係に慣れるためのストレスから、「五月病」が心配される時期です(※医学的に正式な病名ではないが、環境の変化が多いこの時期に心身に不調を感じやすい)。

上司と部下とのコミュニケーションにおいて、上司の言葉以外でのメッセージのネガティブな部分を部下が敏感に察知し、その結果、ストレスや不安を感じてしまうことも多くあります。それが上司の単なる癖であったとしても、好ましくない言行は部下とのラポール(信頼関係)形成の邪魔になってしまいます。部下や後輩を持つ人は、自らの言葉以外の表情や態度、癖などにも注意を払う必要があります。

本記事では、部下や後輩の不安感や緊張の度合いを高める、威圧的な視線やアイコンタクトの一例を紹介します。

「目は心の窓」と言われるように、相手の目を見れば多くの情報を知ることができます。目は意思を示したり、その時々の感情を示したりするものです。しかし、その目の動きが上司本人の習慣や癖であることもあります。この場合、情報の発信者の不適切な表現によるコミュニケーション不全状態によって、相手に間違った受け取り方をされてしまいます。

具体例を見ていきましょう。
 

凝視NG 上司の威圧的な視線

上司の威圧的な視線とは、上司が部下を見る際に、厳しい、怒っている、期待しているなどの意図を含めた、強い目線を向けることを指します。具体的には、以下のような行動をされたり、したりしていませんか? ※()内は、威圧的な態度とは裏腹に、そのような行動になってしまった実際の理由として考えられること、発信者と受け手の齟齬
 
  • 長い時間、じっと見つめる(実際は、ぼーっとしていただけかもしれません)
  • 目が怒っているように見える(忙しさと、加齢で眉間にしわが寄っているだけかもしれません)
  • 上から見下ろすような視線(実際は、老眼鏡をかけていて、あごを上げる習慣があるだけかもしれません)
  • 見つめたまま話し続ける(早口の人は一気に話す際、まばたきをしないことが多くあります)

相手の意見を尊重し、穏やかな表情と目線を使い、相手に安心感や信頼感を与えるよう心がけることが大切です。以上の行動をしていないか、自分の癖を確認してみましょう。
 

強制NG 上司のがんじがらめな見つめ方

部下が上司に対して何かを尋ねたり、頼んだりした際に、それを行う代わりに部下から見返りを期待しているような見つめ方にも注意です。
 
  • 理解しているかどうかを細かく確認したいあまりに、短い間隔でチラッチラッと何度も部下を見る
  • 早く取り掛かってほしいあまりに、部下が言い終わる前に、上司が次の行動を示唆するような視線を送る
  • 部下がNOと言えないような迫力のある視線を向ける(実際には、「あなたならきっとできる」との部下を評価する視線、期待する視線であったとしても受け取られ方に注意です)

このように強制力を与えるような視線を送ると、部下は強い圧迫感を感じ、自己表現や意見の表明がしにくくもなります。上司としては、部下に十分な時間を与え、部下の意見や考えを尊重するように心がけましょう。また、部下に必要なサポートやフィードバックを提供するなど、自然な形で部下に期待する行動を促してみましょう。
 

アイコンタクトの受け取られ方にも注目

アイコンタクトとは、意識的に自分の視線をコントロールして、相手と視線を合わせる行為です。肯定的な関心を持って部下を見るとき、同時に部下も上司の目を見て瞬時にメッセージを受け取ります。お互いの息のあった掛け合いが必要です。

部下に目を向けるときの好ましくない受け取られ方が以下です。
 
  • 眉間にしわを寄せた怖そうな表情(仕事中の真剣な表情だったのかもしれません)
  • まばたきが少なく、冷たい目つき(忙しさとドライアイ、疲れ目の場合もあります)
  • 目が泳いでいて、どこか遠くを見ているように見える(他のことを考えている可能性大)
  • 目をそらす、避けているようにも見える(部下にプレッシャーを与えないよう配慮したつもりだったのかもしれません)
  • 視線がぼんやりとしており、相手を見ていないように見える(疲れていたのかもしれません)

部下に目を合わせ、明るく自然な表情を保ち、部下の話に聞く耳を持つよう心がけましょう。部下の話は中断せず、途中で目もそらさないように(意識しすぎて、まばたきをせずに長時間見つめることは避けましょう)。部下が複数いる場合は、どの方向からも「見られている」ことを意識することも大切です。
 

無関心な態度にも要注意

  • 目を見ず話し続ける
  • 他のものを見ながら、他のことをしながら話す

部下が一生懸命に話をしているのに、上司が無言でスマートフォンを触っていたり、PC画面を見ていたり、上司が部下を無視して他の人と話し続けていたり。また、上司が部下に対して無関心な表情をしているなどもNGです。

相手の話をしっかり聞き、部下の気持ちに共感するような表情や言葉を使い、相手に対して適切なコミュニケーションをとるようにしましょう。

部下や後輩とのコミュニケーションにおいて、相手の気持ちや状況を考慮することは重要です。職場のストレスや不安を軽減し、生産性やモチベーションの向上につながることが期待されます。
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