塾で成績の良いあの子たちは、一体いつ勉強しているのでしょう。中学受験生は8~15時まで小学校に拘束される上、週に3日や4日も夜まで塾に通ったりしていると、本当に時間が足りなくなります。

与えられた時間は同じなのに成績にこんなに差が開いてしまうなんて、やっぱり頭の出来が違うのかしら……。そんな風に感じている保護者の方は多いはず。では本当に「頭の出来」が違うのでしょうか。残念ながら確かにそのような差はあると思いますが、原因はそれだけとは限りません。今回は「賢い子たちはこれをやっていない」という5つのタブーから、学習習慣の改善策をご紹介します。
 

1. 暗記作業を家でやらない! 賢い子は塾の授業の集中度が違う

成績が良い子は、授業中の集中度が断然違う

成績が良い子は、授業中の集中度が断然違う

授業中、ついさっき説明したことを質問しても答えられない子がいます。ほんの数秒前のことであっても、そういう子は答えられません。要するに授業を聞いていないんですね。

一方で成績が良い子は、授業中の集中度が断然違います。理科や社会などの暗記単元でも、集中力を発揮して習ったことを片っ端から覚えて帰るため、家に帰ってからプラスアルファの学習が可能となり、同じくらいの勉強時間でも最大限の効果を発揮できるのです。

暗記項目を塾で覚えて帰ると他の効果もあります。受験生の保護者の方々なら「エビングハウスの忘却曲線」をご存じでしょう。人間は一日経つと覚えた内容の7割以上を忘れてしまいます。しかし適切なタイミングで復習すれば、記憶の忘却のスピードは緩やかになり、結果としてすぐに忘れてしまう「短期記憶」から、時間が経っても忘れない「長期記憶」に移行するという理論です。

賢い彼らはこの「適切なタイミングの復習」の一回目を授業中にやってしまっているわけです。
 

2. テストの成績で一喜一憂しない! 悪い状況をチャンスにする

受験生の保護者の皆さんは常に「成績」を気にします。偏差値が上がれば喜びますし、下がればひどく落ち込み、子どもたちの不出来を嘆き責め立てます。気持ちはわかりますが、子どもたちを1時間叱りつけたところで成績が上がるはずはありません。

その時間、子どもたちに復習させた方がよっぽど効果があるでしょう。「なんでこんな問題もできないの!」「こないだやったばっかりじゃない!」――そんな風に叱っている時間は全く無駄な時間です。子どものモチベーションは下がるばかりで、誰の得にもなりません。

賢い子のご家庭は、成績が上がっても下がってもあまり気にしません。出題範囲が苦手単元なら成績は下がるだろうし、得意な問題が出れば成績は上がるだろうということを知っているからです。むしろ「成績が下がったときがチャンス」ととらえ、できていなかった単元を効率よく復習するためにはどうしたらよいか、子どもと一緒に戦略を練ります。

そうすることで子どもの側も「どうやって勉強していったらよいか」を学んでいくのです。それがさらなる成績アップにつながります。テストは「子どもの弱点をあぶりだすツール」ととらえ、成績表は淡々と冷静に眺めることを心掛けてくださいね。
 

3. 睡眠不足の自慢話は不毛な戦い。賢い子は夜遅くまで勉強しない!

「オレ、昨日2時まで勉強した!」「オレ、3時まで!」

残念な成績の子たちは、よくこうした不毛な戦いを繰り広げています。しかし、睡眠不足になってまで勉強したという自慢話はやめておいた方がいいでしょう。少なくとも賢い子たちはそんなことを自慢したりしません。

睡眠不足が脳の機能低下を招くという研究結果は、オックスフォード大学やペンシルベニア大学、北京大学など様々なところから報告されています。「睡眠時間を削って勉強しろ!」というのは、もはや前時代的な周回遅れの方法論です。若年期に睡眠不足を続けると、将来の脳の発達に重大な悪影響を及ぼすという研究結果もあります。将来の成長と引き換えに中学受験の成功を手に入れても、何の得にもなりませんよね。

賢い子たちはみな経験的に、睡眠不足の翌日は脳のパフォーマンスが低下するということを知っています。だから彼らは決して無理をしません。夜眠くなったら寝て、次の日に調整します。睡眠時間を確保するために、昼間の学習効率を上げて無駄なく時間を使います。だからこそ成績がいいのです。
 

4. リアル「二月の勝者」になるには連ドラは見ない(大河ドラマは除く)

受験生にとってドラマは禁忌です。理由はたったひとつ、長期間にわたり毎週ごっそり1時間奪われるから。中学受験生は、学校に拘束される上、塾にも通ったりしていると、本当に時間が足りなくなります。睡眠時間も充分取らなければいけません。そんな中、毎日継続的に学習することが求められるのに、毎週毎週1時間をドラマに奪われてしまうのは、受験生にとって致命的ともいえます。

そこで受験生には、ドラマを「撮り溜め」しておくことをおすすめします。受験が終われば少なくとも2月3月は時間が充分空き、そこで撮り溜めた連ドラを見る時間は充分とれます。そこでたくさん連ドラを見るんだということを楽しみにして、モチベーションをアップさせることもできましょう。

それこそがまさに「二月の勝者」の姿だと思いますよ。
 

5. 自己反省がない証! 成績が上がらないことを「塾のせい」にしない

このように書くと「あなたは塾の先生だから、自分の地位を守りたいだけでしょ」と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、そうではありません。

本当に賢い子たちは、自分の成績が下がったとしてもそれを塾のせいにしたりしないのです。なぜならば「自分の周囲で起こることはすべて自分の責任」だという覚悟ができているからです。そしてその覚悟が人を成長させます。

自分ができていないことを他者のせいにする人は自己反省がありませんから、自分のやり方を変えようと努力することもありません。「あいつのせいだ」を免罪符にして自分を許してしまうからです。そしてそのことは保護者の方にもいえます。「塾が悪いからうちの子の成績が上がらないのよ」と文句をつけるのは、言い換えれば「自分の子育ては悪くない」と思いたいということです。子どもとしっかり向き合っていない証拠といえます。わが子には何が足りないのか、勉強の仕方がどう悪いのか、しっかり向き合えば活路は必ず見出せるはずです。

中学受験はよく「親子二人三脚」といわれますが、その言葉の意味は「親子でともに成長する」ということです。親が自己の責任を顧みずすぐに他者のせいにするから、子どもも自分の責任を逃れようとするのです。子は親の鏡。そう思って自らも反省しつつ、より良い中学受験を目指してほしいと思います。
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