再雇用の処遇低下は仕方がない、が37%
60歳定年後も働く人の状況を「年収は半減!? 60歳定年後も働く人たちの現状」でご紹介しました。「定年前とほぼ同じ職務で給与は4~5割減」の状況に対し、再雇用で働く人の3~4割が、「年収や職務など年齢による処遇の低下は会社の今後を考えると仕方がない」と考えています。「そうは思わない」は2割程度に過ぎません(パーソル総合研究所「シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査」2021年1月実施)。これでは、会社側も気にしているモチベーションの低下は避けられないでしょう。一緒に働く若年社員は、モチベーションが低下して働くシニア社員に厳しい目を向けています。前出のパーソル総合研究所の調査結果(調査対象:20代~40代各1000人)をご紹介します。
給与をもらい過ぎている 30%
60歳代の再雇用で働く人の多くは、相対的に低い給与に強い不満を感じています。一方、若年社員の30%程度は「シニア社員は給与をもらい過ぎている・評価され過ぎている」と感じています。シニア社員も若年社員もストレスを感じながら働いているわけです。- シニア社員は給与をもらい過ぎていると思う:20代30%、30代27.6%、40代20.1%
- シニア社員は成果以上に評価されていると思う:20代29.7%、30代26.5%、40代18.3%
「仕事の不透明さ」や「シニアの疎外状況」があると感じる職場で働く20代・30代の5割前後が「転職志向」です。( )内は、そのような状況は「ない」と感じる職場の転職志向で、おおよそ半減しています。シニア社員の働き方や環境は、若年社員の働く意欲=会社の将来への影響が大きいと言えます。
●「シニアの仕事の不透明さ」がある職場の転職志向
- 20代 54.8%(27.8%)
- 30代 47.4%(22.3%)
- 40代 35.5%(15.2%)
- 20代 53.9%(29.6%)
- 30代 50.0%(23.9%)
- 40代 39.4%(15.9%)
コミュニケーション力や人間力が必要
若年社員のシニア社員に対する厳しい見方は、コミュニケーション不足や価値観の違いが一因と考えられます。例えば「仕事は見て覚える」VS「教えてもらって当然」、「タテ社会」VS「ヨコ社会」、「年功序列」VS「成果主義」など真反対の価値観がぶつかり合い、若年社員はシニア社員の働き方を拒否しているのかもしれません。シニア社員から学ぼうとは考えられず、分断がより深まり、ある日突然に離職!対策の第一歩は、シニア社員が若年社員の価値観を理解し共有することです。それには柔軟なコミュニケーション力や人間力が必要です。社外での活動を通じて磨くのも一手です。
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