マネジメント

日本に迫り来る「大失業時代」の恐れ…仕事を“失う人”と“生き抜く人”の決定的な違いとは

ツイッター社やメタなど米国IT大手企業の大量解雇が相次いでいます。日本では労働基準法や労働関係法により、米国的な会社都合の大規模レイオフはほとんどないといっていいですが、違った形での「大失業時代」が近々到来する懸念はあるのではないかと考えています。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

「米国IT大手企業の大量解雇」が話題になっています。テスラ創業者のイーロン・マスク氏が買収したツイッター社の衝撃的な半数解雇をはじめとして、メタ(旧フェイスブック)は全従業員の13%にあたる1万1000人超を解雇。ネット通販最大手のアマゾンも、ボーナス商戦という一番の稼ぎ時にも関わらず1万人規模のリストラを予定していると報じられました。
ツイッター社やメタなど米国大手IT大手企業の大量解雇が相次いでいます

ツイッター社やメタなど米国大手IT企業の大量解雇が相次いでいます

また、ビッグネームだけでなく、IT決済系のストライプや宅配サービスのゴーパフ、金融プラットフォームのチャイムやブレックスといった新興企業でも同様の動きが出ており、今米国ではIT系業界を中心として「大失業時代」到来か、と騒がれているのです。
 

日本企業にも従業員大量解雇の流れ……!?

相次ぐ大量解雇の理由は、巣ごもり需要などがもたらしたパンデミック景気から一転、2022年3月のウクライナ危機以降の急速な業績悪化によるものとみられています。先行きを見誤った過剰投資がここに来て大きく業績の足を引っ張る形となって戦略転換を迫られ、結果として業績拡大を前提に大量採用した人員のカットから手を付けよう、というのでしょう。業績下降局面で、前倒し投資的な人件費が固定費となってしまうことを避けるために、大幅な人員削減に踏み切ったといえます。

一部では、この米国での従業員大量解雇の流れが日本にも及ぶのではないかと懸念する声も聞かれますが、その恐れはほとんどないといっていいでしょう。

第一に、日本のIT業界では大手も新興も、喜ぶべきか悲しむべきか、成長企業でも驚くほどの急成長を遂げた企業は少なく、ウクライナ情勢の影響があったとしてもそれほど深刻な状況ではないということ。

第二に、これが最大の理由ですが、米国と日本では労働関係法が大きく異なっており、日本の労働基準法および労働契約法では、労働者側に解雇に相当する明確な落ち度がない限り、基本的に会社側の一存では雇用の解除ができないルールとなっているのです。

すなわち、日本企業の経営サイドにはいつでも従業員を会社都合で解雇できるというレイオフ権は存在せず、米国企業のように景気変動を理由とした大量レイオフなどということは現実的にはあり得ないのです。これは日本企業が従来、終身雇用を前提とした雇用形態を基本に成長を遂げてきたという歴史とも関係があります。

しかし、日本においては米国的な、企業サイドからの一方的な大規模レイオフは当面ないとしても、違った形での「大失業時代」が近々到来する懸念はあるのではないか、と考えています。それは景気の浮き沈みとは関係なく、従業員個々人のアフターコロナ時代が及ぼす変化への対応力の有無が問われた結果が招く「大失業時代」です。

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