マネジメント

日本に迫り来る「大失業時代」の恐れ…仕事を“失う人”と“生き抜く人”の決定的な違いとは(2ページ目)

ツイッター社やメタなど米国IT大手企業の大量解雇が相次いでいます。日本では労働基準法や労働関係法により、米国的な会社都合の大規模レイオフはほとんどないといっていいですが、違った形での「大失業時代」が近々到来する懸念はあるのではないかと考えています。

大関 暁夫

執筆者:大関 暁夫

組織マネジメントガイド

失業しないために今必要なこと

コロナ禍を経て、ビジネスの世界は予想以上に急速かつ大きな変化がありました。その最たるものが、人と人の接触を減らす目的で一気に導入が進んだIT技術の応用です。「DX=デジタルトランスフォーメーション」という言葉で象徴的に言い表されていますが、ビジネスパーソン個々人のDXへの適応の可否こそが失業の雌雄を決することになり得ると思うのです。

今後、DX化によってあらゆる企業で無くなる仕事が確実に増えます。となれば、来るべきDX化の時代に対応できる知識を身につけなければ、自分の仕事が無くなってしまい結果的に失業してしまうことになりかねないのです。

言い換えれば、DX化の時代はそこで働く従業員一人ひとりが、新しい時代に取り残されない知識を身につけることが不可欠になる、ということでもあります。今必要なことは時代に対応した新しい知識の「学び直し」ですが、昨今ビジネス界ではこの新時代の「学び直し」のことを、あえて「リスキリング(Reskilling)」という言葉で表現することで、単純な「学習」や「勉強」の意味での「学び直し」とは明確に区分けされているのです。

では「リスキリング」は、一般的な「学び直し」と何が違うのでしょう。それを理解するためには、リスキリングでの「学び直し」の主な対象が、DX関連知識であるということに着目する必要があります。IT化とDX化の違いと「学び直し」と「リスキリング」の違いは、確実にリンクしているということです。

IT化はテクノロジーの活用によって業務の省力化や効率化を実現することですが、DX化は最新テクノロジーを活用して顧客価値を高めること、つまり顧客価値の向上に資するテクノロジー化であるという違いがあります。同様に、「学び直し」は単純に新たな知識やノウハウを身につけることですが、「リスキリング」は具体的に顧客価値向上に資する知識やノウハウを身につけることと理解しなくてはいけないのです。顧客価値向上という具体的な目的ありきでの「学び直し」こそが「リスキリング」である、と理解してください。

政府も「リスキリング」に関しては我が国の重要課題のひとつとして捉えており、岸田首相は「リスキリング」支援でこの先5年間に1兆円を予算化すると表明しています。国が「リスキリング」に力を入れるのは、これが我が国の将来の発展、すなわち「強い日本づくり」に直結すると考えているからに他なりません。この点からも、これからの時代も求められ続けるビジネスパーソンには、「リスキリング」が不可欠なのです。DX化の進展による「大失業時代」に飲み込まれないためにも、「リスキリング」を正しく理解した上でこれに取り組むことが求められているといえるでしょう。
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